誰も書かなかった沖縄―被害者史観を超えて (ハードカバー)
恵 隆之介 (著) google
出版社/著者からの内容紹介
アジア太平洋の玄関口、沖縄。しかし社会基盤と経済の活性化には課題が多い。沖縄出身・在住の著者の歴史的観点を踏まえた沖縄再生論。
沖縄には被害者史観による呪縛がある。返還後28年経った今も、県民所得は全国最下位、財政依存度は、復帰時より10.6%上昇し、34.2%と全国平均の2倍。政府は昭和47年の復帰時から平成12年まで沖縄に10兆4018億円も投じているのに県民に改善の意欲が見られない。今、沖縄政策は根本から見直すべき時期にきているのではないか。本書はこれまで語られなかった沖縄史の深層部分に光をあてることにより、問題の本質を明らかにする。
目次の抜粋は、
●第1章 琉球王国の実態/中国隷従の島/ペルリ提督、米軍基地を建設す他、
●第2章 琉球王国から沖縄県へ/大正沖縄バブル経済の破綻/沖縄振興十五カ年計画/大東亜戦争下の沖縄他、
●第3章 戦後の沖縄/強力な米軍の援助/琉球政府の誕生/軍用地問題の決着他、
●第4章 混迷が深まる日本、沖縄/おんぶにだっこの琉球政府他。
沖縄生まれ、在住の著者が心をこめて説く沖縄県民自立の書。
内容(「BOOK」データベースより)
「基地のある島」は本当に不幸だったのか。戦後日本のタブーを斬る。
ハードカバー: 250ページ
出版社: PHP研究所 (2000/06)
言語 日本語
ISBN-10: 4569611788
ISBN-13: 978-4569611785
発売日: 2000/06
-----以上 amamzon より
この本の第一章は、
「中国隷従の島」
「果たして琉球王国は、琉球人自身によって運営されていたのであろうか?」
の書き出しで始る。
刺激的な問いなのだが、本書においても琉球人とは何か(誰か)?という点には触れられていない。(それでいいではあるが)
著者は昭和29年沖縄生まれで、防衛大学、海上自衛隊、昭和62年琉球銀行を経てジャーナリスト。
中国が嫌いで、どちらかと言えば、親米?保守といえるのだろうか。
Youtube で検索すると著者の最近の意見が聴ける。
沖縄生まれで、沖縄在住、高校は地元なのか、気になった。
この本を読んで素朴に感じたことは、奄美にくらべて沖縄は大きいな、ということ。
鹿児島が遠くにかすんでしまうほどだ。
薩摩にたいする恨み節は、あまり聞こえない。奄美は語られない。
沖縄出身者の短所(P89 ほか)など、いたいほど奄美にもあてはまる。
世界から見た日本人にもあてはまる点があると思ったが、あてはまらない点からの視点からかかれた沖縄こそが著者のいう沖縄なのではないか。最近読んだ沖縄本にも似たような印象を抱いたことを思いだした。奄美を考える上でも参考になる視点もあった。ナゼ、いままで書かれなかったのか、についてももっと検証して欲しかった。
沖縄出身・在住の著者の歴史的観点、新鮮で刺激的だったが、つまるところ日本軍と皇室ということになってしまわないか。しかし、この本は、理屈ではないのだろう。
あの生麦事件(1862年)で、イギリス人リチャードソンに斬りつけた薩摩藩士奈良原 繁(ならはら しげる)が後に(明治25年(1892年)沖縄県知事(第4代)に就任したということを始めた知った。
奈良原は、杣山問題(農民が管理をしていた山林を騙し取る事件)により謝花昇らと対立を深め、謝花の組織した沖縄倶楽部への弾圧を行うなどの強権を以て県政に臨み、また官選知事としては異例の16年にわたって在任し「琉球王」の異名をとった。(wiki)
=====
余談だが、沖縄出身者の短所(P89)の箇所で、その遠因としてあげられている「地割制度」(じわり)について調べる。
近世琉球の土地制度は、たとえば沖縄島やその周辺島嶼では、村の成員である百姓(土人 じーんちゅ)が共同保有地である百姓地を定期的に割りかえる地割制度を基本としていた。(沖縄県の歴史 p154)
明治36年明治政府によって廃止
鹿児島には、門割制度(かどわり)というのがあったが、
琉球と奄美ではどう違ったのか、本土の農民との差はどうだったのか(つづく)