ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「監督の問題」(本城雅人著;講談社) ~新潟県人にはさらに楽しめる~

2023-04-11 20:23:47 | 読む

元スポーツ新聞の記者だったという著者が、吉川英治文学賞を受賞後の第一作が、この作品だったという。
そのことよりも、新潟をホームタウンとするプロ野球チームが、パ・リーグにあるという設定で描かれている野球小説だということ自体が面白い。


この話は、大阪ジャガーズというチームのスラッガーだった男が、引退後新潟OCアイビスというチームの監督に就任してからの奮闘ぶりを描いた物語である。
面白い本だった。
著者は、神奈川県出身とのことだが、新潟のことをよく知っていて、いかにも新潟の話だと実感できることが楽しかった。

最初は、主人公の宇恵にもこう思わせている。
新潟という知らない土地も、大阪育ちの宇恵を不安にさせた。新潟と言われて即座に思い浮かんだのは、コシヒカリが名産の米どころで、日本酒が旨く、後は朱鷺がいることぐらい。
ただし、新潟県中越地震のことは鮮明に残っている。

それが、後半では、次のような表現が出てくる。
プロに入ってから、遠征で日本中を巡ったが、寿司と日本酒がこんなに合うことは、新潟に来て初めて知った。


その場所として出てくる寿司屋が、新潟市内の繁華街古町。
そこの女将が出す酒が、銘酒「八海山」の夏の純米酒。
「コシヒカリで有名な魚沼産です」
と、きたもんだ。

おまけに、
「選手をぼっこすな」
「頑張ってくんなせ」
など、ファンからの言葉も新潟弁を交えるなど、芸が細かい!!?

新潟OCアイビスや宇恵監督の奮戦するストーリーがもちろん一番面白いのだが、それはこの際省略する。

新潟県人には地元が舞台ということが最高に楽しい。
しかも、このチームは新潟のチームとなってから2年連続最下位というシチュエーションで、主人公が監督となっている。
新潟ならいかにもありそうだよなあ。

 

私にとっては、著者の作品では、吉川英治文学賞の「ミッドナイト・ジャーナル」よりも、この作品の方が楽しく読めたよ。

コメント
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