中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

アウトドア体験のススメ

2011-09-10 12:30:00 | その他
■北の国から30周年■

 ドラマ「北の国から」の放映開始30周年を記念して、脚本家の倉本聰氏が、最初のドラマシリーズのシナリオを書いた時に込めたメッセージや、背景を若い作家達に講演として語った内容を一冊の本にまとめた「獨白」が発売され、BSフジでは8月20日に記念番組「今、五郎の生き方~2011夏 倉本 聰~」が放送された。

●AMAZONや、普通の書店では手に入らないから要注意●

 もちろんヘビーファンなボク達家族は、「獨白」を読み、俳優の性格から成長、心境の変化までをシナリオに織り込んでゆく倉本ドラマのリアリズムと緻密さに改めて感動していた次第だ。
 その講演の途中で、奇しくも3.11の東北大震災が発災する。そこから先は、現代人への警鐘を含んだ内容に変化してゆく。そしてもう一方の、記念番組の方は始めから震災後の視点に立った内容で放送されていた。

■黒板五郎の生き方■

 「獨白」と記念番組を通じて倉本聰氏が我々に伝えたいメッセージは基本的に同じモノだが、その両方の中で「作ると創るの違い」の話が出てくる。
 すなわち、
 知識と金で前例にならってつくるのが「作」。金がなくても知恵で零から前例にないものを生み出すのが「創」。
という話だった。

 戦後の日本が受け入れた資本主義の「大量生産、大量消費、大量廃棄」といった流れの中にある「作」の文化が、日本に古来からある「創」の文化を凌駕し、消失させていったこと。そしてそれが、とことんまで突き進んだところで東北での震災が発災し、原発事故までもを引き起こしてしまったことに倉本聰氏は嘆いている。
 そして今後は原発を抱えたままで従来型の資本主義を続けるのか、それとも、勇気を持って原発を廃止し、一歩引き下がって電気を始めとするエネルギー消費量を減らした、一昔前の質素な生活に戻すのかが問われてくるとも語っているが、それこそが氏がドラマの中に作り出した「創」の象徴である黒板五郎の生き方だと語り、「そうした覚悟が持てるのか?」と、我々に問い掛けていた。

 また、以前に倉本聰氏がTV出演した際、渋谷にたむろしている若者に「生活必需品とは?」と、アンケートをとってみたそうだが、1位が金で2位がケイタイ、そして3位がテレビという結果が出て唖然としたそうだ。
 もっとも、このアンケートは昨年末に行われたそうだから、東北の震災後であればもう少し違った意見も増えていただろうと思う、と言うか、そう願いたいが、もし今でも同様の答えが返ってくるのであれば、それは電気を始めとするインフラ(ライフライン)が整うことが当然であり、モノが溢れる中で育ってきた人間の狭義な発想だと思う。
 一度(ひとたび)震災が起こると、電気、ガス、水道が止まる。運良く被害の少なかったコンビニやスーパーが商品を放出してくれても、悲しいかな買い占めなどですぐに在庫が底をつくことを想像できれば、生きるために必要不可欠な「水、火」であったり、道具を創り出すための道具である「ナイフ」といったあたりの答えになるハズだと思う。(と言うか、そうあって欲しい。)


■アウトドアでの体験■

 インフラ(ライフライン)が整わない中では、どういった行動をすれば良いのか?。その対処を知りたければ、アウトドアでの遊びを体験するのが最適だと思うが、現代の子供達、特に都会で暮らす子供達はそういった体験がかなり不足しているように思える。
 その昔、ボクらの子供の頃は、近くの浜で焚き火をしたり、筏を組んだりして遊んでいたし、親父世代や兄貴等の世代からの伝承もあったので、焚き火法や簡単なロープワークを始めとする基本的なアウトドア術が自然と身に付いていたが、都市近郊では今、そういった遊びは「管理責任が問われる」ことが怖いのか、危険だとして禁止されているそうだ。そんな中、夏休みの工作ですら、市販のキットを組み立てるだけで良しとする風潮の中で子供達は育っている。

 このように子供社会での経験に期待できない現況にあっては、我々親世代が立ち上がって教える、あるいは共に学ぶしかないのだ。それには親子で始めるキャンプは最適な選択の一つだと思う。
 だが、始めるにあたって、入門書をさらりと読むくらいは必要だとは思うが、それ以外の特別な知識なんかは必要ない。たとえ経験がゼロの家族であってもオヤジが中心になって親子で共に考えてゆくことが重要だと思う。しかし、どうしても親側に時間がとれないのなら、せめて子供だけでもボーイスカウトや本格的なアウトドア教室等に入れてやり、体験を積ませてやって欲しい。

 キャンプでは居住スペースを確保した後に、まず水の確保をする。それが済むと火を起こす。そしてその火で炊飯し、調理する。そういった流れの中で「創る」能力が自然と身に付いてくる。
 しかし、焚き火などでの「火起こし」の基本は必ず習得して欲しいものの、一般には何もここまでワイルドなスタイルでなくて、例えば炊事に使う火がガス火であっても構わないと思う。要はそこに「電気と電化製品」という便利なモノを介在させないということが重要だ。一度「火で御飯が炊ける」という体験をしさえすれば、もし、ガスが無い場面であっても、焚き火でも御飯が炊けるといった想像力が働くだろう。

 また、他のアウトドア遊びにも「創る」要素は溢れている。釣りにしたって人より沢山釣ろうと思えば、「創る」能力は不可欠だし、登山をするにしても「創る」能力がなければ装備すら選べない。
 「創意工夫」という言葉は「考えをめぐらせて、新しい方法や手段を見つけ出すこと。また、その方法や手段。」という意味だが、アウトドア界での体験は、その言葉の基本部分を個人の心の中に培ってくれるのだ。
 更には、有事の際に即応できる能力が携わってくる。そしてそれは自分の身を守り、人を救うことにも役立つ。この件に関しては今回の東北大震災が発災した際、一般ボランティアの中では、一、二を争うほどごく初期段階に対応できたのが、アウトドア用品メーカーのモンベル社の辰野会長が率いた「アウトドア義援隊」だったことが実証している。何しろ発災の翌日に物資の収集が開始され、3日後には現地本部を立ち上げていたほどなのだ。

 そういったアウトドア経験を積んだ家族であれば、震災はもとより、不意に電気が止まったり、ガスや水道が止まってもパニックになったり、お手上げになったりする確率は低いだろう。その心の余裕をもってすれば、平時に浴びるほど消費していた電気を始めとしたエネルギーに対しても、「本当にそこまで必要だったのか?」という意識が自然と沸いてくるだろう。そしてそれが倉本聰氏が問い掛けていた「覚悟」に繋がってゆくのだと思う。 

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