まだ、山影になっている川面に、ゆらゆら。もこもこ、白く揺れる帯が視界に飛び込んできた。
舟の中に感嘆の声があがる。
白い帯は同じ幅で岸に沿って立ち上がる。ある程度立ち上がったら、そこから上には伸びていかない。
長く白い帯が幻想的である。
幻想の世界が、この白い帯の中にあるような気がする。
これ以上上に上がらずにまるで、刷毛で一掃きしたように、正確に納まっているのが不思議であり、面白い。
また、舟の傍にはそんな現象がなく、岸辺に近い場所だけに限られていたのも、この辺りの気象状況を知らないだけに、幻想的に思えた。