安曇野市三郷の火の見櫓 110528
■ 『五重塔はなぜ倒れないか』 上田篤 編/新潮選書 に三重塔や五重塔のプロポーションを捉える指数として「塔身幅に対する総高比」、「軒長さの逓減率」、「塔身幅の逓減率」、「軒の出の逓減率」などが紹介されている。確かに木塔の美しさはそのプロポーションにこそあるから、それを定量的に示す指数を求めるのは工学的な発想として当然のことだろう。
火の見櫓のプロポーションを定量的に示すいい指数がないものだろうか、と以前から考えていた。最も簡単な指数は木塔に倣えば「脚間寸法と総高の比」だ。今は高さを簡単に測ることができる便利な道具があるし、柱間寸法ならスケールを当てるだけで測ることができる。
「逓減率」については、一段目の横架材の長さと見張り台直下の横架材の長さの比の値(最上段横架材長さ/初段横架材長さ)が妥当だと思う。中間値(中間にある横架材の長さ/初段横架材の長さ)も求めればなお良いだろう。これを正確に調べるのは大変だが、目見当でおよその値を求めることならそれ程大変ではない。
前述の本には重要文化財クラスの木塔33基について調査した結果がグラフ化されて載っている。グラフから形態の歴史的変遷が読みとれることやその理由(例えば木組みの技術の向上など)に関する考察が示されていて、興味深い。
同様なことを火の見櫓で試みれば、ある一定の傾向を示すグラフが得られるかもしれないし、なにか興味深いことが分かるかもしれない・・・。
*初稿 20110529