(シリアの反体制派が拠点とするイドリブで開かれたシリア内戦11年を記念する大規模集会の様子(2022年3月15日撮影)【3月16日 AFP】)
【シリアでの傭兵登録 ロシアだけでなく、反政府勢力によるウクライナ側での戦闘参加も】
ウクライナでの軍事作戦が想定どおりには進まないロシアはシリアからの傭兵をウクライナに投入するということが以前から報じられています。
生活に困窮するシリア人にとっては破格の条件での「就職」だと想像されますが、ロシアだけでなく反ロシアの立場の反政府府勢力側ではウクライナ側の傭兵登録も行われているとか。この動きにウクライナ政府がどの程度関与しているのかは知りません。(資金的な裏付けを誰がしているのか・・・)
これまで長年の戦闘の修羅場をくぐってきた、また、民族的なしがらみなどもないシリア人傭兵は民間人の犠牲を厭わず、戦闘を激化させるとの懸念があります。
****シリア 報酬目当てのよう兵 ウクライナへ向かおうとする動き****
ロシアのプーチン大統領がウクライナに外国の戦闘員を送り込む方針を示す中、内戦が続く中東のシリアから報酬を目当てにしたよう兵としてウクライナへ向かおうとする動きが出ていて、現地での戦闘の激化を招くおそれがあります。
シリアでは、ロシアが後ろ盾になっているアサド政権の協力のもと、ロシア側に立ってウクライナでの戦闘に参加するよう兵の募集が各地で進められていて、現地の情報を集めている「シリア人権監視団」によりますと、すでに4万人以上が登録したということです。
現在、戦闘経験に基づいた選考が行われているとみられ、一部は、ロシア軍が駐留するシリアの空軍基地からすでに現地に派遣された可能性があるということです。
こうしたよう兵の募集が行われている南部のスウェイダでは12日、ウクライナに軍事侵攻したロシアを支持する集会が開かれました。
集会では、プーチン大統領とアサド大統領が一緒に写ったポスターが掲げられ、集まった人々は「シリアとロシアは1つだ」などと声をあげていました。
市内では、現地の警察署によう兵の登録センターが設けられ、ウクライナへの派遣を志願する人たちが登録に訪れています。
登録を終えたという政府軍の元兵士で29歳の男性はNHKの取材に対し「申請が承認され次第、北西部のラタキアにある空軍基地に移され、契約を交わしたあと派遣されることになる」と話していました。
よう兵になる理由について男性は「生活が苦しく、お金のためと内戦でわれわれを支えてくれたロシアのためだ」としたうえで「ウクライナの戦闘の最前線で戦えば月に7000ドルが、後方でも3000ドルが支払われるとの説明を受けた」と明らかにしました。
そして「死につながる道かもしれないが、家族を養うためにこの機会を逃したくない」と話していました。
一方、ウクライナ側に立ってロシア軍と戦うよう兵の登録も同じシリアで始まっています。
こうした登録は、反政府勢力の拠点となっている北西部のイドリブ県で行われていて、手続きを済ませたという反政府勢力の元戦闘員で36歳の男性は、「大規模な戦闘や衝突の可能性がありますが、われわれはこの種の戦いには慣れています。志願した理由は2つで、ロシアと戦うためと、生活苦による経済的な理由です」と話していました。
ウクライナ政府が、こうしたよう兵を受け入れるかは明らかになっていませんが、シリアの反政府勢力内の各組織が登録を受け付けているということで、男性は「名前や必要な情報の登録を済ませ、次の指示を待っています。私だけでなく10人、20人と志願し、同じように待っている状況です」と話していました。
シリア人よう兵は、これまでも北アフリカのリビアや旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアの係争地にも派遣されていて、紛争を複雑化させる要因の1つともなってきました。
今回のウクライナへの派遣では、市街戦に投入されるのではないかとの見方が専門家から出ていて、ウクライナでの戦闘の激化を招くおそれがあります。
現在、戦闘経験に基づいた選考が行われているとみられ、一部は、ロシア軍が駐留するシリアの空軍基地からすでに現地に派遣された可能性があるということです。
こうしたよう兵の募集が行われている南部のスウェイダでは12日、ウクライナに軍事侵攻したロシアを支持する集会が開かれました。
集会では、プーチン大統領とアサド大統領が一緒に写ったポスターが掲げられ、集まった人々は「シリアとロシアは1つだ」などと声をあげていました。
市内では、現地の警察署によう兵の登録センターが設けられ、ウクライナへの派遣を志願する人たちが登録に訪れています。
登録を終えたという政府軍の元兵士で29歳の男性はNHKの取材に対し「申請が承認され次第、北西部のラタキアにある空軍基地に移され、契約を交わしたあと派遣されることになる」と話していました。
よう兵になる理由について男性は「生活が苦しく、お金のためと内戦でわれわれを支えてくれたロシアのためだ」としたうえで「ウクライナの戦闘の最前線で戦えば月に7000ドルが、後方でも3000ドルが支払われるとの説明を受けた」と明らかにしました。
そして「死につながる道かもしれないが、家族を養うためにこの機会を逃したくない」と話していました。
一方、ウクライナ側に立ってロシア軍と戦うよう兵の登録も同じシリアで始まっています。
こうした登録は、反政府勢力の拠点となっている北西部のイドリブ県で行われていて、手続きを済ませたという反政府勢力の元戦闘員で36歳の男性は、「大規模な戦闘や衝突の可能性がありますが、われわれはこの種の戦いには慣れています。志願した理由は2つで、ロシアと戦うためと、生活苦による経済的な理由です」と話していました。
ウクライナ政府が、こうしたよう兵を受け入れるかは明らかになっていませんが、シリアの反政府勢力内の各組織が登録を受け付けているということで、男性は「名前や必要な情報の登録を済ませ、次の指示を待っています。私だけでなく10人、20人と志願し、同じように待っている状況です」と話していました。
シリア人よう兵は、これまでも北アフリカのリビアや旧ソビエトのアゼルバイジャンとアルメニアの係争地にも派遣されていて、紛争を複雑化させる要因の1つともなってきました。
今回のウクライナへの派遣では、市街戦に投入されるのではないかとの見方が専門家から出ていて、ウクライナでの戦闘の激化を招くおそれがあります。
シリア人権監視団「状況さらに悪化」強い懸念
シリア人よう兵のウクライナへの派遣の動きについて、シリア人権監視団のラミ・アブドルラフマン代表は(中略)
「シリア人よう兵は派遣されたリビアでは、『雇われた殺人者』と呼ばれ、その名の通り、ウクライナであろうがどこであろうが、民間人の犠牲をいとわない。状況をさらに悪化させるだろう」と述べ、強い懸念を示しました。
また、ウクライナでのロシア軍の戦術について、かつてシリアで実行されたものだと指摘し、「都市を包囲する前に事前に退路をつくり、相手が退却しない場合は完全に包囲し、降伏させ支配下に置くまで飢えの苦しみと爆撃を続けるやり方だ」と述べシリアで起きた人道危機が繰り返されているとして、ロシアを非難しました。【3月15日 NHK】
「シリア人よう兵は派遣されたリビアでは、『雇われた殺人者』と呼ばれ、その名の通り、ウクライナであろうがどこであろうが、民間人の犠牲をいとわない。状況をさらに悪化させるだろう」と述べ、強い懸念を示しました。
また、ウクライナでのロシア軍の戦術について、かつてシリアで実行されたものだと指摘し、「都市を包囲する前に事前に退路をつくり、相手が退却しない場合は完全に包囲し、降伏させ支配下に置くまで飢えの苦しみと爆撃を続けるやり方だ」と述べシリアで起きた人道危機が繰り返されているとして、ロシアを非難しました。【3月15日 NHK】
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シリア人傭兵の報酬については、“負傷すると約90万円、死亡した場合は約200万円が支払われる”【3月15日 フジテレビ“イット”】とも。
【11年が経過したシリア 反政府勢力拠点イドリブでは、ウクライナに集まる国際的関心が同じロシアと戦うシリアにも及ぶことへの期待も】
一方、傭兵の募集が行われているシリアでは、内戦の発端となったで「アラブの春」の反政府デモから11年が経過しています。
その惨状・犠牲は死者約50万人と現在のウクライナをはるかに凌ぐものがあり、しかもそうした状況が11年間継続しています。
****シリア内戦に至るデモから11年****
シリアでは11年前の3月15日、「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が波及する形で反政府デモが各地に広がり、これをアサド政権が弾圧したことで激しい内戦に発展しました。
内戦は、混乱に乗じて過激派組織IS=イスラミックステートが勢力を拡大するなど泥沼化し、現地の情報を集める「シリア人権監視団」によりますと、これまでの死者は49万9657人にのぼり、このうちおよそ3人に1人が民間人だということです。
また、内戦で国民の2人に1人が家を追われ、国連のまとめでは、国外に逃れた難民は670万人以上にのぼります。
一時は劣勢となったアサド政権は2015年からロシアによる空爆の支援を受けて反政府勢力やISの支配地域を次々と奪還しました。
一方、反政府勢力は、1つにまとまれずに分裂が進み、北西部イドリブ県とその周辺に追い詰められ、ISも弱体化する中、アサド政権は軍事的な勝利をほぼ確実にしました。
おととし、アサド政権を支えるロシアと反政府勢力を支援するトルコが停戦で合意してからは、大規模な戦闘は収まっていますが、政権側と反政府勢力、それにアメリカが支援し、北東部を事実上支配するクルド人勢力など国は分断され、散発的な衝突が続いています。
また、国連安全保障理事会の決議に基づく自由で公正な選挙に向けた憲法の起草など政治的な解決を目指すプロセスは行き詰まっていて、内戦の終結は見通せていません。
シリア人権監視団のアブドルラフマン代表は「内戦を終わらせる唯一の解決策は国際社会の力でシリアを変えることだが、いまのロシアとアメリカの対立の事態を受けてそれも望めない。シリアという国が近い将来、再び1つにまとまることはないだろう」と述べ、ウクライナ情勢を受けてシリアの和平はより遠のいたとの認識を示しました。【同上】
内戦は、混乱に乗じて過激派組織IS=イスラミックステートが勢力を拡大するなど泥沼化し、現地の情報を集める「シリア人権監視団」によりますと、これまでの死者は49万9657人にのぼり、このうちおよそ3人に1人が民間人だということです。
また、内戦で国民の2人に1人が家を追われ、国連のまとめでは、国外に逃れた難民は670万人以上にのぼります。
一時は劣勢となったアサド政権は2015年からロシアによる空爆の支援を受けて反政府勢力やISの支配地域を次々と奪還しました。
一方、反政府勢力は、1つにまとまれずに分裂が進み、北西部イドリブ県とその周辺に追い詰められ、ISも弱体化する中、アサド政権は軍事的な勝利をほぼ確実にしました。
おととし、アサド政権を支えるロシアと反政府勢力を支援するトルコが停戦で合意してからは、大規模な戦闘は収まっていますが、政権側と反政府勢力、それにアメリカが支援し、北東部を事実上支配するクルド人勢力など国は分断され、散発的な衝突が続いています。
また、国連安全保障理事会の決議に基づく自由で公正な選挙に向けた憲法の起草など政治的な解決を目指すプロセスは行き詰まっていて、内戦の終結は見通せていません。
シリア人権監視団のアブドルラフマン代表は「内戦を終わらせる唯一の解決策は国際社会の力でシリアを変えることだが、いまのロシアとアメリカの対立の事態を受けてそれも望めない。シリアという国が近い将来、再び1つにまとまることはないだろう」と述べ、ウクライナ情勢を受けてシリアの和平はより遠のいたとの認識を示しました。【同上】
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そのシリアでロシアの支援を受ける政府軍によって包囲されている反政府勢力最後の拠点イドリブでは、ウクライナに世界の注目が集まることで、似たような状況にあるシリア・イドリブにも関心が向けられるのではないか・・・という“期待”もあるようです。
****シリア内戦11年、イドリブで大規模集会 ウクライナに連帯も****
シリアで15日、内戦のきっかけとなった反政府デモが始まってから11年を迎え、反体制派が拠点とする北西部イドリブで大規模集会が開かれた。ロシアによるウクライナ侵攻に対し国際的な非難の声が高まる中、シリア政府を支援するロシアに抗議し、ウクライナへの連帯を示す参加者もいた。
イドリブ市の中央広場で開かれた集会には5000人以上が参加。同市で行われた集会としてはここ数か月で最大規模となった。
シリア政府の主要支援国であるロシアがウクライナを侵攻したことをきっかけに、シリアの現状に再び関心が集まることを期待する参加者も多い。
ラドワン・アトラシュさんはAFPに、「ウクライナで起きていることは、ここで起きたことと似ている。敵も、目的も同じだ」と語った。
ウクライナ国旗のほか、ウクライナ人への連帯を示し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領への制裁を求めるポスターや横断幕を掲げる人もいた。(後略)【3月16日 AFP】
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****シリアの飛び地、ウクライナへのメッセージと共に蜂起の節目を迎える****
(中略)シリア北西部に位置するイドリブは、ロシア支援による長年の猛攻にもかかわらず、アサド政権と戦う最後の飛び地となっている。現在も約400万人の人々がこの地に暮らしているが、少なくとも半数は避難民たちだ。
イドリブの抗議デモでは、ウクライナ国旗が見られたほか、ウクライナの人々との連帯を表明し、プーチンへの反撃を要求する横断幕も掲げられた。
市内の主要ロータリーでデモに参加していた医療関係者は、ウクライナの関係者にアドバイスを送った。
イドリブの病院に勤務するアリ・ハムシさんは、「病院をセメントブロックで強化しろ。敵のプーチンは、民間人、負傷者、戦闘員を区別しない」と述べた。
医療関係者や人権団体、目撃者たちによると、「ロシア航空機は、シリアの医療施設を繰り返し標的にしてきた」という。
先週包囲されたウクライナの都市マリウポリでは、小児科病院がロシアの攻撃と見られる攻撃を受けて騒ぎとなり、プーチンに対する戦争犯罪の非難は更に高まった。(中略)
侵攻ロシア軍が直面した激しい抵抗と、プーチンを除外する動きの高まりは、声を上げる機会がこの数年ほとんどなかった群衆を活気づかせたようだ。
抗議者の一人であるサルワ・アブデルラフマンさんは、「シリア革命が始まって11年になるが、今日が1日目のような気分だ」と述べた。
49才の女性は、「我々は負傷、追放、殺害、逮捕を恐れない。革命続行の誓いを新たにした」と語った。
「ウクライナの人々に対する私からのメッセージは、『あきらめるな』。革命開始から11年が経過したが、我々は臆することはない。我々の勝利は神の意思だ」【2月3日 ARAB NEWS】
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個人的にいつも疑問に思うのは、“最後の拠点”イドリブをアサド政権・ロシア軍はどうして総攻撃で制圧しないのか? ということ。得意の“無差別攻撃”をすれば軍事的には可能なようにも思えますが・・・。
イドリブに反政府勢力を追い詰めた時点では、イドリブ制圧も時間の問題と思われましたが、その後は“現状維持”状態が続いています。
総攻撃すれば政府軍・ロシア側にも大きな犠牲がでますので、そのあたりを懸念しているのか?
反政府勢力を支援するトルコとの関係で制圧を見送っているのか?
多大な犠牲者を出す制圧作戦に高まるであろう国際批判を懸念しているのか?
まったくの憶測ですが、アサド政権にとっては力任せに制圧して反政府勢力残党・シンパが各地に散乱するよりは、反政府勢力をイドリブに“まとめて閉じ込めておく”ことの方が効率的なのかも。イドリブは一種の“監獄”“収容施設”的な存在とも言えるのかも・・・どうでしょうか。
イドリブ以外の拠点を制圧したときも、そこにいた反政府勢力がイドリブに移動することを認めてきましたが、それも一種の“収容所への移送”だったのかも。
【シリアとウクライナの類似性と相違点】
前出【NHK】に“ウクライナでのロシア軍の戦術について、かつてシリアで実行されたものだ”(シリア人権監視団のラミ・アブドルラフマン代表)という指摘もあるように、シリアとウクライナには類似性があります。また、同時に差異も。
****ロシア、ウクライナで「戦争の実験場」再現か シリアでの戦術に酷似****
都市の包囲や民間インフラへの砲撃、市民を退避させる「人道回廊」の設置──。ウクライナ侵攻でロシアが採用している戦術は、シリア内戦に軍事介入して反体派を弱体化させるために試し、微調整を加えてきた手法に酷似している。
ただし、作戦計画は異なるものとなる。シリアの反体制派武装勢力には、軍事力も国際社会からの広範な支援もなかった。西側の支援を受けたウクライナ軍は、いずれの点も大きく上回っていると、アナリストは指摘する。
ロシアは2015年、バッシャール・アサド政権を支援するためにシリア内戦に介入。10年超に及ぶ内戦における決定的な戦いで、政権側に勝利をもたらしてきた。
ウクライナでも、ウラジーミル・プーチン大統領が先月24日に侵攻を命じて以降、大規模なロシア軍部隊が進攻。都市中心部に砲撃を加えたり、多数の民間人に避難を強いたりし、国際社会から激しい非難の声が上がった。
ロシア軍が民間人居住区を標的にしていることを示す多くの証拠があるにもかかわらず、ロシア側はこれを否定。これに対し、西側主要国や人権団体は、戦争犯罪の可能性があると糾弾している。
フランス軍事筋はAFPに「シリアは小さな舞台だった」とし、ロシアのウクライナ侵攻で特筆すべきは「規模の違い」だと語った。
ただロシア軍は、シリアで複数の兵器体系の試験を実施し、重要な実戦経験を積んだ。ウクライナで採用されている戦術の多くも、シリアでの経験から導き出されたものだ。
アナリストのファブリス・バランシュ氏は「ロシアにとってシリアは兵士や装備の実験場だ」と解説する。
■恐怖をあおる戦術
人権団体は、アサド政権が反体制派を要衝から排除するため、民間人居住区を包囲したり、インフラを爆撃したりするのをロシアが支援してきたと批判している。
バランシュ氏は、アサド政権のてこ入れに向け、経済の中心地である北部アレッポや首都ダマスカス周辺の反体制派支配地域を含む「大都市を制圧することが、ロシアの初期の目標だった」と分析する。
同氏によると、ロシア軍はウクライナでも首都キエフやハリコフ、オデッサを含む重要都市に向けて進攻し、シリアと同じようなパターンを踏襲したが、それにはウクライナの統治体制の正統性を奪う狙いがあった。
病院や学校を標的とした無差別爆撃も、民間人の「恐怖をあおる」ためにシリアで用いた戦術と同じだと、同氏はみている。
ソーシャルメディアに投稿された、戦争の記録を保存する非営利団体「シリアン・アーカイブ」によると、シリアでは2011年以降、ロシア軍やアサド政権によって医療施設少なくとも270か所が攻撃された。人権団体によれば、2016年のアレッポへの攻勢などで、学校や市場も標的となった。
バランシュ氏は「ロシアは軍事的な標的を爆撃した後、民間人の生活を壊して退避に追い込もうと、医療やエネルギー関連のインフラを次に狙う」と指摘。「市民が去れば、軍の進攻は容易になる」と語った。
国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチとアムネスティ・インターナショナルは先月、ロシア軍がハリコフで病院や学校に対してクラスター弾を使用したと非難した。
今月9日には、南東部の港湾都市マリウポリにある小児科・産婦人科病院を空爆したとされる。ウクライナ政府によると、少女を含む3人が死亡した。これを受けて国際的に非難の声が高まり、主要国はロシアが残虐行為を働いていると糾弾した。
■異なる戦場
もう一つ類似する戦術として、包囲した都市からの市民を退避させるための「人道回廊」が挙げられる。専門家によると、これもシリアで試された戦術であり、包囲された反体制派支配地域から国際的な保障のないまま避難する民間人は、時に死傷したり、拘束されたりする。
シリアとは状況が異なる点もある。米首都ワシントンにあるシンクタンク、ニューラインズ研究所のニコラス・ヘラス氏は「シリアでロシア軍は、親アサド派部隊に助言したり、援護したりする際、空軍力や特殊部隊に主に依存していた」のに対し、「ウクライナではロシア軍自体が(主要な)戦闘部隊になっている」と解説する。
またヘラス氏は、相手の戦闘能力という面でも大きな違いがあると指摘する。ロシア軍は現在、対空砲や対戦車砲などを西側諸国から供与されたウクライナ軍と戦っているが、「ロシア軍が完全に優勢だったシリアでは、マイナーリーグに参戦したようなものだった」と話した。
とはいえ、ロシアの有力シンクタンク、ロシア外交問題評議会のアントン・マルダソフ客員研究員によれば、ロシアは兵器体系についての感覚を磨いてきた。
マルダソフ氏は「(ロシア軍は)シリアで使用した地対空の精密誘導兵器の欠点を修正した」とし、ウクライナでは精密誘導兵器を積極的かつ正確に使用している」と述べた。 【3月16日 AFP】
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逆に言えば、ロシア・プーチン大統領はシリアで一定に成果を出した戦術をウクライナでも再現し、早期の結果を出すつもりが、ウクライナ軍側の空軍力や西側の支援を受ける武器などを過小評価していた、そして、自軍が地上作戦を行うことで生じる大きな犠牲を見誤っていた・・・ということもあるのかも。
シリアでは、ロシア軍は邪魔するものがいない空から爆弾を落としているだけでよく、被害もほとんどありませんでした。
しかも、戦闘状況は逐一SNSなどで世界に報じられ大きな関心が寄せられており、(シリアでやったような)そうそう無茶な攻撃もできない・・・そのあたりでプーチン大統領も苛立っているのかも。