透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

正月の伝統行事 御柱

2022-01-05 | A あれこれ


安曇野市三郷(旧三郷村)明盛一日市場の御柱 撮影日2022.01.05

 御柱というと諏訪大社の御柱を思い浮かべる人が多いと思うが、本稿で紹介するのは松本・安曇平で行われる正月の伝統行事の御柱。正月の御柱を毎年のように見て、ブログにも何回か書いている。この御柱も今回が初めてではない。

正月の御柱は歳神様の依り代だという。このランドマークを頼りに降りてくるのだが、このことは良い神様だけでなく、厄病神や貧乏神などの厄神、悪い神様も同じだという。それで良い神様だけが降りてくるように、このような綺麗な飾りの御柱を建てるのだという説を友人の論考(*1)で読んだことがある。厄神はこのような綺麗なものを好まないそうだ。

御柱には無病息災や子孫繁栄の願いも込められている。




この御柱は恵方に正面を向けて建てるそうだ。今年の恵方は北北西、正面からは逆光で上手く撮れない。来年(鬼が笑うかな)の恵方を調べると南南東。来年は撮影条件が良い。

御柱のすぐ近くに大黒天像碑と道祖神が祀られている。道祖神は猿田毘古を祀っているとされている。猿田毘古は邇邇芸命が降臨した時のナビゲーター。このことは御柱の多くが道祖神の脇に立てられることと無関係ではないと思う。いや、大いに関係があるだろう。また、道祖神は厄病神や貧乏神などの厄神の侵入を防ぐ役目も負うていることも、関係がありそうだ。

 
子孫繁栄の願いをストレートに表現した「お道具」。ベンガラ色の男と女。にこたま付きの男はかなり具象的な表現、女は抽象的。

 
文字書き道祖神 天保十己亥(つちのとい)四月八日という刻字が右側面にある。天保10年は西暦1839年。

このような伝統行事は末永く続いて欲しいと毎年思う。


*1 雑誌『信濃』(第六三巻第一号通巻七三二号平成二三年一月二〇日発行)


「新聞記者、本屋になる」

2022-01-05 | A 読書日記





 光文社新書のシンプルなカバーデザインは好きだ(写真①)。著者の希望なのか、出版社の意向なのか分からないが、光文社新書はオリジナルデザインのカバーのことがある(写真②、③)。



昨日(4日)今年初スタバ。入店前に朝カフェ読書用に『新聞記者、本屋になる』落合 博(光文社新書2021年)を買い求めた。新書らしからぬカバー、それもなかなか好いデザインのカバーにまず惹かれた(写真②)。

スタバで顔なじみの店員・Mさん、Hさんと新年の挨拶を交わし、いつものコーヒーを手に2階へ。

『新聞記者、本屋になる』は内容も新書ではなくて文庫の方は相応しいのではないか、と思う。北 杜夫の『マンボウ雑学記』(岩波新書1981年)を読んだとき(今から40年も前!)にもそう思った。



定年数年前に新聞記者を辞めて本屋の店主になった著者の落合さん。落合さんが記者時代や本屋店主になるまでの出来事やなってからの出来事、それから書店や本についての考え方を綴っている。具体的には書かないが著者の考え方に全く賛成というわけではなく、疑問に思うこともあった。

この本を読んで本離れ・書店離れの状況下にあって書店経営がいかに大変か、難しいかがよく分かった。だが、退職後にすることもなく、行くとろもない状況にならずに済んでいることは幸せなことだと思う。

著者が店主の書店は東京都台東区にあるという。この本には書店の外観や内部のカラー写真が載っている。書店を訪ねてみたい、と思わせるのは著者の筆力か、写真から伝わる書店のデザインの魅力か。私の場合は後者。