日本温泉地域学会2018年春季大会は黒川温泉で開催され、黒川温泉は大きなホテル
がないので総勢50名の宿泊は厳しい。又超人気温泉地で宿泊客も途切れないなどで
今回15軒ぐらいある温泉旅館に学会員が分宿する事となり筆者はやまびこ旅館宿泊。
松山城に登城するには松山城山ロープウェイが便利だ。標高132mの山城の為
徒歩だとキツイ。東雲口から徒歩という方法もあるが。ここはロープウェイを利
用するのが賢明。ロープウェイのガイドは坊ちゃんでお馴染みマドンナスタイル。
映像:温泉発祥の洞穴源泉井戸(中央下アクリル戸)、壁から源泉が滲みでる。
安倍川の源流部分、安倍峠の手前にある温泉。この先は山梨県。
戦国時代この地は甲斐の配下。ここは武田信玄の隠し湯である。
梅ヶ島温泉の世話人が、映像に写る源泉井戸に案内してくれた。
【Data】単純硫黄泉 38.2℃ PH9.6 源泉:梅ケ島温泉混合泉
指定:日本で最も新しい国民保養温泉地(2017年5月 環境省認定)
この源泉井戸は嘗て入浴にも使われたとか、湯温と泉質は筆者好みの絶品湯。
≪速報:学会・研究情報 『温泉の秘密』2月28日に全国一斉発売税別1600円≫
筆者友人の待望の新刊が発売された。神保町の出版社「海鳴社」が発行
『温泉の秘密』だ。実はこの内容については事前に知っていた。昨年末
迄信濃毎日新聞社朝刊に「温泉のヒミツ」として連載されていたからだ。
内容:本作品の章立ては次の通りバラエティーに富む内容となっている
〇 一章・・・効能をうたう温泉 〇 二章・・・五色の湯と七変化
〇 三章・・・温泉とは何か? 〇 四章・・・放射能泉の真実
〇 五章・・・湯治の原点そして今 〇 六章・・・発見伝説と日本三古湯
〇 七章・・・信仰との関わり 〇 八章・・・台湾の湯けむり
〇 付録・・・‟源泉かけ流し„の周辺 / 安全入浴の心得
記録:本作品は2014年10月から2016年12月まで信濃毎日新聞「くらし面」
に「温泉のヒミツ」としてシリーズ連載されたものを再編集したもの
で巻頭の貴重なカラー写真、動物発見伝説イラストなどが特徴。全174頁
書評:著者は現役の信濃毎日新聞編集委員。医学・医療・健康ジャーナリストと
しては国内第一人者である。その著者が渾身を込め取材・編集した
本作品はシリーズ連載を見逃した全国の温泉ファン必携本と考える
推薦:温泉を健康医療の立場から興味深い切り口で綴る。その臨場感溢れ
る筆致は流石に現役の新聞人の貫禄が見て取れる。何よりも温泉愛
に満ちた秀文がキラ星の如くに散りばめられたお勧めの一冊である
購入:全国の書店、アマゾン(インターネット)などで購入可能・好評発売中。
速報:学会・研究情報 本物の名湯べスト100 (石川理夫著:講談社現代新書)
久し振りに、温泉評論家:石川理夫氏の講談社現代新書を手にとった。氏の温泉評論活動の
集大成ともなる名著。内容を精査するとある事に気づくだろう。それは今様のベスト100と
なってるが、氏の本当の意図は順位ではなく日本の百名湯を表したかったのだと深読みする。
五つの指標を掲示しているが「温泉は地球の素敵な贈り物(小生標語)」に順位はつけがたい。
小生にとっては本著冒頭100位屈斜路湖畔温泉群こそベスト1に掲げてもおかしくない位だ。
そういう意味で小生座右の名著「日本百名山(深田久弥)」に匹敵する名著であると推奨する。
さあ本物の名湯ベスト100を手に日本百名山クライマー同様日本百名湯を制覇しよう。一千湯
を制覇した小生であるが本名著のベスト100にはまだあと数湯足りていない。石川理夫氏に
敬意を表し、生ある内に本書をポケットに未湯温泉地を制覇したい。皆さんへお勧めの一冊。
記録:本物の名湯ベスト100(石川理夫著:講談社現代新書)は12月14日に全国書店一斉発売
参照#石川理夫(温泉評論家)著作一覧
つげ義春は1960年代に月間冊子「ガロ」で活躍した漫画家である。その漫画家が
温泉地を題材にして、たくさんの漫画作品やエッセーを発表している。特に東北
関東など鄙びた温泉場の作品が多い。それらをまとめた冊子が「つげ義春の温泉」。
解説:筆者も懐かしさに駆られ、アマゾンでこの冊子を手にした。学生時代には
買えない大金(1800円)を払った。白黒の物語風のコマ漫画だが、高度成長
下の狭間の温かさ、おおらかなエロティシズム、切なさ・・何よりも昭和の
温泉場が忠実に描き込まれており温泉研究家に貴重な一冊であろうと推量。
題目:長八の宿、 二岐渓谷、 オンドル小屋、 ゲンセンカン主人、 懐かしい人、
会津の釣り宿、黒湯・泥湯、上州湯平温泉、秩父の鉱泉と札所、東北の湯
治場にて、上州湯宿温泉の旅、颯爽旅日記・抄、下部・湯河原・箱根、伊
豆半島周遊、 養老(年金)鉱泉、 丹沢の鉱泉 ( 漫画&エッセーの題目 )
記録:欧州最大規模の漫画の祭典、第47回アングレーム国際漫画祭の授賞式で
特別栄誉賞を受賞した。(2020年2月1日:フランス南西部アングレーム)
≪ 本誌に掲載された温泉地(温泉&鉱泉)≫
温泉:湯野川、蒸ノ湯、後生掛、黒湯、孫六、泥湯、小安峡、夏油、瀬見、今神、
肘折、定義、早戸、西山、玉梨、大塩、岩瀬湯本、二岐、滝ノ原、湯ノ花、
木賊、北、湯宿、四万、尻焼、不動の湯、明治、屋敷、下部、湯河原、大
平台、松崎、城崎、湯村、壁湯、湯平、峐(はげ)ノ湯(有色の各温泉は筆者訪問済)
鉱泉:湯岐鉱泉、塩川鉱泉、柴原鉱泉、養老鉱泉、鶴鉱泉、飯山鉱泉、別所鉱泉
参照#つげの花(自宅庭)
映像:鹿塩温泉、復元した山塩製塩所で製塩実演する湯元山塩館の若ご主人
鹿塩温泉湯元山塩館にある山塩製塩所ではその昔温泉水から塩を製造していた。
という故事を再現した。生産塩は地元物産館と当館で販売されている。長野県
は山国で塩を生産できるというのは夢の様な話であり珍重されてきたのである。
(2016年 日本温泉地域学会春季 温泉探査 完)
映像:菅野温泉が「かんの温泉」として再生、新しい然別温泉郷の景観。
菅野温泉が再開された。秘境・秘湯として、多くの愛好家が再開を待ち
望んでいた山奥の湯治宿。2008年に閉鎖されて昨年6年ぶりに再開した。
今回の温泉探査の主要目的の一つがこの幻の温泉の確認調査実施である。
解説1:菅野温泉は北海道を代表する国民保養温泉地でもあった。今回
経営者が変わって施設もほとんどがリニュアルされて一般2の
日帰り客にも開放された事は貴重な温泉資源の保護面で心強い
解説2:かんの温泉旧館部分は日帰り2浴室に9つの湯壺が用意されて
いる。訪問時は男湯イナンクル(幸せ)が、女湯にはウヌカル
(出会う)の浴室があてられていた。 この両方の浴室を視察。
映像:雲仙温泉の半纏をきて温泉卓球勝負に挑む友人(温泉探査仲間:左側)
温泉地の活性化では、地元観光(温泉)協会等による不断の努力が必要だ。
どこかの観光協会職員の様に半分お役所仕事では温泉地の活性化は無理だ。
ここ雲仙温泉では温泉神社前で観光客相手の卓球によるイベントを開催中。
解説:お客さんは1000円をだして、観光協会の方と卓球による勝負をして
勝てば好きな景品をもらえる。負けても記念品が出る。試合は結構
熱くなる。勿論、卓球使用のラケットはなべブタ(鍋蓋)でおこなう。
雲仙温泉郷小地獄温泉の番台は懐かしさが溢れていた。嘗て訪ねた鹿児島
の共同浴場でも見られたが、番台は小店そのものであった。ここは生活用品
こそないが酒やらつまみやらお土産など、奥ではおばちゃんが笑顔で応える。
映像:佐賀県嬉野温泉嬉野橋の欄干の有田焼モニュメント
佐賀県といったら、有田焼きである。温泉街の、そこここに
有田焼のモニュメントが目立つ。陶器のすべすべ感と美肌
の湯のコラボ。嬉野温泉は陶器の有田・伊万里の里に近い。
映像:松尾芭蕉入浴の地(記念碑が建っているが嘗ては足湯があった)
芭蕉と曽良といえば、「奥の細道」の師弟道中を思い起こすだろう。
江戸時代の俳人であるが出身地は伊賀。旅をして諸国を行脚する
には相応な覚悟が必要な時代。難儀の末辿り着いた湯壺は格別だ。
芭蕉句:松尾芭蕉が飯坂温泉医王寺で詠んだ句
『 笈(おい)太刀も 五月に飾れ 紙幟(かみのぼり) 』(芭蕉)
解釈:医王寺に残されたという義経主従の「笈」と「太刀」に義経
の心中を察して、この武勇の志を五月の節句に掲げ語り伝えよと・・・。
参照#松尾芭蕉(奥の細道)探訪紀行
玉川温泉はPH1.05という強酸性の温泉を大量に湧出する。
その酸性泉は玉川から田沢湖へ流れj込んで死の湖とした。
酸性を中和するのが眼下にある中和処理施設なのである。
湯村温泉の開祖といわれる慈覚大師の像が源泉公園の一角に鎮座している。
慈覚大師(円仁)は高僧最澄の弟子として全国を行脚し、多くの温泉地で
開祖とされている。有名なのは9か所この湯村温泉もその温泉地の一つだ。
慈覚大師が開祖とされる温泉地:湯村、恐山(開山)、薬研、浅虫、夏油、
赤倉、別所、城崎、湯郷。筆者も慈覚大師の足跡をたどり、温泉巡礼をし
ているが美作三湯の湯郷温泉だけは未湯である。
解説:日本の名湯秘湯の多くは自然湧出泉であり、修行僧、権力者、動物
などの発見伝説が多い。