中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

減り行く車種

2011-12-17 12:30:00 | その他
■妻の車が…■

 ボクが所有するクルマは、年間の走行距離が3万5000~4万kmに及び、寿命が5年以内に来るのだが、対して妻の場合は年間の走行距離が5000~6000kmしかないから7~8年乗り続けることが多い。従って、本人にとって「末永くつきあえるクルマ」が購入の対象となる。
 そんな妻の車のATが不調になり、3速固定の緊急モードになって突然死した。修理工場に持ち込むと30万円以上の見積が…。そこで慌てて次車にスイッチすることとなったのだが…。


■消えゆくセダン■

 とりあえず、妻に次車候補を絞ってもらうため、インターネットで各社のホームページを覗いてみる。すると、前々から薄々気付いてはいたが、排気量2000cc未満、価格が200万円以下のクラスに、セダン・タイプのクルマが激減していることを改めて思い知らされることになった。

 以前はファミリーカーの代名詞であった日産の「サニー」、マツダの「ファミリア」は既に消滅し、ホンダの「シビック」は既に発売している限定車の完売をもって長い歴史が幕を閉じるそうだ。また、最多の生産量を誇っていたトヨタの「カローラ」は、かろうじてその名が残ってはいるが、副題のような別名称をつけてイメージを変えているようとしているし、シャシー等を共用する兄弟車だった「スプリンター」はとっくに姿を消している。
 それらに変わって、別名称のクルマが販売されてはいるのだけれども、セダンタイプの補充はほとんど無いようだ。また、セダン少ないということは、それをベースにルーフを延長したタイプのワゴンが、ほとんど姿を消すことにも繋がっている。

 妻の第一希望は、困ったことに当初はそのクラスのセダンであったのだが、少なくなった車種の中では候補もクソもなく、妻が自ら乗りたくなる、あるいはボクが勧めたくなるような魅力ある車種は無さそうであった。


■ワンパターンの車種■

 「セダン」というカテゴリーから離れてみるともう少し展開が変わると思ってみたが、例えば低床ミニバンタイプか、トヨタ・ヴィッツやホンダ・フィットとその仲間の範疇といった具合に、2~3種のコンセプトの中で横並びしているかのようなものばかりであり、イメージ的には、それぞれのタイプ内の大小と、室内高の高低くらいの差しか無いように思えるような光景だ。
 コレも近頃の「ご時世」の影響からか、燃費、室内スペースを高効率化させると、方向性が絞られるからこうなってしまうのだろうか?。
 その並びの中では買い手が「ワクワク」するような思いは起こらず、「実用」という言葉のみが浮かび上がってくるような気がする。

 各モデルごとのスポーティ・グレードは採用する車種が減ったものの、現在でもチラホラと見掛けるが、その多くは後付けパーツで内外装のイメージを変えるのみであり、せいぜい頑張ったところでサスペンションのチューン程度に留まっているようだ。(これも後付けと言えば後付けだが…。)
 一昔前であれば、低めの価格帯であっても少しはあったスポーツカーは言わば絶滅危惧種のようだが、一人?(一台?)気を吐いているのが、スズキの「スイフト・スポーツ」だ。他の車種が「雰囲気」のみでお茶を濁す中、ハイ・チューン版のエンジンが搭載されている車種はボクの知るところでは他に見当たらないから、本当の意味で「とんがった」と言えるモデルは、コレのみであろう。
 こういった流れには、以前はそういったタイプの車を好んで購入していた若い世代の、いわゆる「クルマ離れ」の影響があるのだろうか?。
 もっとも、料率というランク付けによって最大で料金差が4倍強にもなるという、高額な保険料金のおかげで、ヘタにスポーツカーや、それに近いタイプには手は出せない現実がある。そういったことも購入層の減少に拍車を掛ける一因になっているのだと思う。(これに対しては個人的な意見もある。事故するヤツはどんな車種に乗ってもするのであって、クルマの種類によって変わるワケではないと思う。つまり、ドライバー全体からの割合だと思うのだ。)
 そして、そんな背景があってか、今やスポーツ&スポーティなクルマのほとんどが高額車や輸入車となっているのは、それらのクルマが「高額所得者」の持ち物になってしまったということを意味するのだろうか?。


■格差社会■

 クルマのタイプやデザインにせよ、エンジン性能や操縦性にせよ、「乗り手の心をワクワクさせる」クルマの減り具合を見ていると、ボクたちの世代あたりが若い頃に抱いたクルマに対する夢や希望といったものが、商売が成り立たないほどの割合で減っている現実に気付かされる。
 もし、時代が変わったせいで憧れや夢の種類?が変わり、クルマとは違う方向に向かっているのならソレはソレで受け止めなければならないことだろうけど、「卵の話」のように「買わないからワクワクするような車種が減る」のか、「ワクワクするような車種が無いから買う人が減るのか」は知らないが、現状を鑑みクルマに対して「血湧き肉躍った」あの頃の自分を思い出すと、チト寂しい気がする。
 現代の青年達は、キライな言葉だが「草食系男子」で表されるようにガツガツせず、指向が内向きだと言われているが、そんな彼らにとって「速いクルマ」等は必要ないのかも知れない。しかし、もしもその草食系男子の増加が、今の日本が抱える「閉塞感」の中で彼らの夢の選択肢が減った影響であれば、何ともやるせない。

 先日、トヨタの社長が「円高是正を求める」コメントを発表していたが、自動車メーカー側もギリギリの状態であり、特に数を売らなくてはならない手頃な価格帯では、リスキーなクルマを販売することが難しく、「万人ウケし、より堅実に売れる」という方向に向かわざるを得ないのかも知れないし、そういった現実に、ある程度理解はできる。
 だからこそ、導く側の立場である政府や関係各省に、「デフレ」「超円高」といった問題がもたらした現状の日本を覆う「暗い影」をいち早く払拭してもらわなくてはならない。
 早くしないと、「高嶺の花」だった時代から何十年もの歳月を掛けてせっかく一般庶民の持ち物にまで降りてきた「クルマ」が、実用一点張りの「ツマラナイ物」で席巻され、「ただの道具」と化してしまい、人や物を運ぶ以外の「操る」楽しみなどは高所得者の特権になってしまう。その楽しみを少しは知っているつもりのオジサンとしては、自分の若かった頃に比べて格差社会の広がりを実感しつつある今日この頃だ。

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