(翌朝からの封鎖に備え、スーパーマーケットで物資を買い込む人々(上海市 3月27日)【3月28日 HUFFPOST】)
【上海 症状のある新規感染者が1日50人 28日から封鎖】
新型コロナ対応については、世界の流れが「ウィズコロナ」の考えで規制緩和に向かうなかで、中国では厳格な「ゼロコロナ」政策を維持しているものの、各地で感染拡大が起きており、長春などでロックダウンに至っていることは、3月12日ブログ“中国 「ゼロコロナ」政策のもとで感染者増加 上海でも 900万人都市長春ロックダウン”でも取り上げました。
その後も感染拡大が止まっていません。
****新型コロナ、中国本土で新たに1275人感染確認****
中国国家衛生健康委員会は28日、31省・自治区・直轄市と新疆生産建設兵団から27日に報告を受けた新型コロナウイルスの新規感染者(無症状感染者除く)が1275人だったと発表した。
市中感染症例は1219人(吉林省1086人、上海市50人、中略)で、残り56人は境外(中略)で感染したと思われる輸入症例(中略)だった。(後略)【3月28日 新華社】
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26日の“新規感染者(無症状感染者除く)”が1217人、無症状感染者は4333人、合計5550人でした。
27日は上海で無症状感染者が前日より800人ほど増加していますので、合計人数は6千人を超えるかも。
25日も無症状感染者を含めて5600人と5千人を超える水準が続いています。
世界的には比較的感染レベルが低い日本が、27日は43364人ですから、人口13億(日本の10倍)の中国の感染レベルは桁違い(それも二桁ほど)に低いものにとどまっていますが、「ゼロコロナ」政策のもとで実際にもゼロに近いレベルを維持してきた中国としては、パンデミック初期の武漢での感染爆発以来の増加傾向で、当局も対応に苦慮しているようです。
中国のと言うより、今や世界の中核都市である上海でも(中国レベルで言えば)感染が広まっています。
****中国上海、コロナ無症状感染者3450人 過去最多****
中国の上海市で27日に確認された新型コロナウイルス新規感染者は、無症状者が3450人と過去最多を更新し、症状のある人は50人となった。市当局が短文投稿アプリ「微博(ウェイボ)」で28日明らかにした。
前日は無症状者の新規感染者が2631人、症状のある感染者は47人だった。(後略)【3月28日 ロイター】
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前日は無症状者の新規感染者が2631人、症状のある感染者は47人だった。(後略)【3月28日 ロイター】
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上海ではこれまで地区ごとの封鎖が行われていましたが、この事態に都市全体の事実上のロックダウンに入り、全住民(2500万人)のPCR検査を行うことに。(東地区封鎖は28日午前5時からですが、発表は27日夜)
****上海でロックダウン開始、東西に分けて96時間ずつ封鎖…住民2500万人にPCR検査****
中国最大の経済都市・上海市は28日から、新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、市内を二つの区域に分けて順番にロックダウン(都市封鎖)を始めた。封鎖中は外出を原則禁止し、地下鉄やバスの運行を止め自家用車も禁止する。
医療従事者や宅配業者など生活に必要な事業以外は出勤できなくなり、経済活動への影響が懸念される。
市中心部を流れる黄浦江を境に東西に分け、東部は28日〜4月1日、西部は1〜5日の96時間ずつ封鎖する。
封鎖中に上海市の全住民約2500万人を対象にPCR検査を行う。検査は主に集合住宅地ごとに実施するという。
日本外務省によると、上海市の在留邦人数は昨年10月時点で約3万8000人で、日本企業の拠点数は2017年の調査で約1万だった。
上海市はこれまで感染者が確認された地域を細かい住所単位で封鎖し、感染拡大を食い止めてきた。だが3月中旬から感染力の強い変異株「オミクロン株」が広がり、27日の新規感染者数は3500人と過去最多を記録した。うち無症状感染者が約9割を占めた。
中国全体でも今月は感染が拡大し、深セン市などが都市封鎖した。上海市の場合は経済への影響が大きいため、都市封鎖はせず感染者が見つかった地区ごとに封鎖してきた。だが感染に歯止めがかからず都市封鎖に踏み切った。
【3月28日 読売】
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【当局の硬直的対応に住民には不満・ストレス・批判も】
中国の国情でしょうか、有無を言わさずいきなり封鎖して、状況説明もほとんどない・・・ということで、さすがに住民の不満もたまってきています。
下記は、上海におけるこれまでの地区封鎖の状況に関するもの。
****ストレスを溜めながら助け合う住民、ゼロコロナ軟禁生活を上海からレポート****
中国・上海市で3月25日、新型コロナウイルスの市中感染者がついに2269人となった。数週間前に1桁だった市中感染者数が、気づけば1000人になり、23日から2日で2倍となっている。
上海市は3月15日の会見で「ロックダウン(都市封鎖)はしない」と表明したが、翌日からエリアごとに48時間封鎖し、住民全員に対し1日1回、計2回のPCRスクリーニング検査を行っている。無症状感染者を洗い出すこのPCRスクリーニング検査によって、日々、新たな感染者が雪だるま式に増えている。
昨年(2021年)末には西安が、先ごろには深圳がそれぞれ感染者数の拡大を受けてロックダウンに踏み切っている。一方、上海市はエリアごとに封鎖して全住民へのPCRスクリーニング検査を実施するという、異例の措置を採った。
これは、できる限り経済活動に影響を与えず、コストを最小限に抑える防疫政策だとされる。もちろん、中国が掲げる「ゼロコロナ」政策を踏襲するものだ。
果たして、中国のゼロコロナ政策はうまくいくのか。上海のマンション敷地内に閉じ込められた、筆者の現在の生活をリポートしよう。
疲れ始めた住民
上海市で実施される封鎖のエリアの単位は「小区」と呼ばれる集合住宅である。筆者が住むマンションがある小区の入り口にはロープが張られ、警備員が監視しているため、敷地内から出ることはできない。住民は軽い“軟禁”状態とも言える。
筆者が住む小区の封鎖は今日(3月25日)で8日目。小学校、中学校、高校も閉鎖され、生徒は先週から自宅でオンライン授業を受けている。子供も親もそろそろみんな疲れが出てきている。
外に買い物に出ることができないため、宅配に頼るしかない。とりわけ筆者が住むエリアは広範囲にわたる封鎖が同時に行われているため、多くの人が宅配を頼んでいるようだ。配達員不足から、いつアプリを開いても注文ができない状態が続き、これがストレスにもなっている。
そうした状況のなか、大型スーパーは小区ごとの宅配サービスを始めた。チャットアプリ「微信(WeChat)」には買い物用のグループチャットが開設され、数日後にはチャットへの参加者が300人を超えた。
筆者が住むマンションの近くにある個人経営の八百屋も、宅配をしている。電話一本で配達してくれるのはありがたいのだが、価格は普段の4〜5倍もする。非常事態だから仕方ないだろう。
マンションの敷地内で知り合いや友人に会うと、食料をどこで調達しているかについて情報交換をする。SNSでも地域住民の間でそうした情報が飛び交い、みんなで助け合っている。
飛び交う噂
あと何日で封鎖解除になるのか、まったく先が見えないのもかなりのストレスだ。
小区を管理する居民委員会からの連絡事項は、微信のグループチャットか、マンション1階の入り口扉に張り出される「通知」で知ることになる。電話で問い合わせても、「政府当局から封鎖解除の指示が出れば、すぐに通知する」と言われるだけである。
「〇〇の小区で陽性者が出たらしい」「〇棟が封鎖されたらしい。濃厚接触者がいたようだ」――。住民の間では、いろいろな噂が飛び交う。(中略)
ただ、中国人の友人らは、「早く封鎖解除になってほしい」「買い物が大変だ」などと言うものの、封鎖を強制する当局に対して文句を言う人はいない。そして“封鎖生活”を少しでも豊かにするため、せっせと生活用品や嗜好品の調達方法を探している。
終わりの見えない「ゼロコロナ」政策
上海市には「上海発布」という微信公式アカウントがあり、このアカウントをフォローしていれば、日々の新規感染者数とどこの小区で感染者が出たのかを知ることができる。
市が実施するスクリーニング検査は、もちろん陽性患者の早期発見に効果的だろう。ただ、市内の防疫対策は小区ごとに大きな差があるのも事実だ。
たとえば、友人が住む、筆者とは別のエリアの小区は、いまだ封鎖されていない。友人は、職場があるオフィスビルが一時的に封鎖されていたため、その期間は出社できなかったが、オフィスビルの封鎖解除とともに出社が可能になった。
上海市は、小区のリスクレベルに基づき、PCRスクリーニング検査の実施規模を小区ごとに差別化することで、医療資源がひっ迫しないようにしているという。この差別化措置が感染者のさらなる拡大につながらないことを祈るしかない。
終わりの見えない「ゼロコロナ」に市民は疲れ始めている。筆者が住む小区の対面の小区がきょう封鎖解除となり、「うちの小区はどうなっているんだ」と小区入り口に多くの人が集まっていた。
封鎖が解除になった小区の住民は、こぞってスーパーや野菜市場を訪れ、物の買い占めに奔走。多くの人が集まるため陽性者の増加が加速し、封鎖になった場所も少なくない。1カ月後の上海はどうなっているのだろうと思わずにいられない。
上海市が採った措置の結果は、中国全体のゼロコロナ政策にも影響しかねない。上海市の責任は重大である。
【3月27日 山田 珠世氏(上海在住コラムニスト) JBpress】
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中国の観光地での経験。ロープーウェイが点検作業でストップ。何の説明もないまま長蛇の列が。それでも中国人民は黙って並んでいました。お上(おかみ)の命令には従順なところがあります。それでもさすがに・・・。
今回、東西に分けて封鎖するということで、食料品などの買い占めといった混乱も生じており、ネット上には政府・当局に対する不満も。
****「外国人を笑えない」上海ロックダウンで不満の声がSNSに...「隠語」を使って中国政府批判も****
中国・上海市は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、市を東西に分けての事実上のロックダウン措置に入った。感染を徹底して封じ込める「ゼロコロナ」政策に、ネットユーザーからは不満の声が上がっている。(中略)
アメリカ政府系メディア・RFAなどによると、上海市では(封鎖直前の)27日夜、食料品などの買い占めが起きたという。
先行して封鎖される東側に位置する浦東新区ではこの日、スーパーマーケットなどの営業を深夜0時まで延長。「買い占めで人がごった煮になる。ロックダウンも無駄になるぞ」「さっさと買い占めに行けということか」などと批判的なコメントが相次いだ。
台湾・三立テレビは上海の映像として、空になったスーパーの棚や、物資をめぐってもみ合いになる人たちの様子を伝えている。
中国はこれまで、厳格な水際対策や隔離措置、それに徹底した検査体制を組み合わせた「ゼロコロナ」で感染を抑えてきた。しかし、突然の封鎖措置や経済活動の制限など、市民に負担を強いる側面もあり、ネットユーザーからは不満の声も上がる。
SNS・ウェイボーでは「こんなに人が密集しているのに政府は放置。(感染が爆発的に広まった)香港のようになるぞ。政府が『横たわり(無気力な人などを指す)』をしたいのならば素直に言ってくれれば良いのに」とか「上海市政府の何人が処分されるのだろう」などと苦言するコメントが並ぶ。
これまで中国メディアには、感染が拡大する西側諸国と比較して、中国のゼロコロナ対策が優れているとした評論が掲載されてきた。
これを意識してか「コロナそのものが怖いのか、ゼロコロナ政策が怖いのか時々分からなくなる。上海ではなぜ買い占めが起き、『zf』が物資を提供してくれると信じられないのか。他の国の報道を見ていて、我々はどの視点から外国人を笑えるのだろうか?」と疑問を呈する投稿もあった。
「zf」は中国のネット空間で用いられる隠語で、「政府」を表す。この書き込みはまもなく削除された。【3月28日 HUFFPOST】
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なお、当局によると、“上海の空港、鉄道駅、貨物輸送は大規模検査中も通常通り運営される”【3月28日 ロイター】とのこと。
住民感情や事情に配慮しない当局の硬直的対応にも批判が。
****「隔離は御免」、中国ゼロコロナ政策に市民の不満爆発****
中国のSNSでは先週、東北部瀋陽市で群衆が衣料品市場の窓を叩き、新型コロナウイルスの検査義務付けが再開されることに不満を爆発させる動画が拡散された。
地元政府は直ちに、この騒ぎに関する「うわさを拡散」させないようにと人々に通告。しかしインターネット上にはすぐに「隔離は御免だ!」、「大勢の人々が真実に目覚めた」といったコメントがあふれた。
対話アプリ「微信(ウィーチャット)」ではユーザーが「普通の風邪の方が大変。これを続けたがっているのは検査機関だ。ワクチン企業は永遠に接種し続けたいのだ」と怒りを爆発させた。
このコメントは、中国全土で高まる不満を映し出している。当局が感染力の強いオミクロン株の拡大を抑え込むため、あの手この手の「ゼロコロナ」政策を打ち出すことへの不満だ。
感染者数が増える中、絶え間ない検査など「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」と呼ばれる政府の政策は複雑さを増す一方で、国民の間ではその有効性に疑問が広がっている。
国家衛生計画生育委員会の王賀勝・副主任は先週の記者説明で、政策の洗練度が上がったことによって、国民の不便は軽減されたと主張。「非常に少数の人々の通常の活動を犠牲にし、非常に小さい地域で移動を制限することと引き換えに、大半の地域と人々の生産と生活が平常通りに保たれている」と述べた。
しかし国民は、政策が透明性と一貫性を欠いていることに怒りを募らせている様子だ。SNSの検閲者は、あふれる不平不満の声を削除するために残業を強いられている。
北京のベッドタウン、河北省燕郊では、厳しいロックダウン(都市封鎖)が敷かれる中で住民が帰宅に苦労している。
オンラインで拡散された複数の画像からは、住民が北京から抜け出すため、激しい雪が降る中で検査結果受け取りの行列に並ぶ様子が見て取れる。こうした投稿には数百件のコメントが付いた。画像の多くは既に削除されている。
中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」には「感染が始まって3年も経つのに、政府の対応は未だにお粗末だ。人々の命や死にまるで無頓着な、怠惰で杓子定規な政府だ」という投稿があった。
経済的な苦境も広がっている。感染拡大が深刻な吉林省長春市で配達の仕事に就くマオさんは、周辺地域は9割方閉鎖され、生活費が稼げないと嘆く。「なすすべがない。街の閉鎖が解除されるのを待つしかない。お手上げだ」
<恣意的なルール執行>
規則が恣意的な上、地域住民の委員会が勝手な裁量でその執行を担っていることに対しても、住民から苦情が出ている。(中略)上海では、集合住宅ごとに検査やロックダウンの基準がばらばらなことに戸惑いの声が聞かれる。
しかしこうした政策は単に生活を不便にするにとどまらない。ネット市民は、ロックダウンが招いた深刻な悲劇についても積極的に意見交換するようになってきた。
ウェイボーに先週アップされ、広く拡散された投稿によると、上海中央病院で化学療法を受けていた患者が病院の隣の宿泊施設に隔離されたまま亡くなった。ネットには、新型コロナ絡みの混乱が原因で愛する人を失ったエピソードも拡散されたが、その後削除された。(後略)【3月26日 ロイター】
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【「ゼロコロナ」に固執する背景】
中国政府が「ゼロコロナ」に固執するのは、中国製ワクチンの有効性が低いため感染が広まると、高齢者死亡の増加など収拾がつかない状態になりかねいのを懸念している・・・との指摘もされています。
“(欧米製)mRNAワクチンの入手資金はあるものの、この1年間に欧米製のワクチンに関する偽情報をばらまいてきたため、今さら供給するのは政治的に都合が悪い。国内産mRNAワクチンを開発する動きもあるが、実現はまだ先だ。”【3月25日 Newsweek 「コロナとロックダウン「再襲来」に、爆発寸前の中国の「不満」が政府に向かう」】
「ゼロコロナ」対応が医療逼迫を招いているとの指摘も。
****中国の病院、軽症者で逼迫 ゼロコロナ裏目****
中国全土で新型コロナウイルス患者が病院に殺到し、医療従事者から悲鳴が上がっている。押し寄せているのは重症者ではなく、軽症者だ。
中国の病院はこれまで、他国が慣れざるを得なかった病床のひっ迫には見舞われていなかった。唯一の例外は、2020年初頭の数週間にこれを経験した武漢市だ。
中国はむしろ、できる限り早く感染者を排除することを目指し、感染者全員を入院させ、「濃厚接触者」もすべて隔離施設へ送ってきた。濃厚接触者には医師や看護師も含まれる。
しかし、中国本土で感染者が急増する中、かつての「成功の方程式」はここにきて大混乱をもたらしつつある。(後略)【3月24日 WSJ】
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異例の3期目続投を見据える習近平国家主席は難しい対応を迫られています。
当然ながら、中国が感染爆発で混乱すればサプライチェーンが寸断され、日本も手痛い打撃を受けます。