孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国の情報規制に反対するグーグル、アメリカ情報機関NSAに協力要請

2010-02-07 22:10:08 | 国際情勢

(かつてNSAが使用していたと言われるベルリンのレーダー施設跡 こんな形で放置してあるということは、そんな大したことをしていた訳でもない・・・ということでしょうか?よくわかりません。
“”より By Schrottie
http://www.flickr.com/photos/schrottie/3280680341/)


【「当局が公式に発表した情報のみ」を用いるよう命じた】
アメリカのインターネット検索最大手グーグルが中国での情報規制およびサイバー攻撃に関して、撤退を含む抗議を行い、米中間の火種になっていることは以前も取り上げたところです。
中国の情報規制は国家体制を維持する根幹的な手段ですが、最近話題になったところでは、有害化学物質メラミン混粉ミルクの問題再燃に関する報道規制が報じられています。

****メラミン再汚染問題、中国当局が「自由な報道」を禁止****
有害化学物質メラミンを混入した粉ミルクの問題が再燃している中国で、政府が報道各社に対し同問題をめぐる独自報道を禁止したと、国際ジャーナリスト連盟(IFJ)が4日、明らかにした。
IFJは地元筋の情報として、広東(省の検閲官が報道各社に対し、「当局が公式に発表した情報のみ」を用いるよう命じたという。
IFJは今週出した報告書のなかで、中国が国内外の記者への弾圧を強めているとの警告を行っている。

2008年に大きな社会問題となったメラミン汚染は、粉ミルクのたんぱく質含有量を高く見せかけるために食品企業らが粉ミルクにメラミンを添加したことが発端で、汚染は粉ミルクを原料とする食品などにも拡大し、乳幼児6人が死亡、中国全土で約30万人の健康被害が明らかになった。
だが、前月になって、事件後に廃棄されたはずのメラミンが粉ミルクに混入されて販売されているとの複数の報道があった。国営メディアによると、警察当局3日、メラミン入り粉ミルクを製造販売したとして、渭南の食品会社の社長ら4人を逮捕している。【2月5日 AFP】
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“乳幼児6人が死亡、中国全土で約30万人の健康被害が明らかになった”という大事件にもかかわらず、廃棄されるべき有害ミルクが再販されるというのも信じがたいことですが、そうした事件の報道を規制しようする中国の社会体制のあり方には、根深い問題を感じざるをえません。

【「世界中の利用者のプライバシーに影響を与えかねない」】
一方、情報の自由を守る旗手となった感のグーグルのほうも、今回の件で新たな問題が話題となっています。

****グーグル:米情報機関に協力要請 「国家介入」で議論も****
米ワシントン・ポスト紙などは4日、中国からサイバー攻撃を受けたと主張しているインターネット検索最大手グーグルが、米国防総省系の情報機関・国家安全保障局(NSA)に協力を要請したと報じた。サイバー攻撃からの防衛策に関する技術支援を求めたものとみられるが、個人情報を扱う企業だけに、国家機関の介入の是非を巡り議論を呼びそうだ。
ポスト紙によると、グーグル側からNSAに、サイバー攻撃に対する防衛策に関し協力を要請。個人情報の保護などグーグルの社則に抵触しない形で協力を進めるための合意文書を作成中という。
同社の広報担当者は毎日新聞の取材に対し、「これまでも米国政府の関係機関と連携しているとは発表しており、それ以上はコメントはできない」と語った。また、同社の関係者は「グーグル利用者の安全やプライバシーは十分に配慮されている」と強調した。
NSAは米国土安全保障省などとは違い、国内犯罪を取り締まる法的権限を持たないことから協力対象として選ばれた可能性がある。
一方、米国防総省が1日発表した「4年ごとの国防政策見直し」(QDR)では、中国のサイバー攻撃の能力に懸念を表明し、来年度の同省予算案にはサイバー司令部創設が盛り込まれた。また、情報機関のトップのブレア国家情報長官も2日の議会公聴会で、「悪意に満ちたサイバー攻撃がこれまでにない規模で、しかも極めて洗練された形で行われている」と証言し、米政府としてサイバー攻撃対策に本腰を入れる姿勢を強調。グーグル問題は国家間の対決構図の様相を帯びてきた。
NSAは、暗号も含めた電波情報などの情報を収集し、分析する情報機関。世界中に広く張り巡らされた情報網「エシュロン」の運営主体として知られる。【2月5日 毎日】
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“NSAは2001年の米同時多発テロ後、令状なしで盗聴や電子メール傍受をしていたことが批判を浴びた経緯がある。ニューヨーク・タイムズ電子版は、グーグルとNSAの協力は「市民の自由の問題を招く」と指摘し、「世界中の利用者のプライバシーに影響を与えかねない」とする声を伝えた。”【2月5日 朝日】

NSAなどによる電話・メールなど無線電波情報の傍受については、映画ではよく目にするところですが、現実世界でどこもで行われているのか・・・よく知りません。
【ウィキペディア】によれば、エシュロンに関して、日本においても“日本政府、日本企業も監視の対象とされており、無線、短波無線、携帯電話、インターネット回線など、ありとあらゆる日本国内の通信が常に傍受され、データはニュージーランドの通信所に送られてエシュロンに蓄積されているという。日本に関する情報収集の対象は主に経済分野であり、経済活動をアメリカ政財界に更に有利にするための、トップの意思決定についての情報収集を重点的に行っているとされる。”とも。

また、NSAに関しては、“その性質上、組織や活動内容、予算については明らかにされていない部分も多く、設立当初は組織の存在そのものが秘匿されていた。NSAはあまりに全貌が不明瞭なので「Never Say Anything(何も喋るな)」「No Such Agency(そんな部署はない)」の略だと揶揄される事も有る。その性質上、組織や活動内容、予算については明らかにされていない部分も多く、設立当初は組織の存在そのものが秘匿されていた。NSAはあまりに全貌が不明瞭なので「Never Say Anything(何も喋るな)」「No Such Agency(そんな部署はない)」の略だと揶揄される事も有る。”とも。

しかし、どうやれば膨大な世界中の情報を監視することができるのでしょうか?
爆弾とかテロといたキーワードで情報の選別を行うとはされていますが。
まあ、十分には行えていないので、先日のテロ未遂事件などもおきるのでしょう。
それにしても、不気味な話ではあります。

また、今回の協力要請の前提に、これまでもグーグルなどインターネット関連企業とNSAなど情報機関との間に一定の関係があったということも窺われます。

一方で情報を強権的に規制しようとする中国、これに対して、知らぬ間に世界中の情報を傍受監視しているとも言われるNSA・・・どっちもどっちと言えなくもありません。現実世界はそんなものなのでしょう。

コメント
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