火の見櫓講座(講演会)の記録
①2011.09.03 週末のミニミニ講座@松本市梓川 カフェバロ
②2014.02.16 安曇野まちなかカレッジ @安曇野市穂高 安曇野市商工会穂高支所
③2014.07.04 週末のミニミニ講座(アップグレード版)@松本市梓川 カフェバロ
④2014.12.07 信州大学のゼミ生有志主催による講座 @松本市北深志 「となりの、」
⑤2015.10.21 建築士会安曇野支部主催研修会 @安曇野市豊科 豊科交流学習センター「きぼう」
⑥2019.12.01 ココブラ信州 @安曇野市穂高 碌山公園研成ホール
⑦2019.12.07 サイエンスカフェ @北安曇郡池田町 カフェ風のいろ
⑧2020.10.15 火の見櫓講座 @安曇野市豊科 BWCL
⑨2020.11.03 火の見櫓講座 @安曇野市豊科 カフェギャラリーお茶の間
⑩2020.11.20 朝日村社会福祉協議会主催 高齢者ふれあい学習 @朝日村マルチメディアセンター
⑪2022.08.07 小野宿問屋夏季講座 @小野農民研修センター
⑫2023.06.17 火の見櫓講座 研修の一環として @松本市内の建設関連の某会社
⑬2023.07.28 三会合同研修会 @Mウィング(松本市中央公民館)
⑭2023.10.01 火の見やぐらを語る @穂高町区公民館
⑮2023.10.19 火の見櫓のある風景に魅せられて @安曇野市豊科 BWCL
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『楽園のカンヴァス』原田マハ(新潮文庫)
■ 15日、日曜日の午後、スケッチ展を開催しているカフェで来場者が途絶えたとき少しずつ読んでいた『美術の愉しみ方』山梨俊夫(中公新書)を読み終えた。で、カフェの真澄さんが数冊の本を持ってきてくれた。
その中に原田マハさんの『楽園のカンヴァス』があった。カバーの絵画はアンリ・ルソーの「夢」。ルソーの作品で私がまず思い浮かべるのは夜の砂漠に横たわる黒人の女性、隣りにライオンが立っている・・・、そんな「眠るジプシー女」だが、この「夢」も知っている作品だ。早速読み始めた。おもしろい!
16日の月曜日、17日の火曜日、カフェはお休み。で、自宅で読もうと本を借りて帰った。
ルソーには「夢」と極めてよく似た構図の別の作品「夢をみた」があるという設定。「夢をみた」の存在は世に全く知られていない・・・。スイスの富豪のコレクターから招かれてその作品の真贋をふたりの美術史研究者が鑑定するというのがストーリーの骨格。
作者の原田さんはカバー折り返しに記載されているプロフィールによると、1962年東京生まれ。関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術科卒業。森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て作家デビューしたという方。このような経歴の作家が描く美術ミステリーの本作、虚実織り交ぜたストーリーにすっかり魅せられた。海外作品の翻訳ではないかと思わせるような雰囲気のある文章。
16日の朝、この本をTSUTAYAで買い求めた。読み終えたら手元に置いておきたいと思ったので。それから朝カフェ読書@スタバ。
「夢をみた」の真贋鑑定のためにスイスの富豪から招かれたのは、大原美術館の監視員、織江とニューヨーク近代美術館のアシスタント・キュレーター、ティム・ブラウン。
16日、17日は何かと用事があったが、読書に出来るだけ時間を割いて、18日の朝には最終章「再会」を残すのみとなっていた。カフェで読もうと思ったが、結末が気になって出かける前に読み終えてしまった。
**北斎の絵について、この歴史小説の登場人物に自身の捉え方や評価について語らせているだろう。読み進むのが楽しみだ。**とある作品を読み始めたとき、書いたが、そのような思い、期待をこの『楽園のカンヴァス』にも寄せた。原田さんは私の期待をはるかに超える作品に仕立て上げてくれていた。
ミステリーだから、ネタバレしないように書かなければならない。この物語を私は恋愛小説として読んだ。鑑定依頼を受けたふたりの研究者、どちらも相手を意識し、特にティム・ブラウンは織江に次第に惹かれていく・・・。最終章を読んでいて、ストーリーの実に巧みな展開に感動の涙、涙。
ルソーの「夢をみた」に関わるキーワードは画家のピカソと情熱。最後の最後、このキーワード、PICASSOとPASSIONが驚きの方法で示される。こういうの好きだなぁ。
怖るべし原田マハ。
原田ハマと間違えそうになるが、マハという名前はゴヤの有名な作品「裸体のマハ」に依っているのではないか、といわれることもあるようだ。
『楽園のカンヴァス』は今年読んだ本のベスト3に入る作品だ、間違いなく。