孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

国際新秩序を目指して  リマで中台会談 ロシア、日本は・・・

2008-11-23 16:03:17 | 国際情勢

(総統選挙で馬候補勝利を喜ぶ人々 多分。 “flickr”より By Assassin.Chen
http://www.flickr.com/photos/assassin/2351570253/)

【中台、協調関係をアピール】
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため、ペルーを訪問した胡錦濤中国国家主席は21日午前、台湾代表を務める連戦元副総統(国民党名誉主席)とリマのホテルで会談しました。
91年の台湾のAPEC加盟後、中国・台湾の代表による会談は初めてで、中台の協調関係をアピールするものだったそうです。

両者は05年4月北京で60年ぶりの国共トップ会談を行っており、個人的な信頼関係もあるようですが、中台関係の安定を国際社会に訴えることで、台湾の馬英九政権を後押しする中国側の狙いがあると報じられています。

****中台、協調関係をアピール 胡錦濤主席と連戦氏が会談*****
今回の中台対話を設定した狙いについて、中国共産党関係者は「現在の台湾が国際社会で外交空間の広がりを求めるならば、中国も柔軟に対応するとの新たなメッセージを発する」と指摘する。民進党時代には一切の妥協を拒み、強硬姿勢で臨んだ中国も、国民党の馬政権とは外交分野でも協調を模索する余地があるとの解説だ。
 独立志向の強かった民進党の陳水扁前政権に対して、中国は厳しい姿勢で臨んだ。台湾と外交関係を持つ国が集中する中南米で「外交関係争奪戦」を繰り広げたのも、その一端だった。だが、今年5月に国民党の馬政権が誕生すると対話路線にかじを切り、同月中に胡氏と呉伯雄)国民党主席が会談し、その後は民間窓口交流機関トップの相互訪問も復活させた。今回の会談には、中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室の王毅主任(閣僚級)も同席した。
 一方で、「台湾の独立は決して認めない」という原則は崩していない。秦剛外務省副報道局長は20日の定例記者会見で、「両岸関係がどのように変化しようとも、世界に中国は一つしかない。これは歴史的な事実であり、改変できない」と強調した。 【11月22日 朝日】
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【一時休戦】
中台双方が主権問題に触れないよう「古い友人との懇談」という名目で会談を行ったそうで、連氏は「我々は経済を優先させ、政治は後で対応することを希望している。現在はまだ経済の段階だ」と語っています。
会談では、胡氏が金融危機には中台が連携して取り組むことも必要だと説くと、連氏も「両岸(中台)は共同で世界経済の発展に貢献できる」と応じたそうです。

ところで、中南米・地域は台湾と外交関係がある23カ国のうち12カ国は集中しているエリアで、これまで中国と台湾の間で激しい陣取り合戦が行われてきたところです。
台湾にととっては最後に残された“虎の子”と言ってもいいエリアですが、最近の中国の目ざましい台頭という国際情勢から、中国側のワンサイドゲームの様相を呈しています。
まあ、中国・台湾への評価・好き嫌いは別として、無理からぬところでしょう。
中南米で相次いで左派政権が誕生している事情もあります。

昨年6月には、コスタリカを中国が“奪い取って”います。
8月15日に就任した、台湾と外交関係を持つパラグアイのルゴ大統領(中道左派)は、中国との関係強化を視野に入れ、今後、台湾の国連加盟を支持しない方針を明らかにしています。
また、9月には、外交関係のあるハイチなど中南米4カ国が、中国との関係を考慮して台湾の国連加盟に反対の姿勢を示したり、態度表明を控えたりしているとも報じられていました。

ただ中国も記事にもあるように、中台融和を掲げる国民党政権の誕生を受けて、“外交陣取り合戦”を一時休戦にしているとも言われています。
パナマやパラグアイは台湾から中国へ転向したがっているそうですが、中国側は「相手国が望んだとしても、国交樹立は急がない」という対応だとか。

これ以上台湾を追い込むよりは、中台融和路線の国民党なら台湾の外交的可能性も残ることを台湾の人々へアピールする戦略です。
こうした中国がコントロールする情勢の行き着く先は・・・ということも容易に想像されます。
もっとも、両国にとって極めて重要かつデリケートな問題で、容易に民族感情に火がつきやすい問題ですから、すんなりとは行かない事態も十分に予想されます。

【ロシアも中南米へ】
一方、ロシアのメドベージェフ大統領もAPEC出席にあわせて、ペルー、ブラジル、ベネズエラ、キューバの4カ国を訪問しています。
“同大統領の中南米歴訪は、ブッシュ政権の終了に際して米国に挑戦状を送りつけるものと受け取られている。”【11月22日 時事】とも報じられています。
ベネズエラでは、ロシア北洋艦隊の原子力ミサイル巡洋艦を旗艦とする艦隊とベネズエラ海軍との合同軍事演習をメドベージェフ大統領とチャベス大統領が視察する予定です。

米政府の全情報機関の分析予測を統括する国家情報評議会(NIC)が先日発表した世界予測「2025年の世界の潮流」で、今後の20年間を「新秩序への移行期間」としていますが、台頭する中国・インド、勢力保持を目指すアメリカ・ロシア・・・それぞれがそれぞれの思惑で動いています。

【女性と移民】
この報告は日本については、国際的に「中の上の地位を維持する」と予測していますが、日本の外交政策については、米中の出方に影響されるとして、〈1〉中国の経済成長が続けば良好な対中関係を維持〈2〉中国が域内各国に敵対的になれば東アジアの民主国家や米国とともに影響力を行使〈3〉安保面で米国の対日貢献が弱まれば中国に接近〈4〉米中の政治・安保協力が顕著になれば、その傾向に追随--とする四つのシナリオを提示しています。
外交は相手がある話で、どうしてもアメリカ・中国次第という感がありますが、中国との距離のとり方がポイントになります。

なお、この世界予測の中心執筆者であるマシュー・バローズ同会議顧問は21日記者会見し、日本の将来について、高齢化で今後の経済成長の継続は「より困難になる」と予測し、女性が長く働ける職場環境をつくり、移民を受け入れなければ「衰退する恐れがある」と警告しています。【11月22日 共同】
政治的保守化、他者への不寛容さが増大するように見える最近の日本社会にとっては、中国との関係にしても、女性・移民の問題にしても難しそうに見えます。
ということは、衰退する一方ということでしょうか・・・残念なことです。
コメント
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