日本は軍備を強化しつつあります。ヘリコプターの母艦を改良して垂直離着陸の出来る戦闘機を乗せた航空母艦にしています。兵器もアメリカから先端技術を用いたものを導入しています。
日本人は74年前の戦争の悲惨さを忘れているのです。
こんな時代だからこそ昔の戦争の悲惨さや残酷さを思い出すことが重要ではないでしょうか。
そんな想いで今日も昔の戦争の愚かさ残酷さをもう一度書いて置きたいと思います。平和を願う方々がご覧になるように祈ります。
今日は込み入った内容の記事ですので、分かり易くするために次のように3つの部分に分けて個条書にします。
(1)何故、日本人は特攻の14009人の死は無駄だったと思い込んでいるか?
(2)特攻関連の戦死者は14009名だった。
(3)日本軍が沈めた連合国軍の艦船と損害の概略。
さてそれでは3つの項目を少し詳しく説明します。
(1)何故、日本人は特攻の14009人の死は無駄だったと思い込んでいるか?
1945年、日本はアメリカ連合軍に完膚無きまでに敗けました。日本を占領したマッカーサ-総司令官のGHQは日本の軍国主義を根絶するためにあらゆる手段、方法を用いたのです。
その重要な一つに新聞の検閲と放送や出版物の徹底的な規制でした。
そして日本の軍部の戦果は具体的に報道することを禁止し、日本軍は戦略の無い愚かな戦争をしたと宣伝したのです。
従って神風特攻隊も全く無駄だったと主張したのです。当然、日本人は特攻は無駄だったと思い込んでしまったのです。
しかし一方、アメリカ国内では神風特攻隊の上げた大きな損害を発表していたのです。勿論この事実は日本の新聞には一切発表させなかったのです。
以下にアメリカの新聞記事などをご紹介いたします。
まずマッカーサー太平洋戦域連合軍総司令官の感想です。
(出典は、https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13128680533 です。)
「沖縄では、特攻の日本軍機による攻撃で我が軍は艦船36隻沈没、破壊368隻、航空機損失800機の損害を出した。これらの損害は米海軍がメルボルンから東京までの間に受けたそれまでの損害を遥かに超えるものである。」
そして太平洋艦隊司令長官のニミッツ元帥はもう少し具体的に語っています。
(4ヵ月にわたった沖縄戦で)「我が海軍が被った損害は、戦争中のどの海戦より遥かに大きかった。沈没30隻以上、損傷300隻以上、9000人以上が死傷もしくは行方不明になった。この損害は主として日本軍の航空攻撃、主に特攻によってなされた。」
またアーネスト・キング海軍元帥も次のように語っています。
「4月6日からはじまった日本機の特攻攻撃は、いままで嘗てなかった激烈なものだった。この特攻戦は凄惨を極めた。(略)海上では戦死行方不明4907名、戦傷4824名であった。 艦船は沈没36隻、損傷368隻であり、飛行機の喪失は763機であった。」
特攻が開始された1944年10月から終戦までのわずか10ヶ月間に、米海軍史上最大の損害を与えたのです。
日本人が特攻は無駄だったと思い込んでいたのは完全に間違っていたのです。
さてその詳細へ進む前に次の5枚の写真をご覧下さい。
1番目の写真は霞ヶ浦西岸の陸上自衛隊武器学校敷地内にある予科練特攻隊戦死者の展示館、「雄翔館」の外に立っている予科練生の銅像です。2008年10月24日 に私が撮った写真です。
2番目の写真は1944年10月25日、神風特攻隊敷島隊の零戦の特攻で搭載燃料と弾薬が誘爆して爆沈した護衛空母セント・ローです。以下の写真の出典は、「https://ja.wikipedia.org/wiki/特攻で損害を受けた艦船の一覧」です。
3番目の写真は1945年1月1日、リンガエン湾に向けて航行中にスールー海で神風特攻隊旭日隊の特攻を受け炎上する護衛空母オマニー・ベイです。この後に沈没しました。
4番目の写真は1945年6月10日、特攻機が至近弾となって大きく傾いた駆逐艦ウィリアム・D・ポーター(en:USS William D. Porter (DD-579))です。復旧作業も実らずこの後に横転し沈没しました。
5番目の写真は1944年10月30日神風特攻隊葉桜隊の零戦1機の特攻を受け艦載機が次々と炎上している軽空母ベローウッドです。奥は同じく特攻で炎上する正規空母フランクリンです。
さて沖縄戦だけで艦船36隻沈没、破壊368隻、航空機損失800機の損害を与えた特攻隊の戦死者は如何ほどだったのでしょうか?
(2)特攻関連の戦死者は14009名だった。
2008年10月現在確認されている特攻隊員戦死者数は次の通りです。
海軍
海軍航空特攻隊員:2,531名
特殊潜航艇(甲標的・海竜)隊員:440名
回天特攻隊員:104名
震洋特攻隊員:1,081名
合計:4,156名
陸軍
陸軍航空特攻隊員:1,417名
丹羽戦車特攻隊員:9名
陸軍海上挺身隊員(マルレ):263名
合計:1,689名
この他に第二艦隊戦没者、回天を搭載して出撃し未帰還となった母艦潜水艦搭乗員、移動中の乗船海没などにより地上戦に参加した戦没者等の特攻作戦関連戦没者が、
第二艦隊戦没者:3,751名
回天部隊関連戦没者:1,083名
震洋部隊関連戦没者:1,446名
陸軍航空関連戦没者:177名
海上挺身隊関連戦没者:1,573名
空挺部隊関連戦没者:100名
その他(終戦時自決・神州不滅特攻隊、大分702空等)戦没者:34名
合計:8,164名
以上合計14,009名を数えるのです。(Wikipediaの特別攻撃隊より引用しました)
(3)日本軍が沈めた連合国軍の艦船と損害の概略。
出典の、http://kokoteikoku.web.fc2.com/Zakki/Senka.html に感謝し、その前半をそのまま転載します。
・・・日本軍の総合戦果(艦船)の集計です。・・・
主に太平洋戦記2の史実解説を参考としました。
間違ってるところもあるかと思いますので、気が付いた時に修正していきます。
連合国軍喪失艦船(太平洋戦域)
太平洋戦域で沈んだ連合国軍の艦船です。
喪失したというだけで事故なども含みますのですべて日本軍が沈めたというわけではありませんが、
間接的には貢献しているので日本軍の戦果に含めてもいいかと思います。
戦艦4隻
空母4隻
軽空母2隻
護衛空母(軽装備の空母)5隻
重巡洋艦11隻
軽巡洋艦6隻
駆逐艦74隻
護衛駆逐艦(軽装備の駆逐艦)4隻
潜水艦60隻
日本の潜水艦が撃沈した連合国商船184隻(907000総トン)
爆撃や砲撃などで沈めたものは不明
以上の内訳は以下の通りです。
(1)アメリカ軍
戦艦 2隻(判定 難しいところ。普通の海上なら5隻撃沈だが、港で浅くて3隻復活してるので2隻か)
オクラホマ(41.12.8 真珠湾攻撃により沈没したが浮揚のまま放置)
ネバダ(41.12.8 真珠湾攻撃により大破着底したが浮揚修理で復活)
アリゾナ(41.12.8 真珠湾攻撃により沈没)
カリフォルニア(41.12.8 真珠湾攻撃により沈没したが浮揚修理で復活)
ウェストバージニア(41.12.8 真珠湾攻撃により沈没したが浮揚修理で復活)
空母 4隻
レキシントン(42.5.8 珊瑚海海戦にて沈没)
ヨークタウン(42.6.7 ミッドウエー海戦後潜水艦の雷撃にて沈没)
ホーネット(42.10.26 南太平洋海戦にて沈没)
ワスプ(42.9.15 潜水艦の雷撃にて沈没)
軽空母 1隻
プリンストン(44.10.24 レイテ海戦にて空襲により沈没)
護衛空母(軽装備の空母) 5隻
リスカムベイ(43.11.24 潜水艦の雷撃により沈没)
セントロー(44.10.24 レイテ海戦にて特攻機により沈没)
ガンビアベイ(44.10.24 レイテ海戦にて砲撃により沈没)
オマニーベイ(45.1.4 特攻機により沈没)
ビスマルクシー(45.2.21 硫黄島沖にて特攻機により沈没)
重巡洋艦 7隻
ノーザンプトン(42.11.30 ルンガ沖夜戦にて沈没)
シカゴ(43.1.30 レンネル沖海戦にて沈没)
ヒューストン(42.3.1 バタビア沖海戦にて沈没)
インディアナポリス(45.7.30 伊58の雷撃にて沈没)
アストリア(42.8.9 第一次ソロモン海戦にて沈没)
クインシー(42.8.9 第一次ソロモン海戦にて沈没)
ビンセンス(42.8.9 第一次ソロモン海戦にて沈没)
軽巡洋艦 3隻
ヘレナ(43.7.6 クラ湾夜戦にて沈没)
アトランタ(42.11.13 第三次ソロモン海戦にて沈没)
ジュノー(42.11.13 第三次ソロモン海戦にて沈没)
駆逐艦 60隻
平甲板型(第一次大戦時の旧式駆逐艦) 11隻
ファラガット型 3隻
ポーター型 1隻
マハン型 7隻
クレイブン型 4隻
シムス型 4隻
リバモア型 8隻
フレッチャー型 19隻
A・M・サムナー 3隻
護衛駆逐艦(軽装備の駆逐艦) 4隻
潜水艦 46隻
(2)イギリス軍
戦艦 2隻
プリンス・オブ・ウェールズ(41.12.10 マレー沖海戦にて沈没)
レパルス(41.12.10 マレー沖海戦にて沈没)
軽空母 1隻
ハーミス(42.4.29 セイロン島沖海戦にて沈没)
重巡洋艦 4隻
コンウォール(42.4.5 セイロン島沖海戦にて沈没)
ドーセッシャー(42.4.5 セイロン島沖海戦にて沈没)
キャンベラ(42.8.9 第一次ソロモン海戦にて沈没)
エクセター(42.3.1 蘭印にて砲雷撃により沈没)
軽巡洋艦 1隻
パース(42.3.1 バタビア沖海戦にて沈没)
駆逐艦 8隻
潜水艦 4隻
(3)オランダ軍
軽巡洋艦 2隻
ジャワ(42.2.27 スラバヤ沖海戦にて沈没)
デ・ロイテル(42.2.28 スラバヤ沖海戦にて沈没)
駆逐艦 7隻
潜水艦 8隻
(4)ソ連軍
潜水艦 2隻
以上の表で注目すべきはイギリスの潜水艦4隻とオランダの潜水艦8隻が沈んでいることです。
多くの戦後教育を受けた日本人は太平洋地域で連合国側がイギリス、とオランダを含めて、これだけ数多くの悲劇が起きたことを知りません。
それでは上に示した表は正しいでしょうか?私は原資料のアメリカ海軍がネット上に発表している以下のような情報を確認しました。
(1)「第二次世界大戦中のアメリカ海軍の喪失艦一覧」
https://ja.wikipedia.org/…/%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E4%B…
(2)Tabular Summary of U.S. Submarine Losses During World War II
https://www.ibiblio.org/hyper…/…/rep/WDR/WDR58/WDR58-II.html
原資料は沈没した場所の正確な経度と緯度と月日が示されています。
そして数を付き合わてみると上で示した数字には2,3隻の誤差があるようですが大体において正しいことを確認しました。
これ以上はあまり長くなりますのでここで止めます。
詳しくは以下の私が書いた記事も合わせてご参照下さい。
(1)日本の攻撃で沈んだ連合軍の60隻の潜水艦、嗚呼、戦争の悲劇!
2017年09月25日
(2)「特攻隊による400隻艦船の損害に関する米海軍からの公開一覧表」
2017年09月22日
(3)「何故多くの人は特攻は無駄だったと信じているのか?」
2017年9月12日掲載
(4)沖縄沖で特攻で大破した空母、駆逐艦など404艦艇と航空機763機に対する評価
2017年08月20日
(5)特攻攻撃が与えた意外に大きい連合国側の損害の一覧
2017年08月14日
(6)日本文化と武士道が特攻隊の悲劇を生んだ
2017年08月14日
今日は太平洋戦争で起きた事実の一部だけをご紹介しました。
上の書いた事実で引き起こされた残酷さと悲劇の数々をご想像下さい。
戦死した多数の日本兵やアメリカ兵などはみな若くして尊い命を失ったのです。戦死者の約10倍の兵士が戦傷を負ったのです。その家族たちの悲嘆もご想像下さい。
この昔の戦争の残酷さをもう一度思い起して、世界に真の平和を作るように努力すべきです。
犠牲になった日本の特攻隊関連の全ての死者のご冥福をお祈りします。
同時に戦死した連合国軍の死者のご冥福をお祈りします。
そして太平洋戦争に巻き込まれ戦没した全てのアジア人のご冥福を心からお祈りいたします。後藤和弘