575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

人間の意にも添いたる秋の水     遅足

2013年09月15日 | Weblog
秋の京都。観光バスに乗りました。
訪れたのは無鄰館。明治の政治家・山縣有朋の別荘。
琵琶湖疎水から水を引いた池泉式の庭園で有名。

三段の滝から落ちた水はゆっくりと庭を流れていきます。
疎水から白鷺が飛んできて小魚を狙っていました。
観光客を怖がる様子は全くありません。

30度を超す暑さのなか自然の涼に暫し時を忘れました。
この庭は造園家・小川治兵衛の作とのこと。
平安神宮庭園にも池があり橋がかかっています。
夏など、橋の上は涼しくて別天地。
冷房のない時代、こんな庭を持っている人は幸せだったでしょうね。

             

台風が近づいています。十分な警戒を。
備えあれば・・・です。






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晩夏光鴉真っ黒爪までも   静荷

2013年09月14日 | Weblog
最近の鴉は人間を恐れなくなってきました。
作者は、句会に行く途中で、じっと鴉とにらめっこ。
本当に真っ黒だと分かったそうです。

当日の句会の題詠が「晩夏光」そこで出来た句だそうです。
「鴉は黒いもの。なぜ、この句はどこが良いのですか?」と、質問が。
先生は「この真っ黒には力がある」と答えたそうです。

晩夏光との取り合わせも良い句です。   遅足
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涙から生まれし神や吾亦紅     遅足

2013年09月13日 | Weblog
日本神話には涙から生まれた神様がいたんですね。

イザナキノミコトが妻のイザナミノミコトを失った時、
イザナキノミコトの涙から生まれた神。
それがナキサワノアメノミコト。

あなたの涙からは、どんな神さまが生まれます?

   
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蟷螂  麗

2013年09月12日 | Weblog
朝晩はすっかり涼しくなりました。虫の声がにぎやかです。
さて今月の句会の締め切りが近づいてきました。
「蟷螂」。昔は怖くて絶対さわれませんでした。
今は生まれたての小さなかまきりはかわいいな~と思うし、晩秋に茶色く変色して余り動かないかまきりを見ると命の最期をみるようでちょっぴりせつなくもなります。

かまきりが片手かけたり釣り鐘に  一茶

とぶ力見せ蟷螂の枯れてゐず   松尾白汀

案外に飛距離のありしいぼむしり  湯川 雅

「いぼむしり」というのは蟷螂の別名で、蟷螂でさすればいぼが消えると言われたそうです。いぼじり、いぼうじり、ともいうそうです。

頭は三角、腹部は肥大し、頭部には大きな複眼と短い糸状の触覚があります。
海綿状の卵の袋のようなものを秋に枝に生みつけます。我が家はよくベランダの柵にうみつけられています。

さあどんな蟷螂が登場するか?
メスが交尾中にオスを食べることもあるとか!?

女性有利な句会になるかな?
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男郎花もあってこそ    鳥野

2013年09月10日 | Weblog
朝夕ひと時だけの秋。それでも季節は確実に
めぐっています。花屋さんの店先には秋の花
が。秋の七草の幾つかも見られます。

その中に、黄色の粟粒を振りかけたような、可
憐な花が一抱え。冴え冴えと目立つ黄です。

言うまでもなく「女郎花」・・・。
オミナがあれば、オトコもいなくちゃ、と男郎
花。丈高く茎は毛深く、武骨で、花色も地味。
花店では見られませんが、対象としては興味深
い植物です。
 
 ・ 女郎花少しはなれて男郎花
                 星野立子



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不発弾黙し新米頬張る朝餉      智恵

2013年09月09日 | Weblog
ちょっと前に関門海峡で不発弾処理のニュースが。
てっきりテレビのニュースを詠んだものと思いました。
不発弾処理のニュースに、食卓は沈黙・・・。
黙々と新米を頬張る・・・一家。

家族の一人を不発弾に喩えたとのこと。
不発弾一つを囲んで、新米を味わっている家族。
テレビの声だけが大きく聞こえてきます。
少し言葉数が多く、すっきりさせた方が良さそうです。
「黙し」は省いても意味は伝わります。  

   新米や朝餉に囲む不発弾

   不発弾囲む朝餉や今年米

誰が不発弾だったんでしょうね?    遅足

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新米で盛り上がりたる夕餉かな    能登

2013年09月09日 | Weblog
同じ釜の飯を食う。
太古からのコミュニケーションの原点。
文化人類学の調査も現地の人達と同じものを食べることからとか。
便利な世の中となって個食や孤食が増えるのはサミシイ。

新米の食卓。どことなく賑やかな食卓です。
「で」は避けたほうが良いかもしれません。

  新米に盛り上がりたる夕餉かな

どんな話題が飛び交ったのでしょうね?
オリンピックでしょうか?
                     遅足

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オリンピックがトウキョウに      遅足

2013年09月08日 | Weblog
福島原発の汚染水問題で開催地に選ばれるのか?危ぶまれていたトウキョウ。
2回目の投票で過半数を得ました。

これで10月には消費税を上げるでしょう。
3年間の本格的な安倍政治がスタート。

安倍さんにはホンキで原発事故に対処して欲しいと思います。
世界に公約したのですから。

  「トウキョウ」の声のうしろに呼ばれざる都市の名ありしことを忘れず



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新米や安堵の粒がこぼれける    郁子

2013年09月07日 | Weblog
安堵の粒がこぼれけるという七五。
どこから零れるのか?少しはっきりしません。

暑い日照り続きで収穫を心配しながら、それでも何とかできた新米。
生産者はどんなにうれしく思うでしょう。
脱穀して精米し、白米となった一粒一粒。
お百姓さんは、両の手ですくいあげてしみじみと見るのではないか。
ほっとした思いと同時に指のあいだからほろほろと
艶やかな米が零れ落ちるのではないかと、作者。

  新米や安堵に粒のこぼれけり

または、

  新米や安堵の手よりこぼれけり

としたほうが、句の景ははっきりとします。
しかし原句にあった詩的なものがこぼれてしまう気もします。
どうしたものでしょうね?

                     遅足





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大会の賞に新米大拍手    立雄

2013年09月06日 | Weblog

なんとも豪快。大の字が2つ、雰囲気を伝えました、と鳥野さん。

作者のお話では、この大会はペタンクとのこと。
目標の球に向かって、ボールを投げ合う。
そして相手より近づけることで得点を競うスポーツ。
フランスが発祥の地だそうです。

俳句は名詞で作れ、という教えもあります。
この句では、ちょっと固い感じがします。

  大会の賞に新米拍手沸く

は、どうでしょうか?

庭にキツネノカミソリの赤い花がさきました。
今日は暑くなりそうです。
                      
町内の秋祭の抽選で、一度お米が当たったことがありました。
とても幸せな気分になりました。
あとは残念賞のゴミ袋ばかりですが・・・   遅足

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新米のおかゆを食べて祖父が逝く   麗子

2013年09月05日 | Weblog
せめてものおもてなし。思い出つくりになりました 、と鳥野さん。

とても重いコトをさらっと詠んでいます。
「食べて」と「逝く」との間に、かなりの時間の経過があるのでは?
俳句は短い詩形。これだけの時間を詠むのは不得手です。
「食べた」時か、「亡くなった」時。
ある時点に絞った方が良いと思います。

病床の祖父におかゆを運ぶ時点に絞ってみます。
お粥は病気の重いことを表す重湯に。

  新米の重湯を運ぶ祖父の床

運ぶや床は、言わずもがなですから。

  新米や祖父の重湯に手を添えて

死の床についた病人の耳元で米を入れた筒を振る。
飢饉について書いた本にあった話です。
この句から、そんなことを思い出しました。

                     遅足


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新米のおむすび艶々皿の上  すみ

2013年09月04日 | Weblog
新米でおむすびを握る。お皿に置いたお米の艶にふと気づく。
ああ、新米の色と光なんだ!というちょっと幸せな思いが伝わってきます。

ふと、は不図。はからずも気付く。心が動いた。
日常の些細なものに気付く時、何かを発見している。
(俳句に大事な五つのこと・上田五千石)

とても良い句です。
ただ「艶々皿の上」が少し気になりました。

  新米のおむすびの艶皿に置く

としてみました。
手のなかの艶々したお握りを、そっと皿の上に。
改悪かな?      
                 遅足
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お好きですか、蜘蛛  鳥野

2013年09月03日 | Weblog
秋立って既に2旬というのに、未だに夏の暑さを引
きずっています。
ならば、と夏の季語、蜘蛛のお出ましです。

蜘蛛は世界に35,000種、日本に限っても、1
000種以上という大家族。
その異様な姿からか、人に好かれることはなく、まる
で悪魔のごとき扱いです。

8つの目、8本の脚、頭部と胸部はひと塊で、生命維
持の機能はすべて、ここに収まっています。
紡績線から分泌した粘液は、空気に触れるや糸にな
って、獲物捕獲の体勢。超高度の精密工場です。
極細の糸で張った優雅な巣。掛かった獲物に、もう
逃れる術はありません。

今日もどこかで、風のまにまに、蜘蛛は高性能なア
ンテナを立てて待ち受けていることでしょう。

 ・ 生け贄も餌も風まかせ女郎蜘蛛   鳥野



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新米の握り飯母の梅入れむ    結宇

2013年09月02日 | Weblog
最高の取り合わせ。美味しそう 、と鳥野さん。

新米で握るおむすび。そこに母の作った梅干を入れる。
と、句の意味は明確です。
しかし、「母の梅」は、ちょっと言葉足らず。
やはり母の梅干としたいと思います。

  新米に母の梅干つつみけり

と、してみました。

新米に梅干の取り合わせは日本の味。
母のつくった梅干なら母の味そのものです。   遅足


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新米や一品(ひとしな)でよし采のもの    晴代

2013年09月01日 | Weblog
昔、お米は主食でした。
いつの間にか主食の影は薄くなりました。
いまでは、主食の分からないほど豊かな食生活に。
一日中、お米を食べない日もあります。

しかし、お米の味を味わうには、おかずは少ない方が良い。
昔の食事は、お祭り以外の日は一汁一菜。

新米に一汁一菜。
これこそ日本人の幸せ、と言ったらささやかに過ぎるかな・・・

庭の蝉の声も聞こえなくなり、静かな朝です。
さきほどサイレンがなりました。
9月1日。防災の日でした。

福島では米つくりの出来ない田が。
90年もしたら再開できるのでしょうか・・・
ささやかな幸せが早く戻ってきますように。
                         遅足



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