孤帆の遠影碧空に尽き

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アメリカ  トランプ新大統領の不法移民「史上最大の強制送還」 広がる不安 世論の支持は高い

2025-01-21 23:16:32 | アメリカ

(【1月16日 NHK】)

【「トランプ劇場」全開 大統領令大量発令】
トランプ大統領は就任初日から支持者の熱狂の中で40本以上の大統領令・覚書に署名しているとのことで、「トランプ劇場」全開の様子は多く報じられているとおり。

****トランプ氏、就任直後から大統領令など40本以上署名 バイデン政権から大幅転換アピール****
トランプ米大統領(共和党)は20日の就任式後、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱や世界保健機関(WHO)脱退など、40本以上の大統領令や大統領覚書に署名した。

昨年11月の大統領選で訴えてきた公約などを就任初日から実行し、バイデン前政権(民主党)からの大幅な政策転換をアピールした。

パリ協定に関する大統領令は、離脱を国連に通知するよう指示する内容。産業活動を重視するトランプ氏は第1次政権でパリ協定を離脱していたが、環境対策を重視するバイデン前政権が復帰し今回、2度目の離脱を図った。

人工知能(AI)について、リスクを懸念したバイデン前政権が導入した規制を撤回する大統領令も出した。共和党が綱領で掲げていた。

中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での利用を実質的に禁止する法律が19日に発効したことに関しては、サービスの禁止を75日間猶予する大統領令に署名した。(中略)

また、米国で生まれた子供に国籍を自動的に与える「出生地主義」制度を見直す大統領令を出した。不法移民対策の一環として以前から主張していた。

バイデン前政権が取り組んだ多様性・公平性・包括性(DEI)に関する政策を撤回する大統領令にも署名し、政策転換を図った。【1月21日 産経】
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他にも、WHO脱退、議会襲撃事件服役囚への恩赦、対外開発援助90日間停止、不法移民「キャッチ・アンド・リリース」の慣行廃止・・・等々。

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トランプ氏はステージの上で、支持者の歓声を浴びながら次々と大統領令に署名する異例の演出を見せました。

司会 「次は気候変動のパリ協定からの離脱です」
トランプ新大統領 「バイデンがこんなことをやると思える?思えないでしょう?」
大統領令に署名したペンをステージから支持者に投げ入れ、会場を沸かせる場面も見られました。

大統領令の発令はホワイトハウスに入ってからも続きました。

トランプ新大統領 「これは?」
スタッフ 「世界保健機関からの脱退です」
トランプ新大統領 「おー、これは大きいね」【1月21日 TBS NEWS DIG】
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【大統領令とは?】
いくらアメリカにおいては大統領権限が強いとは言え、そんなに何でも大統領が勝手に決められるのか? 議会や司法との関係は?

****大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何でも命令できるのか【トランプ2.0】****
<ニュースでよく聞く「大統領令」。なぜ米大統領はこんな命令を出せる?>

(中略)大統領令とは何か? なぜ三権分立制を敷く民主主義国のアメリカで、大統領がそのような命令を出すことができるのか?

大統領令とは、行政の長である大統領が連邦政府機関に対して出す命令のこと。議会における法律制定のプロセスを経ずに、法律と同等の法的拘束力を持つ直接的な指示を出せる。

一般には議会が制定した法律の範囲内でその執行を指示するのが大統領令だが、現実には議会の意図に反するものも多い。議会の承認を必要とせず、大統領の独断で迅速に発効させることができるため、新政権の政策を方向付けるべく、就任直後に出されることがある。

なんでも命令できる?
もちろん、「どんな命令でもOK」というわけではない。憲法や議会が制定した法律に反する場合、無効となる場合もある。議会が大統領令を無効とする新たな法律を定めたり、最高裁判所が違憲判決を出したりする仕組みも用意されている。

また、新政権が前政権の大統領令を覆すことも頻繁に行われている。(中略)

いつ始まった?
大統領令を初めて出したのは、実は初代大統領ジョージ・ワシントン(任期1789~1797年)だ。ただし、当初は明確に文書化されたものではなかったとされる。

1900年代に入って、国務省が大統領令に通し番号を振るようになった。その際、エイブラハム・リンカーン(任期1861~1865年)まで遡って番号が付けられた。

大統領令の有名な例としては、リンカーンの奴隷解放宣言(1863年)、第2次大戦中に日系アメリカ人を強制収容所に送ったフランクリン・D・ルーズベルトの大統領令9066号(1942年)などがある。現在はその数、1万4000近い。(後略)【1月20日 Newsweek】
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【トランプ2.0の目玉施策 不法移民「史上最大の強制送還」】
トランプ2.0の目玉施策として各国が注目する関税については、就任演説では「アメリカ国民を富ませるために外国に関税をかけ、課税する」と述べるにとどめ具体的な言及はなかったようです。
カナダやメキシコ、中国やその他の国々の様子を見ながら。有利な「ディール」に持ち込む構えでしょう。

トランプ新大統領が打ち出した施策はどれも人々の生活に大きな影響をもたらすものばかりですが、なかでも移民対策は関税と並ぶもう一つの目玉施策で、アメリカに1100万人とも2000万人以上いるともされる不法移民にとっては国外退去など生活を根底から覆すものとなります。

トランプ新大統領は、不法移民政策でメキシコ国境に非常事態宣言を出しました。新たな流入を防ぐと同時に、すでに国内に存在する不法移民の大量強制送還を実施する構えです。

****強制送還「何百万人も送り返す」 米政権、入国手続き打ち切り****
トランプ米大統領は20日、強硬な不法移民対策を相次ぎ発表した。不法移民の入国阻止に乗り出すと表明し、目玉となる大規模強制送還については「何百万人もの外国人犯罪者を送り返す」と主張。

メキシコ北部ではバイデン前政権下で導入された制度に基づいて米入国を目指していた人々が、政権交代した途端に手続きを打ち切られ、絶望が広がった。

トランプ氏は演説で「不法入国した危険な犯罪者」がこれまで政府の政策によって保護されてきたと強調。米国に難民申請する人々をメキシコに待機させる政策を復活させ、不法移民を拘束後に裁判手続きまで釈放する「キャッチ・アンド・リリース」の慣行を廃止する大統領令に署名した。

メキシコから米国を目指す人々の多くは前政権下の制度に基づき、難民申請のための手続きを入国前に申し込んで待機していた。この制度は20日、トランプ氏の大統領令を根拠に打ち切られた。手続きの進展を待っていたホンジュラス人のカルロス・エルナンデスさん(21)は「言葉がない」。涙を流す女性もいた。【1月21日 共同】
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ただ、「人々は危険なルートを選んででも入国をするようになる。砂漠や危険な場所を通ったとしても安全を求めてアメリカに来ようとする」(移民支援ボランティア)【1月21日 FNNプライムオンライン】
“しびれを切らした移民希望者が、不法入国のアテンド役“コヨーテ”に頼る可能性がかなり増えてきそうです。実際、大統領選挙の後、依頼料は高騰しているということです。”【1月21日 テレ朝news】といったことも。

****トランプ氏、不法移民対策で軍動員 「史上最大の送還作戦」開始―米新政権****
トランプ米大統領は20日の就任直後から、不法移民対策に着手した。対メキシコ国境に国家非常事態を宣言し、軍の動員も決定。昨年の大統領選で最優先課題に掲げた不法移民の排除に向け、いくつもの大統領令で「米史上最大の強制送還作戦」をスタートさせた。

「政府は外国の国境を守るために際限なく資金を投じながら、米国の国境とさらに重要な自国民を守ろうとしなかった」。トランプ氏は就任演説で、ロシアの侵攻を受けるウクライナに多額の支援を行いながら、不法移民の流入を許したバイデン前大統領を声高に非難した。

その上で、不法入国を食い止め取り締まりを強化するため、軍を国境近くに配置すると表明。さらに、亡命や難民を申請する移民を審査終了まで米国内に滞在させる政策を廃止し、メキシコ側にとどめるとも述べた。

政権1期目で進めた「国境の壁」建設を再開する意向も示した。南米ベネズエラで誕生し、西部コロラド州などで犯罪に関与するギャング組織「トレン・デ・アラグア」や麻薬カルテルなどを「外国テロ組織」に指定することも決めた。

また、1798年制定の「敵性外国人法」を適用し、罪を犯した不法移民を強制退去させる計画。米国の市民や法執行機関当局者を殺害した不法移民に対し、死刑を求めることも司法省に指示した。

米国で生まれた子供へ自動的に米国籍を与える出生地主義を見直す大統領令に署名し、不法移民の子供に「米国民」としての地位を認めない姿勢も示した。ただ、出生地主義は合衆国憲法に明記されており、訴訟の対象となる可能性がある。【1月21日 時事】
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強制送還の実施は、進歩的な都市として知られるシカゴを皮切りに、ボストン、マイアミ、ニューヨークの名が挙がっている

****トランプ氏不法移民「史上最大の強制送還」進歩的シカゴ標的と米紙報道 国境非常事態宣言****
(中略)
「聖域都市」を標的
(中略)米ウォールストリート・ジャーナルは17日、トランプ氏が就任翌日の21日にもシカゴで大規模な不法移民取り締まりを始める計画だと報じた。同紙によると、移民・税関捜査局(ICE)がシカゴへ捜査官100〜200人を送り、1週間ほどかけて不法移民を摘発する。

シカゴは移民に寛容な政策を行う「聖域都市」の一つとされ、同紙は、トランプ陣営とシカゴのジョンソン市長が敵対していることが、取り締まりをシカゴから始める背景にあると解説した。

同紙は19日にも「進歩的なシカゴはトランプ氏の長年の標的」との見出しで続報を掲載した。シカゴのほか、摘発対象の都市としてボストン、マイアミ、ニューヨークの名を挙げた。

南部国境は「戦場」
一方、不法移民の「国境の壁」の建設が進むメキシコとの南部国境を巡っては、次期政権の国土安全保障長官候補のノーム・サウスダコタ州知事が17日、上院委員会の公聴会で犯罪歴がある不法移民の摘発と強制送還に「即座に取り組む」と証言した。南部国境を「戦場」と表現し、国境警備を強化すると言及している。(後略)【1月20日 産経】
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【関係住民に広がる不安と緊張 家族がバラバラに】
シカゴから・・・という話については、情報がリークされたことで、再検討しているという報道も。
関係する住民の間では不安と緊張が広がっています。

****“史上最大の強制送還”掲げるトランプ次期大統領におびえる移民たち「家族がバラバラになってしまう」【現場から、】****
まもなく政権に返り咲くトランプ氏ですが、不法移民の強制送還を最重要公約の1つとして掲げています。移民たちは「家族がバラバラになってしまう」とおびえています。

目の前で父親が拘束され、当時13歳だった娘が泣き声をあげています。父親は不法移民でした。これは2017年、第1次トランプ政権が誕生した直後に撮影された映像です。

アメリカ トランプ次期大統領(去年9月)「私はわが国、史上最大の強制送還を行います」

第2次政権では、第1次を超える「史上最大の強制送還」を掲げています。

記者「こちらでは不法移民であっても認められている権利についての講義が行われています。皆さん、真剣な表情で話を聞いています」

移民が多い西部カリフォルニア州では、不法移民に向けた講義が行われ、黙秘権があることや所持品検査を拒否できることなどが伝えられました。

人権団体 担当者
「不法移民だけでなく、市民権を持っている人からの相談もあります。コミュニティ全体に不安が広がっています」

ロサンゼルス近郊に住むエリックさん一家。

メキシコ出身 エリックさん(29)「妹はアメリカで生まれた、アメリカ国籍です。母親と父親は現在、正規の在留資格がありません」

エリックさんはメキシコ出身で、7歳の時に両親に連れられて不法に国境を渡りました。現在、エリックさん自身は2年ごとに更新が必要な在留資格を得ていますが、両親は不法移民のままです。

このように家族の中で異なる在留資格が混在するケースは珍しくなく、国境沿いのカリフォルニア州などでは全世帯の1割に上ります。

こうした家族が離れ離れになる恐れがあるのが、強制送還です。しかし、トランプ氏は「家族を引き離さないためには、全員を送還しなければならない」と意に介さない考えです。

在留資格が無い エリックさんの母親(47)「私の夢は、子どもたちが立派な職業についてくれることです。強制送還にその夢を壊されてしまわないか心配です」

アメリカ国籍を持つ エリックさんの妹(14)「家族と1か月以上離れたことがありません。全てを捨てて、また1から始めることを選ぶと思います」

メキシコ出身 エリックさん「これが現実に起きているなんて信じられません。移民問題が単なるモノだとみられています。人が密接に関係している複雑な問題であることを理解していないのです」

アメリカに1100万人いると言われる不法移民。「史上最大の強制送還」の中身が注目されます。【1月20日 TBS NEWS DIG】
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本人は市民権があっても両親が・・・という者は多いようです。

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不法移民に対する一斉摘発が近くシカゴで行われるとの見方が広がっていることから、普段は50人以上の客でにぎわうというこちらのお店も、ご覧の通りです。

シカゴ市の「リトル・ビレッジ」地区ではトランプ政権が発足し、強硬な不法移民対策でICE=移民・関税執行局がすぐに取り締まりに乗り出すのではと市民の間に緊張が走っています。

1973年から営業しているメキシコ料理タコスを提供するレストランも、前日から客足が鈍く、従業員の出社にも影響が出ています。

レストランの人は「16歳〜18歳の従業員が『(不法移民の)両親がどうなるかわからず、自宅で一緒にいてあげる必要があるため、仕事にいけない』と」「みんな怖がっている」と話します。【1月21日 FNNプライムオンライン】
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オバマ政権時代の「DACA」と呼ばれる移民政策で、親に連れてこられた子供たちに対する強制退去処分は延期され、今も2年ごとの更新で、就労許可も与えられていますが、トランプ新大統領がどのように判断するのか?という問題も。

【簡単ではない「史上最大の強制送還 世論全体の期待は高い施策】
もっとも、「史上最大の強制送還」といっても簡単ではありません。

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おそらく現在2000万人以上の不法移民が米国内にいると思われます。彼らを公約どおり国外退去させることは並大抵の事ではありません。

最初は「犯罪歴のあるものから国外追放する」といった段階的な手段をとるでしょうが、それでも大きな混乱を生むでしょう。

国外追放の危機を感じた不法移民が結束してテロ集団と化すかもしれません。

またニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルスといった主要都市は民主党の強いサンクチュアリ(聖域)都市です。反トランプで不法移民を保護する政策をとっています。その地域の警察の協力は期待できません。

トランプの看板政策だけに絶対にうやむやにできません。治安を維持したまま、不法移民を国外退去させる方法があるのでしょうか?【1月21日 大澤裕氏 MAG2NEWS】
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また“トランプ氏は不法移民の大量強制送還に軍投入を辞さない構えを見せている。米軍は原則として国内での法執行を禁じられており、強行すれば軍に混乱を招く事態も予想される。”【1月20日 読売】といった事情も。

世論全体で見ると、「トランプは嫌いだけど、政策は支持する」という向きも多いようです。特に、不法移民対策は世論全体では評価されています。

“1月に行われた現地メディアの世論調査でトランプ氏の支持率は51%でしたが、政策別にみると、不法移民の国外追放やアメリカ第一の国内政策に力を入れてくれるとの期待が6割以上に上っています。”【1月21日 FNNプライムオンライン】

それだけに、トランプ大統領としても多少の無理・トラブルは覚悟で実施するでしょう。

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