都月満夫の絵手紙ひろば💖一語一絵💖
都月満夫の短編小説集
「出雲の神様の縁結び」
「ケンちゃんが惚れた女」
「惚れた女が死んだ夜」
「羆撃ち(くまうち)・私の爺さんの話」
「郭公の家」
「クラスメイト」
「白い女」
「逢縁機縁」
「人殺し」
「春の大雪」
「人魚を食った女」
「叫夢 -SCREAM-」
「ヤメ検弁護士」
「十八年目の恋」
「特別失踪者殺人事件」(退屈刑事2)
「ママは外国人」
「タクシーで…」(ドーナツ屋3)
「寿司屋で…」(ドーナツ屋2)
「退屈刑事(たいくつでか)」
「愛が牙を剥く」
「恋愛詐欺師」
「ドーナツ屋で…」>
「桜の木」
「潤子のパンツ」
「出産請負会社」
「闇の中」
「桜・咲爛(さくら・さくらん)」
「しあわせと云う名の猫」
「蜃気楼の時計」
「鰯雲が流れる午後」
「イヴが微笑んだ日」
「桜の花が咲いた夜」
「紅葉のように燃えた夜」
「草原の対決」【児童】
「おとうさんのただいま」【児童】
「七夕・隣の客」(第一部)
「七夕・隣の客」(第二部)
「桜の花が散った夜」
理髪店の店先には赤と青と白の段だら模様が、ぐるぐるまわっている棒のような看板が立っています。
これは、現在の商売とは何の関係もないものですが、その昔、理髪店が今の外科医の先駆者であった名残を示すものなのです。赤は動脈、青は静脈、白は包帯を表しています。
「理髪店が外科医の先駆者だって・・・。本当?」
と、現代人には想像もつかない結びつきです。実は、中世ヨーロッパでは、一定の血液をからだから抜くことが一つの健康法とされていたのです。いわゆる「瀉血(しゃけつ)」とよばれているものです。
からだに何ヶ所も傷をつけて、吸い玉という空気圧で血を吸い出す器具をつけ、じっと我慢して、「悪い血」をからだの外へ出していたのです。
今から想像すると、気味の悪い、いかにも痛そうな健康法ですが、当時の人は、これで病気が良くなると信じてやっていたのです。
現在も「瀉血(しゃけつ)」は限定的な症状に対してのみ他の療法と併用して用いられる。現在の医療行為としては静脈切開ともいう。
これは主として、浴場で行われていました。つまり、からだが温まると、血が出やすいからでしょう。
この浴場にいたのが、客のひげを剃ったり、散発をしたりする理容師だったのです。おかげで、彼らは血についての知識を身につけ、たいていの理髪師は傷・骨折・脱臼などの手当や手術を行うようになり、やがて、外科医の先駆者となっていったのです。
ところで、彼らは血抜きをするときに、患者を一本の棒にしっかり掴まらせたのです。どの理容師も、いつも棒と包帯を用意し、使わないときは包帯を棒に巻きつけて、店の戸口に立てかけておいたのです。
やがて、時代が進むにつれて、戸口に立てかけてある棒と包帯を使うのは不潔であるところから、この棒を特別に赤い段だら模様に塗って、広告用にしたのです。
赤い筋は血に染まった包帯を思い出させるものでした。そして、これがしだいに赤と青と白の段だら模様になって、人の目を引くようになったのです。
ちなみに、この血抜きの料金は一定していなかったところから、患者は自分が出せる分だけの金額を、あるいはその労働に値すると考えた金額を払いました。
やがて、この支払い方法がイギリス全体に広がって、宿屋や、居酒屋などでもサービスに対する礼金をいれる小箱が置かれるようになりました。
小箱にはなるべくたくさんお金を入れてもらうために “To Insure Promptness”「敏速を保証するために」と書かれました。この三語の頭文字をとって生まれたのが「チップ」(TIP)という言葉です。
つまり、チップは、もともと浴場での商売から生まれた言葉だったのです。
Take it please(お気に召すまま)との説もあるようです。
Barber(バーバー:理髪店)はBarb(あごひげ)+er(人を表す)で髭剃り人のことから理髪店になったようです。
したっけ。