2週間で3回のクエ釣り釣行を敢行したが、ウマい話は続くハズもなく、3回目はそれらしきアタリが2回あったものの、頭だけ残されたエサが帰ってくるのみだった。記すべき内容は、ほぼないので、今回は道具ネタを。ということで、現在使用中のリールについて少し解説を。
■迷えるリール選び■
クエ釣りでは、ボクは昨年前半まで、海外製の手巻きレバー・ドラグ・リールを使用していたが、これには少し問題があった。ある一定以上のドラグ値を掛けると、仕掛けの落下速度が落ち、巻き上げがかなり重くなるのだ。シマノさんのホームページでも「レバーをフリーの状態にした際にスプールフリーが保てる状態でのMAXドラグ力」と記しているように、これはレバー・ドラグ方式の宿命なのだろう。
これがスタードラグ搭載モデルになると基本的にいくら締めても巻き上げに支障が出ない構造になっている。その中でシマノ・オシアジガー4000が候補に挙がったが、電動リールに目を遣ると、大本命がある事に気付かされた。
■電動リールという選択■
ボク自身はロッドは魚が掛かれば手に持っていたいが、リールに関しては「電動でも手巻きでも本人が楽しけりゃ、それでイイんじゃないの派」なので、電動リール内で候補に上がったのが、現在使用しているシマノのフォースマスター6000だった。
このリールの最大ドラグ値は30kgで、オシアジガーの18kgを大きく上回り、実釣では必要ないほど強力になっている。それを支えるボディは実績のある旧ビーストマスター6000譲りなので、強度的に安心の領域にある。しかも嬉しいことに今主流のレバー・ドラグ・リールよりもかなり割安であり、実勢販売価格が60000円台前半なのは驚かされるばかりだった。クエ釣りに対応できそうな手巻きの中では最安の部類に入るオシアジガー4000の実勢価格に対して、僅か9,000円の投資でモーターが付いてくるという、嬉しい価格設定だと個人的には思えたので、購入に至った次第だ。
ただし、それ相当に強力なモーターが採用されているものの、大型クエが相手では巻き勝つことはできない。聞くところによると、上位モデルのビーストマスターMD6000であれば、滅多に巻上げは止まらず、ブラシレスモーター搭載の旧ビーストマスター6000でもあまり止まらないということだから、投資額による差が確実にあるのは仕方がない。
であるから、36.42kgを釣った際のレポートで記したように、高負荷がかかる場面では対策が必要になるのだ。
■弱点をカバーする■
電動リールを使わない人にとっては「スロットルを入れて後はリール任せで全自動…。」と思えるのかも知れないが、クエ釣りであれ、完全フカセであれ、大型魚とのバトルでは、そもそもの巻き上げ能力が足らなかったり、ドラグの設定値や特性で巻き上げが停止する場面がよくある。そういった状態に陥ると「手でラインを掴んで引き抜く」等、釣人側の工夫が必須になる機種が多いのが現実だ。
特にクエ釣りでは電動巻き上げが止まれば、すぐに手巻きに移行しないと即ヤラレてしまうが、電動リールのハンドルは、本来はフィニッシュ時に使用することが前提なので、短くてあまり力がかからない。その対策としてボクはフォースマスター6000のハンドルをミゾハンというメーカーの110mm・ステンレス製ロングハンドルに換装することで手巻時の巻上げをパワーアップさせている。
この投資額は¥12,000程度(ハンドルノブ代金込み)であり、効果を考えれば妥当な線になると思う。因みにロングハンドルはシマノ製品の中~大型両軸リール用と共通であるが、2スピード・ギヤ搭載で構造が違うタリカやティアグラ用は合わないから注意が必要だ。尚、一部に存在する安価なアルミ製は曲がり易いので、ステンレス製の中から選んだ方が安心だ。
●フォースマスター6000+ロングハンドル●
■スタイルそれぞれ■
ボクとしては、エサの上げ下げ等で無駄な体力は使わず、いざ大型が掛かれば手巻きで対抗し、ポンピングをしたくない場面では針ハズレ防止のためにモーターを定速で巻き取るのが狙いだったが、このリールとロングハンドルの組み合わせはそれにドンピシャで応えてくれた。
「山の頂上は一つだが、そこに至るルートは沢山ある。」それが釣りだと思う。
シンプルに手巻きでドンと構えるのが好きな釣人もいるだろう。だが、楽しみ方は人それぞれにあり、こういった「タックルの弱点を補うよう、工夫して使いこなす」、「いざという時は、真正面から魚と対峙する」というやり方は、ボクの釣りにおける楽しみの一つになっているし、実際に現場や記事で同意見の釣人の存在も確認している。
また、このリールと後はロッド選びを工夫すれば、総額を¥100,000を少し超えたあたりで収めることが可能になる。因みにボクの場合はリール=約¥61,000(ポイント差し引き後の実質価格)+ロッド¥13,200(中古品)+ハンドル¥9,950(送料込み)+ハンドルノブ¥1,990(送料込み)で、合計¥86140しか(?)かかっていない。尚、ハンドルノブについては純正の形状で可とするのなら、その装着も可能なので更にコストが下がる。
とかくお金が掛かるとされ、上を見ればキリがなく「ロッド&リールで¥300,000オーバー!」と言われるクエ釣りタックルだが、本人の工夫次第で、かなりコストを下げられる。それでも他の釣りからすると、まだまだ高額投資なのかも知れないが、高い敷居がかなり下がってくれるのは朗報だと思う。それでクエ釣りのチャレンジャーが増えてくれれば幸いだ。