北海道の風景で、本州とは非常に違うのは、はるか地平線まで続く牧草地の風景と思います。
兎に角、気の遠くなるような広さなのです。
その広い空間に立つと心に羽根がついて飛んでいるような開放感があります。身が軽くなって心配事が一切消えてしまいます。
ですから広大な牧草地に立って、いつまでも眺めて来ました。毎日、2回くらいずつ
牧草地に立ってボンヤリして来ました。ああ北海道は良いなあとしみじみ思います。
そんな写真を下に示します。
国道を走っていると数キロごとに上に示したような看板があり、その牧場へ入る道があります。
その道に入っても農家や牧舎が見えません。何キロも奥の方にあるのです。
そこで、看板の陰に車を停め、まわりの写真を撮ります。下のような風景が延々と続き、人間の姿も牛の姿も見えません。
牧草地には人影も牛馬の影もありません。静かな秋風が吹いているだけです。
車でいくら走っても牧草地には牛や馬が放牧されていません。牧草だけが一面に茂っているのです。そこでもっと詳しく観察するために、下の写真のように牧草地を歩きまわりました。
春に耕した耕運機のわだちの跡がかすかに残っているだけで牛馬の糞が落ちていません。放牧した形跡が無いのです。
それでも根気よく探しましたらやっと乳牛が霧の中で草を食べているのを見つけました。
それで判りました。乳牛は放し飼いにしないで牧舎の中で飼うものなのです。
牧草地は刈り取って、冬の間に牧舎の中で乳牛に与えるのです。
下の写真がその事を示しています。牧草地の中に見える黒い点々や白い点々が刈り取った牧草の塊なのです。写真では点々に見えますが、一個の点は直径1.5メートルくらいの巨大な牧草の巻き物なのです。長さも1.5m位あり一個の重さは400kgくらいありそうです。
白い塊や黒い塊は、牧草の巻を物を白いビニールか黒いビニールで包んだためです。このようにビニール布で包んで密閉しておくと、中の牧草が発酵して牛の食欲増進に役立ち、消化も良くなるそうです。
このように牧草地は、数十頭の乳牛の一年間の飼料を生産する畑なので、広大な面積が必要なのです。
勿論、夏の間は牧草地の一部に放牧しますが、それは極く限られた面積しか使いません。沢山の濃厚な牛乳をつくるには牧草だけでなく栄養価の高い穀類飼料を与えることが重要なのです。トウモロコシ畑も広がっています。
それを考えながら、自分の山林の中の小屋の隣にあった乳牛農家の牧草地を思い出しました。
夫婦で28頭の乳牛を飼っていました。200mX200m位の牧草地を持っていましたが、そこへ乳牛は放牧しないのです。春夏秋冬、いつでも牧舎の中で飼っていました。牧草地の草は鎌で丁寧に刈り取って牧舎の中の牛へ与えていました。
そんな事を思い出しながら広い牧草地を散歩してきました。
それで思い出したのですが、刈り取った牧草の塊を「牧草ロール」と言いました。「牧草ロール」を検索するといろいろな情報があります。下にその牧草ロールの写真を示します。
写真の出典は、http://www.n-slow.com/communication/uploads/photos/27.jpg です。
写真をお楽しみ頂ければ嬉しく思います。(終り)