先日の復活節前第9日曜日にきいたカンタータ「われはわが幸に満ち足れり」、ヴァーツラフ・ルクスたちの録音できいたわけですが、今日はルクスたちによる興味深い映像作品(Blu-ray)を楽しみたいと思います。視聴するのは、ハインリヒ・イグナーツ・フランツ・(フォン・)ビーバーの「ザルツブルク・ミサ曲」(NAXOS NBD0066)です。
このミサ曲は「53声部」(伝承された写譜では54声部の譜表)のミサ曲として音楽史上有名な作品で、かつては、オラツィオ・ベネヴォリが、ザルツブルク大聖堂の献堂式(1628年9月24日)のため作曲したとされていました。近年では、1628年の献堂式用は否定され、1682年、ザルツブルク大司教区1100周年(あるいは1000周年)という記念年にビーバーが作曲したという説が有力になっています。
ルクスたちの録画は、2016年7月27日のザルツブルク大聖堂での公演(2016年7月27日)を録画したもので、先日のカンタータと同じく、管弦楽と合唱はコレギウム1704とコレギウム・ヴォカーレ1704です。かつては巨大な記念碑的な価値だけという評価を受けていましたが、近年の録音(ラインハルト・ゲーベルやトン・コープマン)、そしてとりわけこのルクスの録画からは、それだけでもないような感銘を受けます。
ルクスたちのメンバーによる録画には、ローマのラテラノ教会(サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂)のものもDVDとして発売されています。こちらは少年少女の合唱団もくわわって(独唱者にちがいも)魅力的ですが、やはりゆかりの大聖堂であるザルツブルク大聖堂のもののほうが楽しめるといえるでしょう。
なお、Blu-rayには同じ公演でのモンテヴェルディの宗教曲も収録されています。また、1974年にやはりザルツブルク音楽祭で、コレギウム・アウレウムらの公演もあり、公演とは別に録音されたレコードも発売されています(発売されたレコードはSQ4[Sterio-Quadraphonic 4 channel]、つまりマトリクス4チャンネル方式によるフォーマットでした)。