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南禅寺境内の中に、お気に入りの湯豆腐やさんがある。
大きな構えでもなく、名が知られている店ではないが、南禅寺辺りに行くとお昼は、必ずここでするようになったのは、何年か前のお正月七日からのことである。
たまたま、七草粥を食べる日だったこともあり、
「ご飯の代わりに、七草粥は、していませんか」と湯豆腐定食を注文する時たずねてみた。
「メニューにはないのやけど、今朝家族用に炊いたので・・・」
と言って、お粥を添えてくれた。
昔からの日本の食生活の習慣を、客が望んでいることを知って、それに応えてくれた女将さんの心遣いが嬉しく、以来、お昼時の京都では、この湯豆腐やさんに足が向くのである。
いつも、座敷の席だったが、ひざを痛めて正座が出来ないことを話すと、この大黒さんの横にある椅子席用の部屋に案内されたので、お気に入りが倍増した。