東十12 里山1勝0敗○引き落とし●千代嵐0勝1敗 西十11
再十両里山の取り組みは3時少し前。3時5分からの総合TVは間に合わない。しかしインターネットストリーミング配信の画像は、放送席の音声こそないが、幕下以下では固定だったカメラは動くようになる。
カメラマンは相撲を知っているだけでは務まらない。各力士の来歴、そしてそのことについてのファンの関心の度合いなども知悉していなければならない。怪我に苦しんだ里山の三年半ぶりの十両復帰は長い年月だった。カメラはその里山の足の先から大銀杏まで全身をゆっくりと大写しにし、テーピングや巻物が一切ないことを確かめた。締め込みはあたらしくヴィンテージワイン、よく似合う。
時間です。
立会い、里山はあまり強くは当たらず、土俵際まで押し込まれる。そこから前に出るところはたかれるが、落ちない。逆に里山が千代嵐を土俵際まで押しこむが、千代嵐が猛烈に押しかえす場面 ↑ 背中が 千代嵐
↑ 反り技に行く前、里山の左脚が半歩内側にスイングし千代嵐の右脚に隠れている(上の写真を比べる)
↑ 左脚のスイングと連動して体を反らしながら回転を加えます。体全体も2歩くらい写真左に移動しています。
↑ 目にも止まらぬ早業ですが、里山は反り返る力で相手のバランスを崩しているところを見逃してはなりません。
↑ さらに、後ろ向きのまま、オーバーヘッドの左手は相手の首根っこを押さえにかかります。
↑ 首を押さえられた千代嵐は足が運べず、そのまま手をつく他はありません。
このように、里山の反り技は、苦し紛れの捨て身の技では決してなく、相手の出る力を柔軟に利用しながら、相手の意表をつきつつタイミングを崩し、自らの反る力をも計算に入れた複合技だったのです。
↑ 両手を広げる里山の背後から回り込み、それに合わせ踊るように身を回転し、静かに落ち着いて軍配を挙げる行司 木村堅治郎