後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「青春の冒険、北アルプスの縦走」

2024年10月03日 | 日記・エッセイ・コラム
苦しい思いをして高い山へ登る人は馬鹿に見えますか?そんなに苦しいのに何故登るのですか?私の場合、答えは簡単です。それが流行だったからです。一番はなやかな登山は北アルプス表銀座を縦走することでした。流行にのって縦走したので、その後、登山が趣味になりませんでした。苦しい、長い縦走は生涯一度だけでした。
しかし88歳になった現在、自分の人生を振り返ってみると、「北アルプス表銀座縦走」の思い出が非常に重要だったと思います。
仕事や人間関係で壁に突き当たった時に、それを乗り越える場合、必ず苦しかった北アの縦走を思い出して頑張ったのです。それは私の人生のエネルギー源になり続けたのです。
ですから若者へ自信を持って言います。「騙されたと思って、一度だけ北アルプス表銀座を縦走せよ!」と。
ここで北アルプス表銀座縦走の写真を示します。出典は、https://mu0629mu.muragon.com/entry/376.html  などです。

1番目の写真は麓の安曇野から見た北アルプス表銀座縦走のコースを示した写真です。

2番目の写真は表銀座縦走のコースの途中ある燕岳、大天井岳、常念岳の写真です。

3番目の写真は表銀座縦走のコースの尾根歩きの様子です。

4番目の写真は表銀座縦走のコースから遥に見える槍ヶ岳です。

5番目の写真はまじかに迫った槍ヶ岳です。
何故、北アルプス表銀座だけにこだわったのですか?答えは簡単です。そのルートが美しくて、はなやかで、当時一番はやっているルートだったからです。
苦しい4日間の山道ですが、普通の若者なら歩き通せます。中年や年老いてからはあまりお薦め出来ません。
北アルプス表銀座縦走とはJR大糸線の穂高駅から中房温泉に泊り、燕岳を乗り越して、大天井岳、西岳と尾根道を縦走し、槍の肩の小屋に泊ります。槍岳に登り、下りて、南岳へ尾根道を縦走して行きます。南岳で一休みし、体力を整えていよいよ最大の難所の大キレットを慎重に渡ります。そして北穂小屋に泊ります。
あとは穂高の主峰に登り、カラ沢を下り、梓川沿いに上高地に出て一泊します。あとはバスで松本へ帰ります。
表銀座ルートとは、「中房温泉ー燕岳ー大天井岳ー槍ー南岳ー大キレットー穂高岳ー上高地」というコースを言うのです。
このルートは燕岳まで登ると眺望が開け、北に立山連峰、南に乗鞍や中央アルプスや南アルプス、八ヶ岳、そして富士山まで見えるのです。その上、山々の斜面には高山植物の花畑が広がっています。
何故こんな山奥に花畑があるのか不思議な思いです。運が良ければ夏毛に変わった雷鳥も見ることが出来ます。涼しい風が爽やかに吹いています。まさに天国のような景観なのです。
この表銀座コースは道も整備されていて若い女性も沢山歩いています。槍岳から槍沢を下って上高地へ出れば危険な大キレットを通らないので女性でも容易に歩き通せるルートなのです。

さて私は1959年23歳の時の夏にこの北アルプス表銀座を縦走しました。貧乏な学生だったので宿泊数を少なくしたのを後悔しています。せめて尾根上の西岳近辺の小屋にもう一泊し、大天井岳や槍の頂上まで登れば良かったと後悔しています。
体力を温存し、遠方まで足を伸ばすために大天井岳と槍岳を征服しなかったのが残念でした。当時は仙台の大学へ行っていたので、東京に出て大糸線の穂高駅まで行きました。上高地から帰って来ました。
上に書いたコースで一番苦しい所は初日の中房温泉から燕岳に登る長い急坂です。尾根に上がってしまえばお花畑を見ながら、涼しい爽やかな風の中を歩きます。もう一つ大変危険な難所は南岳と北穂の間の大キレットです。ルートには鎖がついていますが、左右が切り立った岸壁なのです。一歩一歩慎重に下り、そして登ります。緊張のあまり口の中がカラカラに乾き、声も出なかったものです。北穂小屋に着いたときの安堵感は88歳になった今でも思い出し、ホットしています。
北アルプスの表銀座を縦走した翌年の夏に南アルプスの鳳凰三山を縦走しました。苦しいだけで、はなやかさの無い登山でした。尾根道に樹木が生い茂っていて眺望がないのです。風が吹かず暑いのです。高山植物の花畑が無いのです。南アルプスは北岳、仙丈岳、農鳥岳のような奥山へ登れば花畑が広がって、眺望も良いようですが、私の登山はそれっきりになってしまいました。仕事が忙しくなってそれどころではなくなったのです。
ですからこそ、若人へ言いたいのです。「若人よ暇と体力のあるうちに、絶対、北アルプス表銀座縦走せよ!」と。
その思い出があなたの人生のエネルギー源として、いつもいつも支えてくれるのです。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。後藤和弘(藤山杜人)

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