575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

孟宗竹                草女

2008年02月08日 | Weblog
 海上の森の中にはいくつかの竹林があり、その1つにモウソウチクの林がある。
 2月の初めの風に長い棹の先どうしが打ち合い、澄んだ音をたてている。かぐや姫が入っても丁度良い大きさ、直径20cm高さが20mぐらいもある。
 孟宗竹が日本に渡来したのは江戸時代。児童文学者の那須正幹氏の「銀太捕り物帳・お江戸のかぐや姫」というお話の中に、園芸好きの旗本のご隠居が孟宗竹について語る場面がある。
「孟宗竹というのは、薩摩藩のお止め草でなあ。江戸のはじめの頃には薩摩屋敷にしかなかったのじゃが、出入りの植木屋がこっそり株を持ち出してそれが世間に広まったのじゃ。可哀想な事に持ち出した植木屋は薩摩藩の手で処刑されたということじゃ。」
 なかなか面白い話である。那須氏の時代考証は定評があり敬意を表しているが、手持ちの本などを調べてみてもご隠居の語る件の記事は見当たらない。
 ただ有岡利幸著の「日本植物文化誌」こんな記述はあった。孟宗竹は元文元年(1736年)琉球王国から薩摩藩に献上され、安永8年(1779年)江戸の下屋敷に移植されたのが、各地に広まったという。この記述の行間から植木屋の話の可能性が感じられない訳ではないが。
 ところで、海上の森の孟宗竹林に、10cmぐらいの筍の皮が落ちていて、まだ瑞々しくて美味しそうでもあった。猪の仕業である。今の時期どんなどんな達人でも見つけられないほど深い地中にある。・・・猪の超人的能力に感心しつつも、食べたい悔しさを、お止草の薀蓄を仲間に話すことで晴らしたいのに・・・
 どうしてくれるの那須さん!!!

  一むらの竹の春ある山家かな       高浜虚子
  天上に風あるごとし竹の春        佐藤和夫
  
 
コメント (3)
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