575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子  遅足

2024年08月23日 | Weblog

 

「霧」に車椅子を取り合わせ、多くの方の心をとらえました。おひとりなのか、介添えの方とふたりでなのか、霧の中に車椅子がシルエットとなって浮かびあがります。

 能登さん:映画の1シーンのよう、きれい。

 容子さん:不安感よりポジティブな感じがしました。「漕ぐ」がステキな表現だなと思ったら、ディフォルトなんですね。勉強になりました。

 千香子さん:漕ぎ出すという言い方がとても魅力的です

 童子さん:元気を貰える句

私もいただきました。

母を乗せて車椅子を押す機会が増えました。車輪のサイドストッパーをはずし、まわりを確認して両の手にぐっとちからを込めて踏み出す・・儀式めいた一連の動き。この句からは前向きな意志を感じました。 朝という時間帯と漕ぎ出すというワードが効いています。

 

 

 能登漁村別れ促す霧笛かな  能登

 

霧笛とは、濃霧などで視界不良のときに、衝突事故を防ぐために船舶や灯台などが鳴らす汽笛をいいます。

 晴代さん:霧笛 なんてなつかしい語彙でしょう。何か月も帰村しないのでしょうね。

 千香子さん:促すに状況がよく出ていると思いました。

 亜子さん:単なる出航の霧笛なのか、やはり能登の地震のことを思い出すと、心ならずも能登を離れざるを得ない別れのシーンなのか。霧笛を聞いているとさまざまなことが思い出される。

 泉さん:お正月の地震以来、復興がなかなかすすまない。漁師さん達も船を出せない。

 

海岸線が隆起してしまった能登の漁港。水産業を生業としている漁師さんたちの気持ちを思うとやりきれません。もの悲しい霧笛の音が聞こえてくるようです。郁子

 

    

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