木々の紅葉は遅れているが、太陽の位置は、次第に南に移ってきている。
雨戸を開けた時日の出がこの部屋の濡れ縁からも見えるようになってきた。
夏の間は、母屋の方に行かないと日の出にはお目にかかれない。
朝一番の太陽を自分に取り戻したようで嬉しい。
そら、そら!
やっぱり。
あなたの中に、太陽のお出ましだ。
もう仕舞おうと思っていた風鈴だが、太陽の出迎えをしてもらってからにして良かった。
ご苦労さん、夏から秋へ、さわやかな響きを、ありがとう。
また来年。
変わりない涼やかな音を聞かせて頂戴。
眩くない太陽が、車の前方に見えた。
会議の帰り友人を送って堤防沿いに走った。
いつもなら、こんなに低くなった太陽は、日よけを下ろしても防ぎきれない。
眩くて、サングラスに替えないと耐えられないのにどうして、眩くない太陽があるのだろう。
まるで、東の空から上がった満月のようだ。
あり難いが、不思議な気分で、車を傍らに寄せて撮る。
秋の日は釣瓶落としというように、山にかかると入っていくのは実に早い。
最後まで眩さがなくじっと見つめていても平気の太陽だった。
大気の埃のせいなのか、黄砂が降ったというテレビを見た少し前の夕日だし、黄砂がこの日に降っていれば、視界も悪くなっていたと思われるが、そうでもなかった。
太陽に、さよならする瞬間まで、しっかり目を開けて見送ってやることの出来たいい日だったのだ。