レヴィ=ストロース---入門のために 神話の彼方へ (KAWADE道の手帖) [単行本(ソフトカバー)
登録情報
単行本(ソフトカバー): 191ページ
出版社: 河出書房新社 (2010/2/20)
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今年2月の発行
写真にひかれ借りて読んだ。「入門のために」とはいえ、高度な内容をふくむ。
P36 いま、若い人類学者は、たぶんレヴィ=ストロースをそんなに読んでいないと思います。ということらしい。
去年 レヴィ=ストロース(フランスの社会人類学者、思想家)が亡くなったというニュースを聞いたときの
P167「えっ、レヴィ=ストロースさん、まだ生きてはったんですか?歴史上の人物やと思うてました」
という、フランス語文化を学びたいという学生の声、
高名な学者が今まで存命であったことのほうがむしろ真新しいニュースだったらしい。
レヴィ=ストロースは100歳だった。
それで思い出したのは、数年前、
関西から奄美へ、田中一村記念美術館を訪れた美術大学に通う大学生に
「おじさんは子どものころ一村に絵を見てもらったことがある」と言ったときのその学生さんのおどろき。
「えっ、田中一村って、そんな最近の人でしたっけ、歴史上の人物のように感じるけど、あ、そうですよね。」
(あとで話の内容にもおどろいてもらったのですが)とりあえずの驚きは上のようなものだった。
立派な美術館もできていたことだし、一村の人生から受けるイメージや奄美の距離をかんがえると、彼女のおどろきも、そうかも知れないなと思える。
で、思い出して調べたら田中一村とレヴィ=ストロースは同じ年の生まれだった。
以下 ついでに調べました。
クロード・レヴィ=ストロース(1908年ブリュッセル - 2009年)
田中一村(1908年7月22日栃木市 - 1977年9月11日奄美市)
島尾 敏雄(しまお としお、横浜市1917年4月18日 - 1986年11月12日)
同世代のフランスの知識人たち。
アルベール・カミュ(アルジェリア1913年 - 1960年)
ジャン=ポール・サルトル(パリ1905年 - 1980年)
シモーヌ・ド・ボーヴォワール(パリ1908年1月9日 - 1986年)
モーリス・メルロー=ポンティ(ロシュフォール1908年 - 1961年)
ジョルジュ・バタイユ(1897年 - 1962年 )
ジャック・ラカン(パリ1901年 - 1981)
ミシェル・フーコー(ワティエ1926年 - 1984年)
ロラン・バルト(1915年 - 1980年)
エマニュエル・レヴィナス(1906年 - 1995年)
主要著作 wikiより
『親族の基本構造』 青弓社
『悲しき熱帯』 中央公論新社、新版中公クラシックス、各全2巻
『悲しき南回帰線』 講談社学術文庫、全2巻
『構造人類学』 みすず書房
『野生の思考』
『神話論理』 みすず書房全4巻
『はるかなる視線』 みすず書房、全2巻
『パロール・ドネ』 講談社選書メチエ
『やきもち焼きの土器作り』 みすず書房
『遠近の回想』(共著) みすず書房
『ブラジルへの郷愁』 みすず書房 写真が主
『サンパウロへのサウダージ』 みすず書房
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なんと、弊社エプスタインズにて書籍通販を展開している出版社「港の人」では、そげな本も出しております。
「ブラジルから遠く離れて 1935-2000 クロード・レヴィ=ストロースのかたわらで」
著:今福龍太+サウダージ・ブックス
由比ガ浜にある出版社ですね。
由比ガ浜は、よく行ったところです。
しろゆき君のブックレビューが期待されます。
レヴィ=ストロースです。
『ブラジルから遠く離れて』の著者である人類学者・批評家の今福龍太さんの主宰する奄美自由大学にほぼ毎年参加し、奄美群島は何度も旅しています(喜界島だけは、まだ・・・)。
ちなみにぼくは、道の手帖の『レヴィ=ストロース』にも「サンパウロ、時の窓辺で」という文を寄稿しています。よろしければ、ご一読下さい。
こんど奄美に行く際には、海風荘さんにご挨拶させていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
レヴィ=ストロース”関する”本はいくつか読みましたが、まだ本書の副題にあるように、「神話の彼方へ」へは行けずにいました。
しかし、(ここだけの話ですが 笑)
なんとなくレヴィ=ストロースさんは、奄美に興味をお持ちいただけそうだな、とうすうす感じでいました。
実はこの記事で田中一村とレヴィ=ストロースとをつなぐ線を無理にでも書きたいと思っていたのですが、うまく思いつきませんでした。
しかし、改めて本書の淺野卓夫さんの記事を読んでみて以下の部分が、そのヒントになるのかなあ、と思いいたったところです。
勉強します。
淺野卓夫「サンパウロ、時の窓辺で」ーレヴィ=ストロースと『忘れられた日本人』
p125
無時間のなかで「具体の科学」の世界に遊ぶという祖国では味わえなかった自由を、かれら無名の「忘れられた日本人」たちは手にしたのではなかったか……。
ここに、「人間の世俗的現実における不器用さが、神話的思考の器用さによって埋め合わされる……。この二者の統合こそが「人間」である」とするレヴィ=ストロース/今福龍太の深遠な人間観の、微かな木霊を聞くことはできないだろうか。
(中略)
そして、ぼくにとっても特別な場所、サンパウロというサウダージの聖なる都市の時の窓辺で、ただひたすら「人間」であろうとして歴史のなかで何ものかであろうとしなかった旅人たちが歌い残した自由への意志にむけられる、不器用なもう一人の人類学者の深い羨望の嘆息を、最後に聞こう。
レヴィ=ストロースはかつて講演のため来日した際、「日本の島が見たい」ということで隠岐の島を訪ねています。奄美にもきっと興味をもっていただけたことでしょう。
レヴィ=ストロースと深い信頼関係にあるモーリシャス系フランス人の作家、ル・クレジオは奄美群島を旅して、深い感銘を受けたようです。かれはメキシコなど中南米先住民に関する人類学的な著作も発表していて、2008年にノーベル賞を受賞しています。
奄美に関するル・クレジオの文章は、集英社の文芸誌「すばる」2006年5月号に掲載されています。機会がありましたら、こちらも、ぜひお読み下さい。
そうでしたかあ。
雲の上の人だったレヴィ=ストロース が身近に感じられ、不思議な気持ちです。
ル・クレジオについても興味深いです。
勉強します。
いろいろ知らないことを教えていただきありがとうございます。