湯豆腐を通して父と娘の情の通い合いが見える秀句、こちらもたくさんの票を集めました。
「一人暮らしの父の所へ行った時、何も無いけれどと湯豆腐を振舞ってくれました。」と作者。
今でこそ「男の料理教室」なども珍しくなくなり、厨房にはいってプロ並みの腕前を見せる方もおられるでしょうが、この世代の男性はどうでしょうか。「ちゃんと食べているかな」と心配して覗きに行く娘、お父さまは一人暮らしの冷蔵庫から豆腐をとりだし湯豆腐をふるまってくださったのでしょう。薬味のネギはおそらくちゃんと切れていないか不揃い、鍋の中でコトコト揺れる湯豆腐。温かくやさしい時間が流れていたにちがいありません。
結宇さん:今の若い世代には、湯豆腐の味はあまり歓迎されないかな? 父の場に合わせてあげるなどは、いい雰囲気です。
晴代さん:「せめてもと」に父上の愛情があふれていますね。
千香子さん:「何もないけど旨い豆腐を見つけたよ」という父の愛情こもった豆腐、美味しさも増すことでしょう
亜子さん:「せめてもと」にお父さんと一緒に分かち合いたい気持ちが出ている。これも人生の中の心の動きがあり⑨と似ている。
佐保子さん、竹葉さんもとられました。
亜子さん指摘の⑨ というのは
湯豆腐や反芻いくど寝る(いぬる)まで 結宇
私は読み切れずにおりましたが
◆「反芻いくど」に心にある葛藤がうかがえる。それが寝るまで何度もよみがえる。
湯豆腐は、他の鍋ものと違って「日常生活の何か」を引き出してくれる。
「待つ時間」が人生の何かに通じる。 と亜子さんからのコメントがありました。
なるほど。昨日の句に続き深いです。
何の薬味で食べようか、豆腐だけでは物足りないかなアなどと思うだけの私、
今夜は湯豆腐にしようかしら。 郁子