今月のもうひとつのトップ賞、千香子さんの秀句です。
ジュゴンは「人魚」のモデルとなったと言われる海の哺乳類です。親近感をいだくふくよかな体格(笑) 鼻のあなをぱかっと開け閉めする愛らしさが私は大好きです。日本国内では沖縄島の東部の沿岸域にわずかに見られるそうですが、米軍基地移設により辺野古の海では絶滅が懸念されています。
泉さん:埋め立て計画が実施されはじめたが住民も魚達も悲しんでいる。
須美さん:ジュゴンが群れるのが夢で無くなるといいな。
亜子さん:辺野古では国が民意を無視して工事が進められている。平和の象徴のジュゴンが群れて泳いでいるはずなのに。。そんな海が戻ることを夢として見る。これもある意味祈りの句でしょう。
童子さん:現実になればどんなに良いでしょうか。
昨日のブログにもありましたが春の夢という定義が広く、作者も選句で少し迷ったとききました。
「春の夜の夢のごとし」ということなら儚いもののたとえ、
少し艶めいたものかもしれないし、眠りの心地よさもあり、遠くに霞んでいきそうな景色かもしれない。広がりがあるなと私も今回気づかされました。
この句に関しては作者の危惧と祈りが感じられます。破調がひっかかりを感じさせインパクトをもつのかもしれません。
定型の575に整えるなら
( 辺野古湾群れるジュゴンの春の夢 )
するっと流れ過ぎてしまう・・?
ジュゴンの見る夢なら温かい辺野古湾でいつまでも海藻を食べていたいなという夢でしょうね。 郁子