花吹雪が空から湧き溺れてしまいます。
描写から詩的表現への転換。発想の飛
躍が心地よくふたつの動詞も的確に機
能している感。
花吹雪。華やかなさまと散ってゆく儚
げなさま。日本人の琴線に触れる美し
い語句のひとつでしょう。しかしコロ
ナ禍により花見は自粛。見られること
なく散ってゆく桜に儚さを感じた方も
多いでしょう。
「花の影 寝まじ未来が 恐ろしき」
<小林一茶>
小林一茶。本名は小林弥太郎。信濃の
農家の生まれ。俳諧ヘのデビューは25
歳。39歳の時に父を失い不仲だった継
母との遺産相続で困窮します。信濃に
帰郷し52歳で結婚しますが、愛妻と4
人の子どもは次々と夭折。そして自宅
を火事で失い多難な人生の幕を降ろし
ます。享年65歳。
「やけ土の ほかりほかりや 蚤さはぐ」
一茶の俳句は、童謡のようなやさしい
表現や擬音を用いたりするため、低俗
との批判があります。しかし一茶の飄
々とした排風は、人生の苦難を乗り越
え蒸留された美酒という気がします。
さまざまな評価がなされる小林一茶。
句会の諸氏はいかがお考えでしょうか。
「やせ蛙 負けるな一茶 是にあり」
<写真と文、殿>