(香港島・中環(セントラル)で、高層ビル群をつなぐ回廊を埋め尽くすフィリピン人の家事労働者【2015年2月18日 白壁 達久氏 日経ビジネスonline】 同じ外国人労働者でもインドネシア人はビクトリア公園に集まる・・・というように場所が違うようです。
休日に友人らとの語らいを楽しむということのほか、雇い主側も休日は家にいるので家政婦は家から追い出されるという面もあるようです)
【香港の外国人家政婦 厳しい労働環境も】
日本を含めて、外国人労働者が過酷な労働条件を強いられるという話は世界中で多々あるところですが、特に、女性が多数従事する家政婦労働に関しては、外部からはうかがえない家庭内という閉鎖空間という環境もあって、虐待が横行しやすい環境にあります。
マレーシアや台湾のインドネシア人家政婦、サウジアラビアなど中東における東南アジア人家政婦に関する虐待・トラブルなど、これまでにも取り上げたことがあるかと思います。
香港における下記事例も、そうした外国人家政婦に関する話題のひとつです。
****家政婦にエアコン使わせない! 雇い主の主張が論議呼ぶ 香港****
中国・香港で、家政婦のエアコン使用を制限すると雇い主らが主張していることに対し、複数の人権団体が非人道的だと非難している。香港ではうだるような暑さが続く中、ある政治家が家政婦は「暑さに慣れるべき」と発言するなど、この主張に賛意を示す声も上がっている。
香港では主にフィリピンやインドネシアからやって来た外国人労働者34万人以上が家政婦として働いているが、近年、虐待事例が相次いで発覚し、家政婦らの処遇に対する懸念が浮上している。
香港では今週、ある雇い主の女性が怒りをあらわに、家政婦が夜に許可なく勝手に自室のエアコンを入れたとフェイスブックに投稿し、波紋を巻き起こした。気温は30度、湿度も高かったとされるが、雇い主はこの家政婦を「極度に厚かましい」と評し、エアコンのスイッチを撤去すると息巻いた。
ただ、この投稿に非難の声が寄せられる一方、賛意を示す人も現れているという。
家政婦の雇い主らでつくる協会の会長を務める政治家のマイケル・リー氏はラジオのインタビューで、家政婦の多くが香港より暑い国の出身であることを理由に、この気候に慣れるべきだとの持論を展開。また、雇い主に家庭内で厳格な規則を定めるよう求めた。
リー氏はAFPの取材にも応じ、「暑い国から来ているのであれば、香港の暑い気候にも慣れるべき」と、同様の主張を繰り返した。
また「香港の雇い主ら全てには、家政婦は何をして良いのか、また何をしたらいけないのかを定めた家庭内の規則を定めるよう勧める」と述べた。
一方で、家政婦らの権利を擁護する運動家らは、エアコンの使用を制限するのは「ばかげており、不当で非人道的だ」と批判している。【8月11日 AFP】
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家政婦労働に関しては、節度を持った一定のルールが必要ということはわかりますが、「暑さに慣れるべき」「極度に厚かましい」という考え方には、“外国人労働者のくせに・・・”“貧しく教養のない連中”といわんばかりの差別的な考えも透けて見えるようで、共感しかねるものを感じます。
もっとも、香港における外国人家政婦がすべてこうした過酷な状況に苦しんでいる・・・・という訳でもありません。
明るい話題、息抜きもあれば、厳しい労働も。
理解を示す人々もいれば、そうでない人々も。
****現代の「シンデレラ」、フィリピン人家政婦の苦難****
香港の美人コンテストに優勝し、観衆の声援に笑顔で応えながらティアラとトロフィーを受け取るとき、黄色のイブニングドレスに身を包んだフィリピン出身のシリル・ゴリアバさんのエレガントさは際立っていた。
だが帰りのバスのなかで紫色のアイシャドーとつけまつげを取ると、高揚感は消えていき、ゴリアバさんは翌週のことで頭がいっぱいになった。
「家に帰ると、突然悲しくなった。友だちとの時間が終わってしまったから」とゴリアバさんは話す。
「また仕事だけの1週間が始まる。ストレスの多い仕事を6日間しなくてはならない。食事を独りで食べ、一日中単調な仕事をする毎日が」
ゴリアバさんは家政婦をしている。ゴリアバさんや彼女と同じようなフィリピン人家政婦の話が、新たなドキュメンタリー映画のテーマだ。同映画は、世界中の家庭で働く何百万人もの女性に対するステレオタイプなイメージを打ち砕こうとしている。(中略)
<ソファ禁止>
同映画は今月、アジア最大の映画祭である韓国の釜山国際映画祭でプレミア上映された。
香港には30万人を超える外国人家政婦がおり、その大半がフィリピン人かインドネシア人だ。彼女たちは雇い主の家族と共に暮らし、通常は1週間に6日間、1日当たり16─20時間働く。
日曜日だけが唯一の休日だ。
ゴリアバさんらの日曜日の予定は、モデル歩きのレッスンやリハーサルで埋め尽くされている。毎年恒例であるこの美人コンテストやその前に行われるイベントへの参加は、厳しい仕事からの息抜きを彼女たちに与えている。
映画は、彼女たちの毎日のきつい仕事や雇い主との関係、直面する困難などを描いている。搾取や、虐待を報告する意欲もそぐような厳しい就業規則、そしてソファに座ることを禁止されたり、台所で寝ることを強いられたりといった扱いまで、その内容は多岐にわたる。
コンテストに参加したある家政婦は、ある日曜日に門限の午後9時に間に合わなかったことで職を失った。
「これは現実のシンデレラの物語だ」とビララマ監督は言う。
<反移民感情>
香港で働く外国人家政婦は、他のアジア諸国で働く家政婦よりも保護されている。
しかし、2014年にインドネシア人家政婦が雇い主から暴行を受け、熱湯でやけどを負わされた事件以来、香港における外国人家政婦の社会的排除と虐待は厳しい目にさらされるようになった。
3月に発表された調査では、香港で働く6人に1人の外国人家政婦は強制労働の犠牲者であり、かなりの割合が人身売買によるものであることが明らかとなっている。
その一方で、フィリピン人家政婦2人が香港の永住権を求めた裁判を起こし、2013年に敗訴してからは反移民感情が急速に高まった。
だが映画が示しているように、全ての香港市民が外国人家政婦に偏見を抱いているわけではない。
コンテストに出場した家政婦の1人であるマイリンさんと生活するジャック・スーさん(67)は映画のなかで、外国人家政婦がいなければ香港は「困難な状況になる」と語っている。
「外国人家政婦なしで家族がやっていけるか想像してごらん。どうやって外に働きに出るのか。子どもたちの面倒は誰が見るのか」
ビララマ監督は、この映画が外国人家政婦による貢献に光を当て、彼女たちの扱いが変わることを期待している。
「美人コンテストは明るい話だが、その陰にはわれわれが直面しなければならない現実がある」と同監督は語った。
【2016年 10月 25日 ロイター】
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外国人家政婦の多くは、“友達や家族がいて、休みの日には充実した生活を満喫している”とも。
****香港:いまを楽しむことを忘れないフィリピン人家政婦たち****
香港の外国人家政婦の数は上昇し続けており、昨年34万380人に達した。この数字は、5年前と比較すると24%の増加だ。
香港の共働き家庭にとって家政婦は欠かせない存在になっているが、いまだに貧しく教養がないという先入観を持っている人が多い。
ニュースで報じられるときには悪い話が多く、雇用主に対する詐欺行為や窃盗、世話をする対象者への虐待、または雇用主の家政婦に対する虐待といったものばかりである。
しかし実際は家政婦もみんなと同じだ。友達や家族がいて、休みの日には充実した生活を満喫している。
37歳のミシェル・サルータは1年前に香港に来た。ダンスサークルを始めて、毎週日曜日はダンスの仲間と一緒に練習をしている。
サルータは10年以上ダンスを続けている。ダンスを始めたのはフィリピンの大学時代だ。踊ることで仕事のプレッシャーから解放されるし、友達との絆(きずな)も深まるように感じている。サルータは週に一度の休日を充実したものにしたいと考えている。
「座って悲しんでなんかいないで、楽しまなくちゃ。」
もう一人の家政婦、リー・アン・イダルゴは写真のワークショップに参加している。写真を撮っていると前向きな気持ちになれるので、熱中するようになった。イダルゴは写真を通して家政婦の才能を示したいと思っている。
「私が嫌いなのは、私たちなんか単なる家政婦に過ぎない、と自分で言っている家政婦たちです。私たちの給料はここ香港の最低賃金かもしれない。でも、言ってみれば、そんな私たちが香港を支えているのです。
私は、悲しいことやホームシックなどネガティブな面にはピントを合わせずに、写真を撮ることでポジティブに過ごしています。私の写真で、自分たちは単なる掃除婦じゃない、他にも素晴らしいことができるんだ、と気づいてもらえたらいいなと思います。」
日々の仕事を超えて、フィリピン人家政婦は同郷の人たちと一緒に香港での生活を楽しんでいる。
レオ・セロメニオは1996年に香港に来た家政婦で、その10年後にグローバル・アライアンスを立ち上げた。グローバル・アライアンスは国外のフィリピン人コミュニティ支援に尽力している団体で、セロメニオは家政婦仲間のために週末をイベントの企画に費やしている。
時間が足りないことや、金銭的サポートの不足などさまざまな問題に直面しているが、雇用主が彼女の活動を理解しサポートしてくれており、毎週末2日間の休暇を取らせてくれている。
「いずれフィリピンに帰り、ここには戻らないと思いますが、どこへ行こうとも絶対に雇用主のことは忘れません。彼らはすでに私の人生の一部となっているのですから。」【2月28日 Global Voice】
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いろんな条件・環境のもとにあると思われますが、なるべくおおくの外国人家政婦が“友達や家族がいて、休みの日には充実した生活を満喫している”ことを願いますし、そのような法的。社会的条件整備に努めるべきでしょう。
【中国 フィリピン取り込み策のひとつ 家政婦受け入れ 労働環境は?】
今回、外国人家政婦の話題をとりあげたのは、中国がフィリピン人家政婦の受け入れをかなりの好条件で認める・・・という話があったからです。
****中国がフィリピン人家事労働者受け入れへ、賃金は月20万円以上か*****
フィリピンメディア「フィリピン・スター」は7月31日、同国のセイ労働副大臣が自国民の家事労働者の受け入れについて、中国側と協議していることを明らかにしたと報じた。最低賃金は月額10万フィリピンペソ(約22万円)程度の方向だという。
セイ労働副大臣によると、中国大使館スタッフが同国労働省を訪れてこの問題について協議した。中国側は北京、上海、福建省・厦門(アモイ)など大都市5カ所に限ってフィリピン人家事労働者を受け入れる考えで、賃金については月額10万フィリピンペソを想定しているという。
記事は詳しく報じていないが、各国が外国人労働者を受け入れる際には自国民労働者とは別に自国通貨建ての最低賃金を設定する場合があり、中国側も人民元建てで10万フィリピンペソに相当する額の最低賃金を検討していると考えられる。
セイ労働副大臣は、中国の代表団が9月にフィリピンを訪れてさらに進んだ協議を行うと説明。中国側はフィリピン人の英語能力にも注目し、フィリピン人が中国人家庭で仕事をすれば中国人の子どもの英語力の向上にも効果があると考えているという。
香港メディアの蘋果日報(アップル・デイリー)は、大陸でのフィリピン人家事労働者の賃金が香港での外国人労働者の法定最低賃金の月額4310香港ドル(約6万円)よりもはるかに高いことに注目。
実際の受け入れ人数にもよるが、中国が高額報酬で家事労働者としてフィリピン人を受け入れることになれば、周辺国の家事労働の賃金相場が影響を受ける可能性も否定できない。
中国の周辺で東南アジアからの家事労働者を多く受け入れていると地域としては、香港以外に台湾を挙げることができる。ただし蘋果日報によると、台湾政府・労働力発展署の関係者は中国によるフィリピン人家事労働者の受け入れは、台湾には影響を及ぼさないとの見方を示した。
台湾における外国人家事労働者に対する最低賃金は、手当を含めて月額2万台湾ドル(約7万3000円)で、中国のフィリピン人家事労働者受け入れで想定されている賃金よりもかなり低い。
ただ、台湾で働く外国籍労働者は41万人でうちフィリピン人は11万3000人だが、家事労働者は数百人と極めて少ないので影響はないという。なお、台湾の外国人家事労働者のうち、最も一般的に見られるのはインドネシア人だ。
2016年に就任したフィリピンのドゥテルテ大統領は発言に「ブレ」があるものの、基本的にはアキノ前政権時に南シナ海における領有権問題などにより極めて険悪化した中国との関係を修復し、中国に歩み寄ることで経済的利益などを引き出す方針を取っている。
家事労働を含む労働力の輸出はフィリピンにとって重要な外貨獲得手段で、海外からの送金額は金融市場などの動向を判断するための経済指標にもされている。
中国によるフィリピン人家事労働者の受け入れが実現すれば、ドゥテルテ大統領は中国との協調路線により、経済面における成果を一つ引き出したことになる。【8月1日 Record china】
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国際政治の枠組みで言えば、“フィリピンにとっては海外出稼ぎが貴重な外貨獲得手段。南シナ海で領有権争いがくすぶるフィリピンを取り込みたい中国が、家政婦受け入れで、「アメ」をぶらさげた格好となる”【8月2日 産経】という話になります。
麻薬問題での超法規的殺人など、個人的にはドゥテルテ大統領の統治は否定しますが、この件に関して言えば、中国から破格の条件を引き出したということで、大きな成果を得たと評価できるでしょう。
いつも言うように、フィリピンが中国とどういう関係を持つかは、日本にとって不都合であったとしても、フィリピンが判断すべき性格の問題です。(超法規的殺人の問題は、そうした個別事情によるものではなく、普遍的価値観の問題です)
中国のフィリピン人家政婦受け入れに関して、まず心配されるのは、冒頭に紹介した香港と同じような問題が起きないか?フィリピン人女性の労働環境・人権に関して適切な対応がとられるか?ということです。
香港に爆買い中国人が大挙押し寄せた頃、香港と中国はその“文化程度”をめぐって感情的対立もありました。
部外者から見れば、五十歩百歩ではないか・・・という気もします。
“カネがすべて”の中国社会にあって、フィリピン人家政婦がどのような境遇に置かれるのか・・・懸念も感じます。
(中国で月額10万フィリピンペソ(約22万円)を負担できるのは相当な富裕層でしょうから、香港などの中流層雇い主とはまた違う・・・・のかも)
条件整備も香港に及ばない状況であり、フィリピン側も改善を要求しています。
“香港で整備されている外国人家政婦の就労保障制度が中国にはなく、フィリピン側は法整備を求めているもようだ。”【8月2日 産経】
【上海では月に2万元(約32万円)が相場 変わりゆく経済状況】
このニュースで一番驚いたのは、月額10万フィリピンペソ(約22万円)という“好条件”です。
もちろん、中国でも人件費が高騰しているという話は耳タコぐらいに承知はしていますが、そこまで上昇しているのか・・・と、正直なところ驚きました。
“中国の農村部から都市部に出稼ぎに来ていた家政婦は、経済発展を受けて内陸部に戻り始め、減少に転じている。”【8月2日 産経】という状況で、ベビーシッターに関して“報酬の相場も上昇していて、上海では月に2万元(約32万円)は出さなければ見つからない状況”【8月2日 日刊サイゾー】とも。
****報酬2倍で、香港で働く家政婦の大量流出も? 中国がフィリピン人ベビーシッターの爆買いへ****
昨年、中国は1979年から続けてきた一人っ子政策を廃止し、二人っ子政策へとかじを切った。現在生まれてくる新生児の約半数は「二人目」といわれており、限定的ではあるが、官製ベビーブームが起こっている。
そんな中、不足しているのがベビーシッターだ。中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は、次のように話す。
「共働きが一般的な中国では、祖父母に育児を手伝ってもらうことは当たり前。しかし、二人目となると、一人目よりも祖父母が高齢化していたり、子ども二人分の育児はさすがにキャパシティーオーバーということで、中流以上ではベビーシッターを雇う家庭が多いんです。
そのベビーシッターが、今年に入って不足している。報酬の相場も上昇していて、上海では月に2万元(約32万円)は出さなければ見つからない状況になっている。ベビーシッターを予約してから子作りを開始するという夫婦もいるほどです」
そんな状況下、中国ではこれまで外国人に認められなかったベビーシッター業務の担い手として、フィリピン人労働者の受け入れを検討しているという。
フィリピン労働雇用省(DOLE)の副部長が明らかにしたところでは、北京、上海、アモイなどの主要都市が、フィリピン人労働者に対し、ベビーシッター業務を近く解禁。ベビーシッターへの報酬は、月額1万3,000元(約21万円)に達すると見込まれている。
ベビーシッターとしてフィリピン人労働者が特例的に選ばれた背景には、フィリピン人の英語力があるという。英語が堪能なフィリピン人をベビーシッターとして雇うことで、子どもに英語を学ばせようというわけだ。
しかし、こうした中国の動きに、香港人は警戒感を強めている。香港では、中流家庭でも家政婦を雇うことが一般的だ。
現在、約30万人の外国人家政婦が働いているというが、そのうち最も多いのがフィリピン人なのである。しかし、香港紙「アップルデイリー」によると、月額1万3,000元というのは、香港でフルタイムの住み込み家政婦に支払われる月額の約2倍。
中国のフィリピン人ベビーシッター受け入れが実現すれば、香港で働くフィリピン人が、こぞって中国に移動してしまう危惧があるのだ。
紙おむつや粉ミルクなど、ベビー関連用品の数々を大陸からの爆買い客に買い占められたことで、香港人の反中国感情が高まったという前例もある。その上、家政婦まで奪われるとなれば、彼らの不満をさらに刺激することとなりそうだ。
また、日本でも4月からフィリピン人家政婦の受け入れが開始されたが、報酬の改善などを余儀なくされることになるかもしれない。【8月2日 日刊サイゾー】
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私の頭の中には、日本がアジアで突出して発展し、中国は貧しかった・・・その頃の記憶の残滓があるようです。
2016年の一人当たり名目GDPで見ると、シンガポール10位(52,960ドル)、香港16位(43,527ドル)に対し、日本は22位(38,917ドル) 韓国や台湾の追撃もうける状況です。【http://ecodb.net/ranking/imf_ngdpdpc.html】
GDP総額でみると、ピーク時にアメリカの70%だったのが、今は4分の1。イギリスと比較すると、4.1倍から1.8倍に縮小しています。
【人口減少が避けられない日本は・・・・】
将来的には人口減少が間違いなく進みますので、更に厳しい状況ともなります。
*****日本を待ち受ける2つの未来****
(中略)人口動態を見れば明らかなように、日本は縮みゆく大国だ。
今後は自衛隊の維持強化に必要な人材の確保にも苦労するだろう。もちろん経済活動の担い手も、高齢者の介護に必要な人材も足りなくなる。
現在の日本の出生率は世界最低レベルで、この傾向が続けば65年までの人目減少率は未曾有の31%。人口は現在
の約1億2700万人から8800万人に落ち込み、65歳以上が4割を占める超高齢化社会となる。
生産年齢人目は約5000万人と推定されるが、これは100年前の水準だ。
対照的に中国とインドの人口はどちらも10億を優に超え、アメリカも4億人程度まで増える。
日本が少子高齢化による衰退を食い止めるには、移民を大量に受け入れるか非現実的なほどのスケールでロボットや人工知能(AI)を導入するしかない。どちらを選ぶにせよ、日本社会にとっては黒船来航に匹敵する衝撃となるだろう。
たとえ今すぐ出生率が人口の維持に必要な2.1人を超えたとしても、その子たちが経済的・戦略的に貢献し始めるのは20年ほど先だ。(後略)【8月15日号 Newsweek日本版】
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日本はこれまで基本的に外国人労働者の受け入れについては厳しい対応をとってきました。
そこには、“日本のような豊かな国が国を開けば、周辺の貧しい国から人が殺到して混乱する”という発想が根底にあってのことではないでしょうか。
しかし、その前提条件は崩れつつあります。
介護のための人材を必要としているのは中国も同じです。香港・台湾も人手を必要としています。
人材送り出し国のインドネシア、フィリピン、ベトナムの経済も今後着実に拡大します。
日本が現在のような仕組みではどうにもやっていけなくなって、いざ海外から人を入れようとしても、他の国々との競合で、誰も日本には来たがらない・・・・という将来もあるのかも。
現在の研修生制度のような性格のはっきりしないやり方ではなく、きちんとした移民対策を考えるべきときでしょう。
外国人受け入れの問題点・デメリットばかり叫ぶのではなく、どうしたらそうした点を克服できるかを前向きに検討すべきでしょう。
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