575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

新米のおかゆを食べて祖父が逝く   麗子

2013年09月05日 | Weblog
せめてものおもてなし。思い出つくりになりました 、と鳥野さん。

とても重いコトをさらっと詠んでいます。
「食べて」と「逝く」との間に、かなりの時間の経過があるのでは?
俳句は短い詩形。これだけの時間を詠むのは不得手です。
「食べた」時か、「亡くなった」時。
ある時点に絞った方が良いと思います。

病床の祖父におかゆを運ぶ時点に絞ってみます。
お粥は病気の重いことを表す重湯に。

  新米の重湯を運ぶ祖父の床

運ぶや床は、言わずもがなですから。

  新米や祖父の重湯に手を添えて

死の床についた病人の耳元で米を入れた筒を振る。
飢饉について書いた本にあった話です。
この句から、そんなことを思い出しました。

                     遅足


コメント (1)
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