②
松本市今井にて路上観察
■ 松本市今井の蔵。このところ蔵の妻壁の開口部周りのデザインに注目している。なんの飾りもないプリミティブな開口部。
①の蔵は漆喰仕上げが施されておらず、本来は下地の土壁表し(あらわし 建築用語として普通に使うことばだが、「この使い方変ですよ」と指摘されたことがある)のままだ。素朴な味わいの蔵。
②の蔵は漆喰で仕上げてある。地棟の小口の仕上げに家紋などを入れる場合が多いがこの蔵は無地。その下に小さな窓というか、通気口が設けられている。腰壁はなまこ壁にすることが多いがこのふたつの蔵は上部の壁と同じ仕上げをしている。
下は朝日村で見かけた蔵の平側の様子。入り口の上部に床をつくって物が置けるようにしている。松本地方でよく見られる形式。③は木組み表しだが、ここを④のように漆喰仕上げにすることの方が多い、と思う。
③
朝日村古見にて路上観察
④
朝日村西洗馬にて路上観察
腰は共になまこ壁。なまこ壁の名は瓦と瓦の間の隙間にかまぼこ型に盛り上げた漆喰の断面が海鼠(なまこ)型になっていることに由来するといわれている(「民家のデザイン」川島宙次/相模書房などによる)。③の蔵は亀甲模様。