2018/7/3 18:55神戸新聞NEXT


サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会で、優勝候補のベルギー代表をあと一歩まで追い詰めた日本代表。初の8強入りは逃したが、都道府県別で最多の3人が選出された兵庫勢は大会を通じて奮闘した。DF昌子源選手(25)=神戸市北区出身=の父で、兵庫県サッカー協会技術委員長の力さん(54)は「決勝トーナメントに行けた時点で歴史の扉を一つ開けた」と敬意を表した。
ベルギー戦にはMF香川真司選手(29)=神戸市垂水区出身=と昌子選手が先発し、攻守に存在感を見せた。力さんは今大会を振り返り、香川選手について「相手が近くに来ても慌てず、攻撃の変化をつくった」と密集でもパスを散らす技術の高さを称賛。息子の守備も「相手の体勢を見て足を出すタイミングを計るなど頭の中を整理できていた」と褒めた。
一方、負傷した足の状態が万全でないFW岡崎慎司選手(32)=宝塚市出身=はベルギー戦で出番がなかった。力さんは「得点の嗅覚は大したもの。コンディションが良ければ頼もしかったのに」と悔やんだ。
今大会、県サッカー協会は悲願をかなえた。10カ年の強化計画の最終目標として、2018年W杯の3人輩出を誓った「2009年の約束」。1次リーグを現地で観戦した力さんは初戦後、3選手に目標達成を直接報告し「子どもたちが憧れる選手になってくれた。兵庫の指導者はみんな喜んでいる」と感謝を伝えた。息子がその一人となったことには「おやじの立てた目標を息子が実現させるとは考えてもいなかった」と笑った。
力さんは、指導者ライセンスの取得講習で同期だった西野朗監督(63)の采配にも驚かされたという。それは決勝トーナメント進出を懸けたポーランド戦。0-1の状況で指示した時間稼ぎのボール回しよりも、前の試合から先発6人を入れ替えた決断にうなったという。「先をにらんだターンオーバーはかつてない発想。それだけ日本の選手層が厚くなりつつあるということで、感慨深かった」
次回大会は4年後、中東カタールで開かれる。一つの成果を手にした兵庫サッカー界にとって「次の10年で真価が問われる」と力さん。新たな代表戦士の輩出へ、さらなる検証を重ねていく。(有島弘記)