中東のイスラエル、シリア、イラク、アフガニスタンで戦争という悪魔が活躍している。ウクライナも同じだ。人間の人格が破壊され、惨劇が日常の光景になっている。悪魔が独り笑っている。その戦争は19世紀や20世紀に起きた近代国家同士の戦争とは全く違う性格の戦争なのだ。その原因は日本人の理解を越えている。
このような書き出しで、連載記事、「イスラム過激派による戦争の原因」を始めたいと思います。
中東のイスラム過激派による内戦にはいろいろ複雑な原因が重なっていると考えられます。
しかし3つの大きな原因を私は取り上げてみました。
一つは冷戦終結後、アメリカが中東地域を侵略したことです。
二つ目は中東地域の貧困と格差を抱えた後進性にあります。
そして三つ目に政治的統治はイスラム教に従って行うべきという教義が原因になっていることです。宗教と政治の完全合体が重要な教義になっているのです。
このように考えて連載記事は以下のように続く予定です。
(1)中東で現在何が起きているか?
(2)内戦の原因としての冷戦後のアメリカの中東への軍事介入
(3)内戦の原因としてのイスラム諸国の貧困と格差社会
(4)内戦の原因としてのイスラム教の教義と他宗教との矛盾
(5)内戦終結に日本が出来ること、出来ないこと
さて中東では現在何が起きているのでしょうか?
まず、ユダヤ教のイスラエルとイスラム教のパレスチナ自治区のガザ地域への熾烈な攻撃です。最新鋭の戦闘機を投入し、戦車部隊が歩兵を従えてガザ地域を蹂躙しているのです。西側の地中海からは艦砲射撃もしています。無人機での攻撃のしています。死者は一般市民も含めて1034人以上になったと報道されています。
この戦争の不思議なことはイスラエルは同じパレスチナ自治区のもう一つの地域のヨルダン川西岸地域は攻撃していないのです。ガザ地域だけ攻撃している理由はその地域をハマスというイスラム過激派が支配しているからです。すなわちイスラム過激派とイスラエルという国家の戦争なのです。
アサド独裁政権の続くシリアでは派閥の違うイスラム過激派がアサド政権の軍隊と終わりの無い凄惨な戦争を続けているのです。アメリカはどの過激派集団を支援すべか迷っています。
イラクでも同様でスンニ派の現在の政権を支援しています。しかし同じスンニ派のイランがその政権へ戦闘機や武器を送り支援しています。イランと敵対しているアメリカは戸惑ってしまって強力な支援策が取れません。
そしてイラク内陸部では武装過激派が広大な土地と油田を占領し、「イスラム国」の独立を宣言しました。そこでは完全にイスラム教に従った統治が行われています。
曾てのイランのホメイニ革命と同じような統治を目指しています。
そしてもっと混迷を深めているのがクルド人によるクルド自治区の独立です。
このような混迷を極める内戦という戦争が中東を覆っているのです。日本人の理解を越えるカオスです。
このようなもつれた混戦を整理整頓して明確に理解するために私は3つの原因を取りあげてみました。もちろん私はイスラム社会を専門に研究していない素人なので間違いも多いと存じますが、皆様の考えを深めるキッカケになれば幸いです。
下に参考資料として、イスラム原理主義とイスラム過激派武装集団の説明を添付しておきました。そして写真はイスラエルのガザ地域への攻撃で破棄されたガザの街々の写真です・写真の出典は各種新聞社のネット版からお借りしました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。
後藤和弘(藤山杜人)
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====参考資料:イスラム原理主義とイスラム過激派武装集団の説明======
イスラム原理主義:
イスラム原理主義とは、シャリーア(イスラーム法)に基づいて統治されるイスラーム国家・イスラーム社会の建設と運営を目ざす政治活動や諸運動のうち、アメリカ合衆国の国民・報道・議会・政府などが、アメリカ合衆国に敵対する存在であると見なした国・政府・政党・団体に対して、敵対や侮蔑の感情をこめて使用する言葉である:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E5%8E%9F%E7%90%86%E4%B8%BB%E7%BE%A9
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イスラム過激派:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E9%81%8E%E6%BF%80%E6%B4%BE
イスラーム過激派は、伝統的にはイスラームの理想とする国家・社会のあり方を政治的・社会的に実現しようとする運動であるイスラーム主義の中から生まれ、現代社会の中でイスラーム的な理想の実現にとって障害となっているものを暴力によって排除しようとする人々ことである。エジプトのムスリム同胞団の理論家であったサイイド・クトゥブ(Sayyid Qutb)の「イスラム教国の世俗化・西洋化・共産化を志向する指導者が統治し腐敗と圧制が蔓延する現世は、イスラム教成立以前のジャーヒリーヤ(無明時代)と同じであり、武力(暴力)を用いてでもジハードにより真のイスラム国家の建設を目指さなければならない」とするクトゥブ主義(Qutbism)がイスラーム過激派の行動の原点となっている。
西側の多くの国家からテロ組織に指定されている主要なもの
アルカーイダ: 多国的
ユダヤ・十字軍に対する聖戦のための国際イスラム戦線: 多国的
トルコ・ヒズボラ(クルド・ヒズボラ):(Turkish Hezbollah) トルコ
大東方イスラム砲撃戦線:(Great Eastern Islamic Raiders' Front) トルコ
アンサール・アル・イスラム:(Ansar al-Islam) イラク
アンサール・アル・スンナ: イラク
イラク・イスラム軍: イラク
イラクの聖戦アルカーイダ組織: イラク
マフディー軍: イラク
アル・アクサ殉教者旅団:(Al-Aqsa Martyrs' Brigades) パレスチナ(ヨルダン川西岸地区)
ハマース: パレスチナ(ガザ地区)
イスラーム聖戦: パレスチナ・シリア
ファタハ・イスラム: レバノン
ヒズボラ: レバノン
アラビア半島のアルカーイダ: イエメン
エジプト・イスラム・ジハード団: エジプト
イスラム集団: エジプト
イスラーム・マグリブ地域のアル=カーイダ機構: アルジェリア
武装イスラム集団: アルジェリア
モロッコ・イスラミック・コンバタント・グループ:(Moroccan Islamic Combatant Group) モロッコ
アル・シャバブ:(Al-Shabaab) ソマリア
ボコ・ハラム: ナイジェリア
ジャイシュ=エ=ムハンマド: パキスタン(カシミール)
ラシュカレトイバ: パキスタン(カシミール)
ハラカト=ウル=ムジャヒディーン:(Harkat-ul-Mujahideen) パキスタン
パキスタン・ターリバーン運動: パキスタン
インディアン・ムジャヒディーン: インド
インド学生イスラム運動:(Students Islamic Movement of India) インド
ジャマアト=ウル=ムジャヒディーン:(Jamaat-ul-Mujahideen) バングラデシュ
ヘズブ・エ・イスラミ・グルブッディーン: アフガニスタン
ターリバーン: アフガニスタン
ウズベキスタン・イスラム運動: ウズベキスタン
東トルキスタンイスラム運動: 中国(新疆ウイグル自治区)
ジェマ・イスラミア: インドネシア
ラスカー・ジハード: インドネシア
アブ・サヤフ: フィリピン
モロ・イスラム解放戦線: フィリピン
パタニ連合解放組織: タイ
カフカース首長国: ロシア