カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

苔が語る道

2006年02月23日 | ☆ ふるさと・大和

車で大澤寺の門前を通過したので、駐車場に停めてから、石垣に沿って、もう一度歩いて戻ってみた。
苔生した石垣の並びに呼び戻されたような気持ちでゆっくりと坂を下る。
向こうの先のカーブを曲がって、この石垣道に入った時、「ここだったんだ」と歩いて麓から登った頃の記憶が甦ってきた。


反対側は、山肌だがびっしりと苔に覆われている。
光の当たり具合では、ビロードのようで、触れてみたくなる。


山肌の苔から少しはなれたところに、これから育とうとしている、若い苔の一塊を見つけた。
たぶん杉苔ではないかと思って調べてみると、次のような文を見つけた。

『苔は普通のどの植物より強い生命力を持っています。
スギゴケは、空気中の水蒸気からの水分と自力の光合成による栄養補給によって、生育に必要な要素のほとんどをまかなっています。ですからこれといった手入れも必要ではありません。』

この小さな塊が、自力によって成長し、山肌を覆うのには、やはり年月の積み重ねの多さを物語っているのではないだろうか。
大澤寺の歴史と共に生きている苔に、愛しさをおぼえた。
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巨樹・サルスベリ

2006年02月22日 | ☆ ふるさと・大和

大澤寺境内の放生池に迫り出しているサルスベリの古木がある。
褐色の樹表が、池面に堂々とした姿を映す。


幹周りが1,3mもあるというサルスベリにしては、かなりの巨樹である。
長い年月の間に、幹に苔を住まわせて、おおらかに生きてきたことを思う。
ぼこぼことした瘤は、一言主神社で見た大銀杏ににている。


塀の手前の万両は、地面の生えているのではない。
サルスベリの幹から育っている。
小鳥が落とした種も、この巨樹は受け入れ、自らの養分を与えて、育ててきたものと見える。
この万両にとっては、ここが、安住の地になっている。

時代の移り変わりの幾星霜を見てきた巨樹の姿に大澤寺の歴史を重ね見ることが出来そうだ。
夏が来てこの木に花の咲くのを是非見たいと思う。

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大澤寺

2006年02月21日 | ☆ ふるさと・大和
「おづきようかに、せんのんどうに いこか」
実はこれは、「卯月八日に、瀬之堂に行こう」であった。
子供の頃の言葉に耳から入って意味も分からず使いながら、お互い通じていたものがある。
瀬之堂は大澤寺の通称だ。即ち五月八日にはこの寺で「花会式」が行われ、近在近郷から多くの人がお参りした。
現在は祝日の五月五日になっているが、私の子供の頃は八日だった。
かなり遠い道のりを、学校が終わってから、友達同士や、高学年(その頃縦の繋がりが大きかった)の人に連れられて走るように瀬之堂のある山に向かった。
お寺はお祭りのように賑わっていた。
御供撒き(お供えしてあったお餅を撒く)を拾うのが何より楽しかった。


      GIFアニメ・マウスオンの後5画像

それ以来、勤めを持ってから遠足に子供たちと何度か行く機会があったけれど、もう10年以上も訪れていなかったのでずいぶん久しぶりの大澤寺である。
車で来たが、子供の頃よくまあ、こんな遠いところまで歩いたものだと、その頃の子供たちの健脚ぶりに今更感心している。
青葉の頃に来るのが常だったので、早春の瀬之堂は初めてだ。
桜の頃、紅葉の頃はさぞ綺麗だろうと古木の花芽を見ながら思う。
静かな佇まいのひっそりとした境内には、思い出が沢山あり、訪れてよかったと思った。

大澤寺・五條市観光協会

大澤寺にまつわる昔話
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山で会った人

2006年02月20日 | ★ 日々の呟き

金剛山にある行者堂の傍に、大きな3本の杉がある。
これは、中学生の頃登った経験なので、記憶が鮮明ではないが、この杉のことを私たちの間では、「三本杉」と呼んでいた。
その「三本杉」のことを「行者杉」と正式に名づけられていることをここに来て今知った。
上の「行者杉峠道」の標識から少し行くと、道が二つに分かれている。



その分かれ道の所で、道しるべをペンチで括り付けている人がいた。
山の管理人さんかと思って声をかけた。
作業を終えたその人は、村の人でもなく、管理人さんでもないと話してくれた。
山が好きで、ここから、金剛登山をすることもあるという。
麓の町のまだ吉野川を越した町の人との事である。
こうして歩いていると標識が倒れていたり、取れていることがあるので、今も直していたのだそうだ。


「行者杉峠80分」と表示された、この標識がきっと傍に落ちたままになっていたのだろう。
このように立ててもらうとその道しるべに従って山に入れる。
暫く話したが、本当に山を愛し、故郷を思う人なのだと感じる言葉が、話の端々から窺えた。
まだ定年にはなっていないと思われるが、こうして、土日を利用し、山を歩き、登山者の安全に関わることを自然体でされていることに頭の下がる思いをした。
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損して、得した日

2006年02月19日 | ★ 日々の呟き

目覚まし時計のセットを間違えて、1時間早く起きてしまった。
「あぁ~~損したぁ」と外を見たら、「う~~ん、得してるぅ」我が家からの「かぎろひ」きっといい日になるとの予感がする。


10時過ぎ、ウォーキングの友人を誘って近くの山に登る。
そこで見つけたのは、フキノトウ。いや、私が見つけたのでなく、先客があった。大阪から来たという2人の高齢の男性が、フキノトウ探しにやって来ていた。その人が採集する前にカメラに頂いた。


綺麗な水の流れに浸かるようにして咲いている。
おじさんたちは、今日の夕食1回分だけは採ったからと山を下りていった。


おじさんたちの帰った後に、フキノトウの赤ちゃんが頭だけ出している。
2~3日もすれば、咲くだろう。
小さな春を見つけた日だった。
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