突然雷鳴がしたので、障子を開けて窓ガラス越しに見た空は、真上から北東に、まるで墨を流したような色である。
それからの1時間近くの暴風雨は凄まじいものだった。台風の時でもこんなにひどい雨風であったろうかと、窓の外の雨脚を見ていたが、危険を感じ、必死で雨戸を閉めた。5cmほど窓を開け戸袋から雨戸を引き出す間の風の進入が怖ろしい。
たたきつける雨の音が、雨戸の外でするし、風は唸る。
縁側の雨戸も、北の廊下の雨戸も、さっき空を見た窓の雨戸も閉め。やっと人心地がついた。
ラジオだけ付けボリュームを大きくして、外の音を聞こえないようにしながら、嵐の去るのを待った。
3月28日は霰も降ってもっとひどかったと後で聞いたが、外出していたので、この恐ろしさ以上だったとは、家にいなくて良かったと思った。
つい2,3日前に綺麗に咲いていると思ってみていた。
ソメイヨシノは遅いが、枝垂れは早く咲くものだと、そのうち写真を撮らせてもらおうと思っていた。
あの激しい嵐に耐えていたのだ。
花の散る時期が来ていなかったと言えばそれまでだが、豪雨に敲かれ。暴風にもまれた翌日、そんなことがなかったかのように枝いっぱい咲いている枝垂れ桜の強さを「頑張ったね」と声をかけたい気持である。
あのひどい嵐に負けない姿を・・・