575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

底割れの行方は知らず七変化   伊奈治

2016年07月17日 | Weblog
句集「空性(くうしょう)」の中の一句。
作者は、昭和25年生まれ。町の株屋さんとのこと。

  水温む濡れ手で掴む為替益

  雲の峰仕手の筋書き詠み切れず
  
  秋風や吹値逃さず指値売り

  先物の底値を拾ふ夜なべかな

  去年今年塩漬け株はそのままに

一年が経ちました。

  のどけしや泡銭にもどつと税

吹値、指値など、業界用語も登場。
押目とは上り相場が下がりはじめることだそうです。
神経をすり減らす仕事なのでしょうね。こんな句も。

  ねんごろに胃の腑覗かれ四月尽

タイトルの「空性」とは、インド仏教の祖師・龍樹が著した
「中論」に由来し、すべての現象はそれぞれの関係性の上に
成り立っているとする考え。換言すれば縁起のこととか。

お遍路の句もあります。

  花吹雪浴びて同行二人かな

  これやこの善根宿の般若湯

  唐辛子噛んで色即是空かな

句を詠む苦しさも

  ゴーヤ苦しもうあと一句まだ一句

楽しい句集でした。  遅足

コメント
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