透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

13北杜市長坂町の火の見櫓

2023-02-07 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)北杜市長坂町富岡 JR日野春駅の近く 4柱44型トラス脚 2023.02.05


 この火の見櫓も前稿の火の見櫓と同じように、踊り場の張り出し部分は後付けではないかと思われる。ただし梯子は内付けだから、踊り場の面積不足を補うことが増設の目的だったのでは。昨年12月に見た時は踊り場には注目していなかったようだ(過去ログ)。


 


12北杜市長坂町の火の見櫓

2023-02-07 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)北杜市長坂町日野 4柱44型複合脚 2023.02.05






 昨年12月にこの火の見櫓について書いた。その時、脚部について、なぜ正面だけアーチ部材を用いて他のトラス脚と変えているのか、理由は分からないと書いた。また、踊り場の持ち出し部分は後付けかもしれないとも書いた。過去ログ

この火の見櫓を5日に再び見て、建設当初、梯子は外付けではなく、内付けだったのではないかと思い至った。そうだとすると、脚部の形状を正面だけ変えて、開口を大きくしてあることや、踊り場の持ち出し部分が後付けだと思われることが理解できる。踊り場の床を見ると、下地材(根太に相当する部材)3か所の内、中央だけ、ダブルになっている。当初は内側に梯子を掛けていたために床面は半分しかなかった、と推測できる。このことを裏付けるようなこと、持ち出し部分に有った手すりの撤去跡などを探そうとしたが、分からなかった。残念。


 


11北杜市長坂町の火の見櫓再見

2023-02-07 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)3柱1構面梯子屋根見張り台付き(高さかせぎ地形利用型)2023.02.05


 国道20号から県道617号に入った。予めコースを決めていたわけではなく、適当に決めた。だが、この火の見櫓が見えて、昨年12月にも、それ以前にも通ったことに気がついた。ということで、この火の見櫓は既に2回、2012年と2022年に見ている(過去ログ)。どうやらどこで曲がるかというような判断にもクセがるようで、同じコースを走るということを時々経験する。

今回は真正面から全形を撮った。ヴォールト(かまぼこ形)屋根もU字形の見張り台も大きさを梯子の幅に合わせて決めていることが分かる。


鋼管製の支柱と同梯子桟をボルト接合していることが分かった。昨年12月に見た時、このことを確認していなかった。ブレースにパイプ式ターンバックルを用いていることにも気がついた。やはり複数回見て初めて気がつくことがある。

この先にも火の見櫓が立っている・・・。


 


9北杜市白州町の火の見櫓

2023-02-07 | A 火の見櫓っておもしろい


1442 北杜市白州町白須 4柱44型トラス脚 2023.02.05

 旧甲州街道を更に進む。国道20号沿いより火の見櫓遭遇確率が高いだろう。簡易な火の見櫓が続いていたけれど、これは大型。屋根の反りがきついことに気がついた。


脚元に2色の消防信号板と消火ホース格納庫。


とんがり屋根、長い避雷針、半鐘を取り囲むように設置されたスピーカー。


踊り場に注目。小さい輪っかを2個使い、台形の開口をつくっている。


脚元に火除けの神様、秋葉様。


 


8北杜市白州町の抜け殻火の見?

2023-02-07 | A 火の見櫓っておもしろい


(再 過去ログ)北杜市白州町白須 4柱44型ロング三角脚

 なぜこのような形にしたんだろう・・・。ひのみ友だちがインスタにアップしたこの火の見櫓の写真に群馬のヤグラーさんは、抜け殻♪ とコメントしていた。なるほど、抜け殻か・・・。櫓の下側の四角いところ(幾何学的にまともな捉え方だと直方体のところ)に詰所を建てようと計画していたけれど、断念したとか? 諏訪郡原村には下の写真のような実例がある。*1


詰所(屯所)と火の見櫓の位置関係、この場合は前面道路に対して詰所を前に火の見櫓を後ろに建ててある。道路と詰所、火の見櫓の位置関係に注目しなければ・・・。


外付け梯子から踊り場に入る開口部のデザインがなかなか好い。


*1


絶妙な納まり 



6北杜市白州町の火の見櫓

2023-02-07 | A 火の見櫓っておもしろい


1440 北杜市白州町白須 4柱1構面梯子型
(4本の柱で構成される4構面の櫓で1構面が梯子)2023.02.05


 旧甲州街道を進む。生け垣が続く白州町白須の集落。生け垣に挟まれるように火の見櫓が立っていた。柱が4本の立体構造、1構面梯子4柱櫓という型に分類される。


表面が平滑、つるりんちょな半鐘を吊るしてある。櫓の内側に木槌も掛けてある。訊けばこのあたりでも半鐘を叩くことはもう無いようだが、半鐘だけでなく、木槌も掛けてあると、現役感があって好い。


 


4北杜市のガッツリ貫通

2023-02-06 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)北杜市白州町鳥原 4柱4○型トラス脚(倉庫貫通)2023.02.05

 前稿の火の見櫓を見てから国道20号を更に南下した。程なく前方に見えてきたのがこの火の見櫓。このガッツリ貫通は印象に残っている。再度観察した。


この道路は旧甲州街道だと分かった。


整った姿形の火の見櫓だ。上方への逓減の仕方が好ましく、プロポーションが良い。


③の写真と④の写真を見比べて気がついたことがある。風向計の向きが変化している。そうか、この風向計は今も動くんだ。今回初めて気がついた。


撮影方向の違いによって、分かりやすくなる形、分かりにくくなる形がある。屋根の形は④の写真、見張り台の形は⑤の写真が分かりやすい。何を撮りたいのか、はっきりさせて、好ましいアングルを考えるように心掛けたい。


以前はこのような写真を撮って「ハイ、終わり」だった。貫通やぐらということだけを意識していた。




だから、小さい踊り場にかわいらしい手すりが付いていることに注目していなかった。


貫通部分に刀の鍔(つば)のような水切りを付けて雨仕舞対策していることにも気がついていなかった。水切りにどのくらいの効果があるのか分からないが。


倉庫の扉に取り付けられているプレートに記されている建設年。昭和6年12月31日と読み取った。


火の見櫓の横の倉庫の錆びたシャッターボックスに大きく書かれた文字。喞筒はそくとうと読みポンプのことだと知っていたので分かった。瓦斯○ ガスの次の文字が読み取れない・・・。

なんとか「瓦斯倫喞筒置場」と読めた。瓦斯倫、がスリン? そうか、ガソリンだ。分かった時はうれしかった。これはガソリンエンジンで動かす送水ポンプ置場だ。この倉庫に注目したのも今回が初めてだった。やはり一度見るだけで済ませてはダメだ。


 


3北杜市白州町の火の見櫓 

2023-02-06 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)北杜市白州町 4柱44型 倉庫またぎプチ貫通 2023.02.05 

 この火の見櫓は国道20号沿いに立っていて、走行していて遠くからよく見える。


この火の見の側面の写真を撮るのは初めてだと思う。二度、三度と見て初めて気がつくこともある。




屋根の四隅の隅角(すみづの)を撮った。なるほど、こうなっているのか・・・。肉薄と思われる鋼管下地の先にわざわざ如雨露(じょうろってこんな漢字なんだ、意味が分かる)のような別の部材を付けている。祭り神輿にも付けられている蕨手には厄除けの意味があるのではないか、と思うが、この隅角にはどのような意味があるのだろう。


メンテナンスされていてピカピカな火の見櫓は見ていてうれしくなる。踊り場のところの櫓にはブレースは設置していない。4面ともアーチ部材で補強している。


「倉庫またぎ」と「プチ貫通」
脚元の倉庫を跨いでいる。手前の脚部に設置してあるアーチ形の補強部材は倉庫の陸屋根スラブの端部と干渉しており、少しだけ欠き込んで納めている。後方の脚部にはアーチ形の部材は設置されておらず、スラブの端部と干渉していなかった。

消防章を付けたケージの中に赤色灯が取り付けられれいる。


火の見櫓の横は来福寺。

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軒下に小鐘(火の見櫓の半鐘と区別するために小鐘と呼びたい)を吊り下げてあった。鐘の上部の突起には乳という名前が付けられている。鋳物師によって、乳の形は違う。このことを同行のひのみ友だちに説明した。女性に乳の説明というのは、どうも・・・。元々このような寺院の鐘を火の見櫓の半鐘に転用したことがあった、と思う。


 


2富士見町落合の火の見櫓

2023-02-06 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)富士見町落合 4柱44型トラス脚 2023.02.05

 前稿に挙げた美しい火の見小屋を見てから、山梨県道11号を引き返し、国道20号に向かう。国道20号に出る少し手前から、よく目立つ火の見櫓が視界に入ってくる。このあたりは何回も通っているから、既に見ていると思ったが、どうも記憶にない。集落内の細い生活道路を進み、火の見櫓の近くまで行った。下蔓木地区生活センターという館名板が掛けられた建物の裏側に立っていた。生活センターの裏側にまわり、火の見櫓の前に立つ。逆光を気にせず写真を撮った。このように少しシルエット状の写真の方がプロポーションが分かりやすい(苦しい言い訳)。均整が取れていて美しい櫓だ。


屋根の下り棟の先についているのは蕨手ではなく、隅角(すみづの)。見張り台はカシッとした4角形。


集落センターの正面側から順光で撮った。


脚部。これは3角形を構成した正しいトラス脚。

昨夜(5日)写真を整理していて、以前見たような気がしてきて確認すると、やはり見ていた(過去ログ)。





1美しい火の見小屋

2023-02-06 | A 火の見櫓っておもしろい


1439 山梨県北杜市長坂町 4柱44(小屋)型ブレース囲い 2023.02.05

 先月、ひのみ友だちからこの火の見櫓を撮影した写真が送られてきた。親戚の方が偶々この道路(県道11号)を通り、火の見櫓を目にして写真を撮ったとのこと。写真を見て、美しい姿にすっかり魅せられ、是非見に行きたいと思った。場所は中央道小淵沢ICの近く。

昨日(5日)、写真を送ってくれたひのみ友だちと見に行ってきた。中央道を小淵沢ICで降りて、右折。10分足らずで着いた。近くに小淵沢CCがある。


周辺に集落はない。森林火災発見と火災発生時の伝達のための火の見櫓と推測される。

縦長の四角錘台の上に小さな小屋を載せた火の見櫓。細い直線部材で櫓を組み、丸鋼の交叉ブレースを設置している。簡素ですっきりした構造が実に美しい。小屋のプロポーションがまた好い。この櫓の上に載せる小屋の形はこれしかない、と思わせる。縦長の壁面に横長の開口を設けている。不要なものは何もない。機能上必要なものだけで構成されている。




柱脚部分で柱間隔が約4m。そう、これは底面が1辺約4mの正方形。小屋の高さは地上から約10m。大きさはどのくらいだろう・・・。1辺の長さが1.2~1.5mくらいだろうか。




この樹間の小屋を見ていて、吉村順三の名作「軽井沢の山荘」と、やはり軽井沢にある磯崎 新の「鳥小屋(トリーハウス)」と呼ばれる別荘(書斎)が浮かんだ。磯崎さんの書斎「鳥小屋」は木造で大きさは4畳半程度、4本の木の柱で地上から3m近く持ち上げられている。

樹間の小さな書斎で、好きな作家の小説を読む。目の前の木枝で小さな野鳥がさえずる・・・。新緑のころ再訪したい。


脚部は地面の下。この写真では分かりにくいが、丸鋼のブレースの端部(柱との取り合い部)にパイプ式ターンバックルが使われている。これがブレースすっきりの理由。


火の見櫓の横の小屋、「防火監視所」という看板が掛けられている。


この後、北杜市内の火の見櫓めぐりをした。山梨も火の見櫓が多い県、昨日は既に見ているものも含めて18基(*1)の火の見櫓を見た。次稿から順次載せていく。



*1 用途不明の建物(北杜市長坂町日野)の軒下に小鐘が吊り下げられていた。これもカウントして19基としていたが除外した。


「地形で見る江戸・東京発展史」

2023-02-04 | A 読書日記

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 ラジオ番組に出演して火の見櫓について語ったことがある。その時、火の見櫓の姿形の特徴を言葉だけで簡潔に説明することは難しい、ということがよく分かった。テレビ番組で火の見櫓巡りをしたこともあるが、ラジオの時のような説明の難しさはさほど感じなかった。姿形を言葉で説明しなくても映像で視聴者に伝わるから。百回話すより一回見てもらう方が分かってもらえる、ということだ。

『地形で見る江戸・東京の』鈴木浩二(ちくま新書2022年)を読んだ。江戸・東京という都市の成り立ちに地形がどう関わっているのかというテーマについての論考だが、例えば江戸の街への上水の供給が土地の高低差を利用した自然流水によるものだということや、江戸の三大大火のうち、明暦の大火と目黒行人坂の大火(明和の大火ともいわれ、「ぼろ鳶組」にも出てくる)をが取り上げられ、地形と延焼との関係について説明がなされている。

どちらのテーマについても複数枚の2色の地形図(説明図)が載っている。地形図なしの文章だけでは理解が難しい内容だ。火の見櫓の姿形の特徴を口頭説明だけで理解することが困難なことと同じように。私は地形図を参照しながら文章を読んだが、詳細な内容にまで理解が及ばなかった。

百の文章より一の説明図。できればもう少し説明図を載せて欲しかった、というのが理解力不足な私の率直な感想。なお、本書は1月28日付 毎日新聞の書評面でも取り上げられ、評者の湯川 豊さんは**専門の研究が読者にわかりやすく伝えられる、新書のお手本のような一冊であった。**と評している。

この書評を読んだこと、書店で内容を見て明暦の大火が取り上げられていることが分かったことが本書の購入動機。


 


こども新聞で火の見櫓が取り上げられた

2023-02-03 | A 火の見櫓っておもしろい



 「読売KODOMO新聞」は毎週木曜日に発行されるタブロイド判のこども新聞だが、昨日(2月2日)の紙面に「火事の見張り台 火の見やぐら」という見出しの記事が掲載された(第7面の全面)。

上掲した見出しの右横に**かつては当たり前だったけれど、すっかり姿を見かけなくなったモノや流行のいまを探る「絶滅危惧種を追え!」。今回のテーマは「火の見やぐら」だ。**とある。そう、火の見櫓は今や絶滅危惧種。

記事には火の見櫓が初めて建てられたのは江戸時代だということ、火の見櫓がどんどん減っている現状とその理由などが書かれている。また、個性的なデザインとして茨城県常総市水海道宝町の火の見櫓(写真①)、それから2019年の台風19号災害の際、半鐘を叩いて住民に避難を促した長野市の火の見櫓(写真②)も紹介されている。

他に記事には青森県黒石市にある消防詰所の屋根上の火の見櫓の写真も載っている。黒石・・・、ここは何年か前に行こうと計画したが、腰痛で取りやめたところ。いつか行きたい。いつか、っていつ? 来年か再来年。

この記事を読んだ子どもたちが火の見櫓に興味を持ってもらえたら、おじ(い)ちゃんはうれしいな。



茨城県常総市水海道宝町 2016.12.13


長野市大町(長沼地区)2019.05.12

新聞記事に載っている写真は2基とも撮影方向などが違うが、上掲した火の見櫓と同一と判断できた。


記事で紹介されている上記以外の火の見櫓
・渋谷区広尾小学校の屋上の塔屋(火の見櫓としての機能を持っていた)
・大阪駅近くの火の見櫓(現存しない)
・江戸時代の火の見櫓(東京消防庁のHPから)