575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

「新聞紙の詩」

2020年04月12日 | Weblog


「新聞紙の詩」
 
けふ此頃の新聞紙をみろ

此の血みどろの活字をみろ

目をみひらいて讀め

これが世界の現象である

全世界を手にとるやうにみせる一枚の新聞紙

その隅から隅まで目をとほせ

活字の下をほじくつてみろ

その何處かに赭土の痩せた穀物畠はないか注意せよ

そしてその畝畝の間にしのびかくれて

世界のことなどは何も知らず

よしんばこれが人間の終焉であればとて

貧しい農夫はわれと妻子のくふ穀物を作らねばならない

そこに殘つた原始の時代

そこから再び世界は息をふきかへすのだ

此の黄金色した幻想に實のる希望よ


山村暮鳥「新聞紙の詩」は1918年に刊行された詩集
「風は草木にささやいた」に収められています。この
年、スペイン風邪が世界的流行となり日本における感
染者数2,380万人、死者は38万人。そして102年とい
う時を経て新型コロナウイルス感染症の爆発的感染。
暮鳥「血みどろの活字」が再び紙面を襲います。<殿>
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4月句会の投句が集まりました。

2020年04月12日 | Weblog
コロナウイルスの感染が身近に・・・。大変な時代に遭遇。
それでも春になれば「風はひかり」花の季節に。

題詠は「風光る」です。

1  疾走の人馬一体風光る
2 ここよりは石と死の街風ひかる
3 鞘かかげカラスノエンドウ風光る
4 風光る町を待つなり世界中
5 二世帯の新表札や風光る
6 風光る露人の墓標帰れるや
7 釣り糸を放つ水面や風光る
8 風光る新(さら)の自転車新のベル
9 おさなごの震える柔毛風光る
10 風光る竹の擦り合う音楽し
11 手作りの弁当広げ風光る
12 誰を待つ 揺れる三つ編み 風光る
13 うたた寝の 祖母の童顔 風光る
14 風光る画集の旅のボツティテェリ
15 ランドセル公園デビュー風光る
16 風光る煉瓦の母校飛花の中
17 日本丸満船飾の風光る

自由題

1 対角線切るや燕(ツバクロ)胸白し
2 花籠の送られ来たり巣立鳥
3 空と海 縫いあげてゆく 春驟雨
4 ここにあり主張の枝垂れ桜かな
5 春満月手配書じっと見る漢(をとこ)
6 石仏の ささめきあまた 風眩し
7 浮かれ気分宙ぶらりんに春の行く
8 水鳥は風と光を蹴って発つ
9 四月馬鹿と一蹴したきウイルス禍
10 チューリップ死にたくないと病める夫
11 満開の桜は知らずコロナの禍
12 桜咲くブルーシートなしの一人勝ち
13 弔問の帰路ふりそそぐ花吹雪
14 ミモザあればミラノの女史に航空便
15 空一面花ふぶき湧き溺れたり
16 若芝をひたすら摘まむ幼子や
17 万愚節であってほしいコロナ厄

夢なら覚めてほしいウイルスの悪夢。
さて、どの句が票を集めるのでしょうね。  遅足



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