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■ 大黒屋光太夫の漂流記は2006年に『大黒屋光太夫』吉村 昭(新潮文庫)、『大黒屋光太夫 ―帝政ロシア漂流の物語―』山下恒夫(岩波新書)を読んでいる(写真①)。
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『あきらめなかった男 大黒屋光太夫の漂流記』小前 亨(静山社 2023年 児童書 図書館本)を読んだ(写真②)。
私が暮らす村では読書習慣を身につけ、それを大切にして欲しいという願いから、毎年ファーストブックを4か月児に、セカンドブックを1年生に、そしてサードブックを6年生にプレゼントしている。
『あきらめなかった男 大黒屋光太夫の漂流記』は図書館運営委員会(私も委員のひとり)がサードブックとして推薦した10冊の本の1冊。この児童書のタイトル「あきらめなかった男」が気に入って、図書館から借りて来て読んだ。
本の帯にこの本の内容が簡潔に記されているので、引く。**鎖国時代に北の孤島へ漂着。命は助かっても国へ帰れる見込みはなかった。それでも決してあきらめず、ついにロシア女帝から勲章をもらって帰国した日本人がいた。島から半島、ロシア本土、そして帝都へ― 仲間を連れて可能性を追い求めた信念の10年**
この引用文中、北の孤島とあるのはアムチトカ島、半島とはカムチャッカ半島、そして帝都とはサンクトペテルブルクのこと。
著者の小前 亨さんはあとがきにジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』の影響で、子どもの頃から漂流ものの小説が大好きだったと書いている。私も『十五少年漂流記』を小学生の時に読んだという記憶がおぼろげながらある。
『あきらめなかった男 大黒屋光太夫の漂流記』を読んで、生きて日本に帰るという光太夫の強い意志と仲間を励まし、まとめたリーダーシップに感銘を受けた。
光太夫は辺見じゅんさんの『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫)に紹介されている山本幡男さんとよく似た人だなと思った。第二次世界大戦敗戦後にシベリヤに抑留された仲間を、希望を捨てることなく必ず生きて帰還するのだと励まし続けた人。決定的に違うのは光太夫は生きて日本に帰ったけれど、山本さんは病魔に襲われ、亡くなってしまったことだ。
『あきらめなかった男 大黒屋光太夫の漂流記』を希望した6年生が33人中2人いたとのこと。どんな子だろう。読後の感想が聞きたいなぁ。