国際情勢と言ってもどの分野を見るかによって見える風景や情勢は変わってきます。
今日は他国への経済投資とか貿易に関する分野に限って日本人が注目すべき最近の国際情勢を概観したいと思います。
さて日本の輸出入総額からみると最重要国は中国で、2位がアメリカ、3位が韓国です。続いて台湾、香港などが日本の経済に直接影響を与える重要な国々です。
ですから中国の国際投資と貿易の動向には常に深く注意観察し、その日本への影響を深く考えるべきと思っています。
その上、中国の経済力は軍事力の背景になっていますから日本の軍事的安全にも影響があるのです。
先週の3月22日に中國の習近平国家主席はイタリアに行き、イタリアの港湾開発に8700億円の投資をすることになりました。これが完成されれば地中海の真ん中に中國の経済活動の拠点が出来るのです。
経済活動の拠点は容易に軍事活動の基地に転換出来るのです。
イタリアに海軍基地を持っているアメリカは神経を尖らしています。
続いて習近平主席が訪問したフランスでは、マクロン首相が中国のイタリアの港湾開発に反対の立場を表明しています。
マクロン首相といえば、その富裕層優遇政策へ反対する大規模なデモが続いていますが、今回の中国に対する強固な姿勢はフランスの新聞から支持されています。
この中国の動きは、「一帯一路」がいよいよヨーロッパの中枢に手を伸ばしたことを意味します。
これによって中国は日本との経済交流でも現在よりも優位な立場に立つことを意味しています。
まさか日本の港湾開発に中國が直接投資することはないでしょうが注意深く見守るべき最近の国際情勢なのです。
この中国のイタリアの港湾開発に関する産経新聞の電子版のニュースを以下に転載します。
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「一帯一路」攻勢、EUは分断警戒 習主席ローマ入り===
【パリ=三井美奈、ベルリン=宮下日出男】中国の習近平国家主席は21日、欧州歴訪の最初の訪問地ローマに到着した。イタリア滞在中、港湾整備など経済協力で合意する予定。交通インフラを中心とする中国の投資攻勢に、欧州連合(EU)で警戒感が強まっている。
習氏の訪欧には、経済界の約300人が同行。23日には中国の巨大経済圏構想「一帯一路」でイタリアと覚書を交わし、総額約70億ユーロ(約8700億円)の経済協力を打ち出すとみられる。ロイター通信によると、習氏は22日、マッタレッラ伊大統領と会談し、共同記者会見で「港湾整備や海上交通で、両国の協力を進めたい」と述べた。
経済協力の目玉は、
トリエステ港、ジェノバ港への中国投資。習氏は23日、シチリア島を訪問予定で、現地インフラへの参入計画も浮上する。同島は地中海の中心にあり、アフリカに面する交通の要衝だ。
仏ジャック・ドロール研究所の報告書によると、中国の対欧投資は2017年、交通インフラが51%を占めた。中国資本が参加する港湾は欧州で少なくとも14カ所。地中海岸は特に活発で、中国遠洋海運集団(COSCO)はギリシャのピレウス港を買収したほか、スペインのバレンシア港にも参入した。
同報告書は、港湾投資は貿易拠点となるだけでなく、「軍事作戦の補給拠点となる」と分析する。
中国はアフリカのジブチに軍事基地を建設。エジプトのスエズ運河再開発にも参加しており、イタリア沿岸に拠点を設ければ、東西をつなぐルートができあがる。
EUは21、22日の首脳会議で、新たな対中政策「戦略見解」を採択する予定。域内では独仏が中国投資に警戒感を示す一方、南欧債務国のポルトガルやギリシャ、旧共産圏の13カ国がすでに「一帯一路」の覚書を結んでおり、分断が進む。
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もう一つの日本にとって重要な国際ニュースはタイの政治情勢が安定したことです。
タイは日本企業が沢山工場を持っている国の一つです。それが軍事クーデターと続く軍事政権のおかげでデモや騒乱が続いていたのです。
それが今回のかなり民主的な総選挙で安定した政治情勢にんる様子です。
タイに展開している日本企業が安心して現在よりも活動を活発に出来るのです。
軍事政権の延長なので完全に民主的な政権とは言えませんが日本にとって明るいニュースです。
以下に朝日新聞の電子版の記事を転載します。
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タイ総選挙、軍政首相の続投が濃厚 暫定結果===
タイの選挙管理委員会は25日、民政移管に向けて24日に実施された総選挙について、下院定数500のうち350の小選挙区の暫定結果を発表した。反軍政のタクシン元首相派のタイ貢献党が首位だが、親軍政の国民国家の力党も2位につけた。比例代表を加味すれば両党の差は縮まり、連立交渉を経て軍政のプラユット暫定首相が続投する可能性が濃厚になっている。
選管によると、各党の小選挙区の暫定議席は、タイ貢献党が137、国民国家の力党が97、中堅政党のタイ名誉党が39、反タクシン派の民主党が33、反軍政の新未来党が30などとなっている。
今回の選挙制度は各党の得票率に応じて下院全議席を割り振る仕組みで、小選挙区で割り当て分の議席数を上回ると比例代表の議席が得られなくなる。比例代表の議席は5月9日までに選管が発表するとしているが、タイ貢献党は比例での上積みはなく、国民国家の力党には一定の議席が積み上がる見通しだ。
総選挙後の首相指名には軍政が事実上任命する上院の250人が投票に加わるため、親軍政勢力は126議席を取れば上下両院合計の過半数でプラユット氏を指名できる。国民国家の力党は最低でも第2党が確保できそうなことに加え、中堅政党などを連立に引き込むことで、プラユット氏を首相に就けることが可能とみている模様だ。
国民国家の力党のウッタマ党首は25日の記者会見で、「理念や政策をともにする政党と連立協議に入る」と述べた。(バンコク=貝瀬秋彦、染田屋竜太)
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この他にも日本の経済に影響する国際ニュースはありますが記事が長くなりますので止めます。
今日は日本人が注目すべき最近の国際情勢として中国のイタリアの港湾開発とタイの民主的な総選挙のニュースを概観いたしました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
今日の挿し絵代わりの写真は勢い良く咲いている雪柳の写真です。昨日撮ってきました。