だいこくさま
おおきなふくろを、かた に かけ、
だいこくさま が、きかかる と、
ここに いなばの、しろうさぎ、
かわを むかれて、あか はだか。
だいこくさま は、あわれ がり、
「きれいな みずに、み を あらい、
がま の ほわた に、くるまれ」と、
よく よく おしえて、やりました。
だいこくさま の、いう とおり、
きれいな みずに、み を あらい、
がま の ほわた に、くるまれば、
うさぎ は もと の、しろうさぎ。
だいこくさま は、だれ だろう、
おおくにぬし の、みこと とて、
くに を ひらきて、よのひと を、
たすけ なされた、かみさま よ。
小さい頃講談社の昔話で何度も読み返した「因幡の白兎」の歌の題名が「だいこくさま」だったのだと歌詞を探していて知った。
絵本で知った後国民学校でも習ったような記憶があるが、それは定かではない。2年生の時学芸会で5組まであった中で、どれかの組がこのお話の劇をしたのだけが、鮮やかに憶えているのに、自分の組の劇も自分の役さえも覚えていない。幼い頃の記憶とはそんなものかもしれない。
騙した鮫に皮を剥かれて赤裸になってないていた、白ウサギに、優しい大黒様が「蒲の穂綿に包まりなさい」教えられて、そのとおりにして命を助けられたことがその当時からずっと「蒲の簿綿」ってどんなのかしらと、この歌や、お話を聴く度に思っていたものだった。
蒲の花というか実というのか、裏の田圃が放置田になった頃から、水のよく溜まる場所にかたまっで生えるようになった。
それが、ある日茶色い皮が破れてでてきたのを、最初気味の悪いもので、なんだろうと遠くからただ眺めていた。
カメラを持って裏に出た時、「大黒様」が白兎に教えた「蒲の穂綿」がこれなのだと気がついた。よく見るとふわふわして、優しく傷ついたウサギを包み込んでやれそうな感触が分かる。
この写真の枯れた色になっているのが、蒲の穂綿の集まりだ。
気持ちの悪いものと見ていたのが、大黒様の歌を思い出して、きっと昔々の神話の頃からこの蒲は自然の湿地に生えていたのだろうと、なぞが解けたような気持ちで眺めていた。