(モンゴルの夏の祭典「ナーダム祭」のパレード 本文とは全く関係ありませんが、女性の衣装が珍しかったので・・・・ “flickr”より By J Chau
http://www.flickr.com/photos/j_chau/4761759393/)
【南シナ海やメコン川での対立】
中経済成長を続ける中国が、国際社会において経済的・政治的・軍事的存在感を急速に強めているのは周知のところです。
アジアの国々においても、日本にとっての最大の貿易相手国が中国であるように、特に経済面での中国との関係が強まっています。
ただ、そうした中国の存在感が増すにつれ、中国への警戒感も同時に強まっており、特に利害関係が交錯する近隣アジア諸国との関係は緊張をはらんだものになりつつあります。
例えば、南シナ海を「核心的利益」と位置付ける中国に対して、南沙諸島・西沙諸島での対立を抱える東南アジア各国は警戒感を強めており、7月20日にハノイで開催されたASEAN外相会議では、ASEANと日本、中国、韓国など16カ国首脳が参加する東アジアサミット(EAS)への米露両国の参加について正式合意しました。ASEANにはEASに超大国である米国を呼び込むことで、地域で一層影響力を強める中国をけん制する狙いもあるとみられています。
また、同じハノイで7月23日に開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムでは、クリントン米国務長官が「米国はアジアの公海上で航行の自由という国益があり、南シナ海でも国際法を尊重する」、「中国も海洋法と国連規約を守るべき」と主張。これに対し、中国の楊外相が怒りの表情で、クリントン長官の発言を「中国に対する攻撃」などと非難するという激しいやり取りがありましたが、南シナ海問題では、ASEAN各国が中国に解決に向けて拘束力のある枠組み作りを求め、アメリカもこれに同調して多国間協議を支持、当事国2国間での係争解決を主張する中国側と鋭く対立しました。
ASEAN関係者からは、「南シナ海問題で中国側とこれほど論議したのは久しぶりだ」との声も聞かれました。
そうした流れで、中国を警戒するベトナムがアメリカに接近、中国がこれに反発する・・・という展開は、前にも取り上げたところです。
南シナ海以外でも、メコン川の水資源問題でも、上流にダムを建設する中国と、下流の東南アジア各国の利害が対立しています。
【モンゴル 中国の野心に対する警戒心】
このような中国との対立、中国への警戒感は、北の隣国モンゴルでも見られるようです。
****極右化するモンゴルの反中感情、強まる警戒感*****
バトさん(24)はモスクワに留学経験があるモンゴル人で、話しぶりは穏やか、着こなしも洒落ている。しかし自慢げに見せてくれた携帯電話の待ち受け画面には、ナチスドイツ親衛隊高官の頭がい骨が映っていた。
外見を見ただけでは、バトさんがモンゴルで極右団体に指定されている3団体のひとつ、「ダヤール・モンゴル運動」のメンバーだとは思えない。
この排外主義団体が掲げる第1の敵は中国だ。中国とロシアに挟まれた内陸国で、旧ソ連の衛星国だったモンゴルは20年前、ソ連の崩壊とともに資本主義へ移行した。経済発展に取り組んだものの、依然としてアジア最貧国の1つに数えられている。
外国人投資家が金、銀、銅、ウラン、石油といった豊富な天然資源に注目していることは、今後の経済成長に期待させる要素だが、ダヤール・モンゴル運動のような団体のメンバーは、経済、文化などあらゆる面で外国の影響を拒絶する。
■中国人を殺した事件も
モンゴルの極右団体による犯罪は外国にも知られている。米国務省は今年の春以降、モンゴルで「外国籍の人間に対する排外主義的襲撃事件が増加している」との渡航情報を出した。米国務省のウェブサイトは「こうした国粋主義団体は、アジア系アメリカ人を中国人や韓国人だと誤解し、突然襲撃することが多い」と注意を呼び掛けている。
モンゴルの首都ウランバートルでは今年に入り、中国人2人が殺されている。警察では、ウランバートル郊外で中国人がモンゴル人を殺害した事件がきっかけに極右団体の活動が活発化したとみている。
鉱山開発や建設事業で中国の影響力が増したことも、モンゴルの排外的民族主義を強める一因だと指摘する専門家もいる。200年にわたって満州族に支配された歴史をもつモンゴル人の中には、中国マネーがもたらす新たな繁栄への期待よりも、中国の野心に対する警戒心のほうが強いという見方もある。
世界銀行の鉱業専門家、グレアム・ハンコック氏はAFPの取材に対し、モンゴルが自国を「中国経済の「郊外」のような存在にしたがっていないことは明らかだ」と語った。
モンゴル科学アカデミー国際研究所のショルフー・ドルジ氏は、極右団体の台頭の方が大きな問題だという。極右団体の規模はまだ数百人程度だが、「モンゴルに来る外国人、主に中国人の違法行為に対する彼らの自警団的活動は、モンゴル全体の支持を得る可能性がある。それこそ真の脅威だ」【9月1日 AFP】
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中国が国益のみを追及する形で、中華思想ともとれるような対応で周辺国に接するのであれば、日韓、東南アジア、モンゴルなど周辺国は警戒感を更に強めるだけで、中国の利益にもならないように思われます。
国内的に見ても、チベットやウイグルなどの民族問題においても同様です。
ここは、中国としても長期的国益を考え、熟慮が必要なところではないでしょうか。