今日は劇団の若手が『はなうた』という音楽会を開くと言うので、
新宿3丁目にあるライブ&レストラン「新宿ミノトール2」と言う所まで出かけてきた。
多分、我々劇団関係者が行かないと客席は埋まらないだろうと思っていたけれど、
行ってみれば予想通り、お客さんの半数以上は劇団関係者。
僕は、劇団以外の彼らの活動を応援しているから、『お付き合い』ではないですけれどね。
だから、ハッキリ言いますが、単刀直入に『下手くそ』でした。
とても、2500円という『お金を頂ける』ような内容ではなかった。
まず、ちょっとした小芝居を入れて唄を唄うのだけれど、
その芝居も中途半端で、観ていてつまらない。
芝居を見せたいのか、唄を聞かせたいのか?
いずれも中途半端で、それも判らなかったですね。
唄に関しては凄く気になった点があって、メモしたくらいです。
そのメモ内容は以下の通り
・ガギグゲゴの音が『鼻濁音』になっていない。
※がぎぐげごの音を、んが(鼻濁音[ŋ])と言うように、鼻から抜くように発音する事
・音が芯を捉えていない
※ほんのちょっと音程がずれている感じ。チューニングの甘い楽器と一緒。
・コーラスがハモっていない、バランス悪い
※バランスが悪いから、コーラスが一体になって聞こえない。
・ロングトーンが駄目
※音を伸ばした時に、音がフラフラして不安定
・頭の音のアタック弱い
※小節の頭や、休符明けの最初の音の立ち上がりが悪い
僕は専門家じゃないし、自分も似たようなものですから偉そうな事は言えません。
でも、自分が唄う時にいつも気にしている事です。
『鼻濁音』の事以外は、単に練習不足という事の気がします。
だから余計に『お金を頂ける』音楽会では無いなぁ…って感じました。
最初の『鼻濁音』に関しては、今やほとんどの唄い手が出来ませんね。
自立語の語頭や外来語の場合に濁音(非鼻濁音)が用いられ、
それ以外の場合(語中)は鼻濁音が用いられます。
「ガラス」と言うときと「私が」と言うときの「が」の発音は発音上区別する。
今はこういった日本語の美しい発音が、アナウンサーでも出来ない人が居ますね。
そんな中で、小田和正さんの唄は、『鼻濁音』や日本語の美しい響きを意識している気がします。
小田さんの他には井上陽水さん、松田聖子さんなども鼻濁音派ですね。
逆に松任谷由美さんは、意識しているのか?は判りませんが、
鼻濁音を使わない典型的な唄い方をする唄い手です。
今は殆どの唄い手や、我々のような素人が『鼻濁音』で唄えない。
一例として比較してみましょう。
『私が貴方を連れて行く』と言う歌詞が有ったとします。
小田さん(小田派)
わたしが(鼻濁音[ŋ])、あなたを(Wo)、つれてゆく
松任谷さん(ユーミン派)
わたしがぁ(濁音[ɡ])、あなたを(O)、つれていく
僕にはこんな感じでお二人の唄が聞こえます。
先月あった、劇団公演で僕とデュエットした姉さんもユーミン派でしたから、
一緒に唄う部分で、違う音になってしまい戸惑いましたが、それを直す以前に、
唄自体の問題が多かったので、そのまま本番を迎えましてけれど・・・・。
僕は小学校の頃に入っていた合唱団で『鼻濁音』を凄く練習させられた。
そのせいか、僕は普段の喋り言葉でも『鼻濁音』を使う事が多いですね。
まぁ、どちらがいいのかは聞く側の好みだと思いますが、
芝居のセリフでもこういった部分で、言葉の伝わるニュアンスが変わる気がします。
あなたが歌う時、あなたの唄は『小田派』、『ユーミン派』のどちらでしょうね?
この音楽会に来た劇団の人たちは、口を揃えて『良かった』と褒めていましたが、
僕はとてもじゃないが、そんな嘘は言えない。
お客様参加型のライブハウスで唄って、『上手ですねぇ』って言われるようなもの。
どんな下手なお客さんであろうと『下手糞』なんて、言わないでしょう?
お客さんが来てくれなくなっちゃうから、決して本音は言わないですからねぇ・・・・(笑)
カラオケで、他人の唄を聞かされる辛い時間みたいなものです。
僕も音楽でライブをやるんだったら、『お金を頂ける』クオリティーにしたい。
そうでなければ、やる意味がないですからね。
劇団公演の芝居も、お世辞でも上手いなんて言えませんが、
それでも毎年1000名近くのお客様に御来場頂いている。
と言う事は『お金を頂ける』ような内容なんだろうと思っています。
あえて内容と書いたのは、芝居のテクニックだけじゃない、
我々の芝居を観て何かを感じて帰って頂くことだからです。
若手には、もう少し頑張って欲しいなって思ったのでした。