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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

インドネシア・バリ島 「神々の島」で出会う祭礼

2018-11-10 22:17:29 | 東南アジア
現在、インドネシア・バリ島を旅行中です。

「神々の島」バリ島ではバリ・ヒンズー教への信仰が人々の生活の中心に位置にしており、各家庭の敷地内には家寺があり、各集落にはお寺があり、神々への儀礼を軸に、毎日、毎年の時間が経過しているように見えます。

そうした篤い信仰・・・と言うより、宗教的儀礼が生活そのものになっているバリにあっては、各お寺の祭礼(オダラン)は集落住民総出で盛大に行われます。

観光のために車で走りまわっていると、よくお寺に住民が集まってオダランを行っている光景に出くわします。

キンタマーニ観光からの帰路に見た、田舎のお寺のオダランについては、11月6日ブログ「インドネシア・バリ島 聖と俗 オダランと闘鶏」でも取り上げました。

今日(10日)も、バンリ方面に向かっている途中、Bakas村の小さなお寺のオダランに出会いました。


車を止めて、少し様子を覗いてみることに。
もちろん、失礼のないように、ガイド氏持参の正式なサロン(ロングスカート状の腰布)をきちんと二重に巻いて、頭にはウドゥンというのでしょうか、キャップを乗せて、俄か正装です。(上はTシャツですが)

(観光のために半ズボンでお寺に入る際には、ペラペラの簡単なサロンを1枚巻いて結べばOKで、多くのお寺では入り口で貸してくれます)

そうは言っても、門の外から写真を撮るだけのつもりでしたが、寺の階段を上がっていると、日本語で話しかけてくる男性が。

十数年、日本の高槻市のバリ・タイ料理の店で働いているという方で、このオダランのために2週間ほど帰国したとか。

その方を通して許可をもらって、境内に入ってもいいことに。(祭礼の行われている最奥には入りませんが)


今日の観光目的地のひとつ「クヘン寺院」ではオダランが終わったばかりということで、まだ祭りの華やかさがそのまま残っていました。

一方で、境内にはひとけが全くなく、華やかな祭りの残り香と無人の静寂さが、不思議なコラボを見せていました。

お寺の宗教的祭礼以外でも、基本的に「お祭り好き」の気質なのか、結婚式や葬式もお祭りのように賑やかに行われます。

バリの葬式「ガベン」は、日本のような悲しみや厳粛さを重視した儀式ではなく、神輿がくりだすお祭りのように行われ、観光客の見学もOKです。(そのあたりのことは多くの説明がありますが、基本的には“バリ・ヒンドゥー教には、「輪廻転生」の教えがあり人の魂は肉体が朽ちても永遠に不滅であり、また別の人となって復活すると信じられています。そのため、お葬式は故人とのお別れという悲しむべきものではなく、新たな人生の門出として祝いものだと言われています。”【「バリ島ウブド便り」】という発想なのでしょう。

下記は1997年に初めてバリ島を訪れた際に見学した「ガベン」の様子です。
「バリ島・・・公開火葬“ガベン”(ウブド)」

そうした葬式の「お祭り」は、ふさわしい時期に集中して行われますので、いつでも見られるわけではありませんが、結婚式の方は年中行われており、盛大に飾り付けがされた家は、たいてい結婚式です。

昨日は、狭い道で、花嫁を迎えに行く花婿側の十数台の車列に遭遇して、一時退避してやり過ごす場面も。

一昨日のウブド中心部の王宮付近で見かけたパレードも、結婚式だったのかも。

何のパレードかわかりませんが、お供え物はないのでオダランではないようにも。
最前列の男女の雰囲気から、結婚式のようにも見えるのですが・・・・わかりません。

とにかく、バリは出歩いていると、あそこそこでパレードやお祭りに遭遇する島です。

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インドネシア・バリ島 露天風呂温泉案内 定番と穴場

2018-11-09 23:28:37 | 東南アジア
現在、インドネシア・バリ島を旅行中です。
島の中心部に位置する「芸術・工芸の街」ウブドに宿泊しながら、郊外の田園風景の中のトレッキング(散策 ジャランジャラン)を中心に、島のあちこちを観光しています。

今年も噴火して話題になったアグン山、巨大カルデラを形成するバトゥール山など、他のインドネシアの島々同様に火山の多いバリ島ですから、地質的には温泉も豊富なはずです。

ただ、インドネシアの人々は日本人ほどお風呂好きではないのか(熱帯ですから水浴び・沐浴は好きです)、温泉はそんなには多くありません。

それでも、火山の島ですから、ところどころに温泉もあることはあります。

【定番バトゥール湖畔温泉】

二日目の世界遺産キンタマーニ観光の際に訪れたバトゥール山のカルデラ湖の湖畔にある温泉は、バリ島では代表的な温泉リゾートです。(画像下部の水面がプール、並んだデッキチェアを挟んで、中央部の水面はバトゥール湖)

地方政府の運営する温泉施設と、民間のものが並んでいますが、私が利用したのは前者。
客はほとんどが外国人観光客で、そんなに多くありません。(最初のうちは、私以外には2、3人のみ)

もうひとつの民間の方は現地の客で賑わっているようです。価格は民間の方が倍ぐらい高いとのことですが、いろいろ楽しめる設備が充実していて人気があるとか。

湖畔に面した大きなプールは、ほぼ水です。多少は温泉を使って温水プールにしているのかもしれませんが、ガイド氏の説明でも「水です」ということで、実際に足を少しつけても“水”でした。

たださえ高度があって涼しいエリアですから、そんな“水”に用はありません。(ヨーロピアンのなかにはワシワシ泳いでいる人もいましたが)

いわゆる温泉は奥の小さな二つ。右はかなりぬるくて、日本人的にはバツです。
左も日本基準ではかなりぬるめではありますが、右よりはましでしょう。

硫黄の臭いなどはまったくないしない泉質のようです。

ただ、ぬるいので、お湯からでると寒く、やはり日本人的には「・・・・」といった感じ。

2007年にスマトラのシバヤッ山から下山して入浴した温泉も非常にぬるく、強烈な硫黄の臭いもあって、ホテルに戻る頃には体調が悪くなりました。(「スマトラ・・・火山に登り、温泉も ブラスタギ」

タオルは貸してもらえ、ドリンクが1杯無料でついて、日本円で千円を超えるような料金だったと思います。

【穴場のローカル温泉】
上記はバリの温泉としては代表的な定番温泉ですが、ローカルな温泉もあるようです。

今日、世界遺産ジャデルウィのライステラス散策のあとで訪れた「アイル・パナス・ブルラン」も、そんなローカル温泉のひとつです。

【地球の歩き方】では、バトゥカル寺院から車で15分ほどとありますが、道が悪く(現在、整備中)、もっとかかったようにも。

ローカルな温泉ですが、小川沿い(この小川があまりきれいではないのが難点)にあって、ライステラスを眺める露天風呂です。

広い方の浴槽よりは、脇にある小さな浴槽の方が温度が高く、こちらなら日本のぬるめの温泉と同程度でしょうか。

泉質は、鉄分を含んだような色合いで、(飲んではいませんが)打たせ湯をかぶった際の感じでは、強い味・刺激があるようにも。

なお、広い方の浴槽は底が階段状になっており、濁った泉質で底が見えないため、私は足を滑らせ頭からお湯に突っ込んでしまうという醜態も。

バトゥールに比べたら遥かに小規模ですが、お湯の温度もそこそこで、なにより客も少なく、のんびりお湯につかれる「穴場スポット」でした。

料金は忘れましたが、かなり安い日本円で200円程度だったようにも思います。
一応、着替え室もあります。

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インドネシア・バリ島 質素な民家で見た色鮮やかな花と鶏

2018-11-08 23:36:02 | 東南アジア
インドネシア・バリ島のウブドを旅行中です。

月、火、水曜日は三日連続して、日本語ガイドのカデさんとウブド郊外の田園風景の中を2時間半程度、軽いトレッキング(散策・ジャランジャラン)を楽しみました。

昨日のトレッキングでは途中民家に立ち寄り、敷地内を拝見させてもらいました。

外国人観光客相手の洒落たレストランやショップが並ぶウブド市街とは異なり、郊外の民家はいたって簡素です。
しかし、そこには驚くほど色鮮やかなものもありました。


田園風景のなかのジャランジャラン(散策) ウブドを車で出るときはかなり強い雨も降っていましたが、トレッキングコースに着く頃には、止んでくれました。


木になっているドリアンは初めて見ました。街のいたるところでドリアンは売っていますが、やはりあの臭いをきらうインドネシア人も多いようです。

****ドリアン積載の旅客機、乗客らが異臭で苦情訴え搭乗拒否 インドネシア****
インドネシアで5日、旅客機に貨物として積み込まれたドリアンが強烈な臭いを放ち、乗客が搭乗を拒否してフライトが1時間遅れる騒ぎがあった。

東南アジアで高い人気を誇るドリアンに対する評価は賛否が分かれ、ある人々は「果物の王様」とみなし、クリーミーな食感や強烈な臭いゆえにブルーチーズに例える一方、批判者はその臭いが下水や腐りかけた嘔吐(おうと)物、湿った靴下に似ていると主張する。

今回の騒ぎでは、スマトラ島のブンクル州から首都ジャカルタに向かうスリウィジャヤ航空の便を予約した乗客たちが、ドリアンの臭いがすると職員に苦情を訴え、搭乗を拒否。過積載の懸念もあったという。

スリウィジャヤ航空は2トン超のドリアンを積載していたことを認めたが、フライトに支障は出ないと主張。また、旅客機が一度離陸すればドリアンの臭いは消えると説明した。

同航空のアブドル・ラヒム氏は6日夜、全国放送のコンパスTVに対し「ドリアンは航空輸送において危険物に分類されていない」と述べ、「タコノキの葉や粉末コーヒーを使ってドリアンの臭いを吸収するなど、必要な予防措置は取った」と説明した。

搭乗した乗客たちが降機することを決めると、スタッフはドリアンを機内から降ろすことに踏み切った。この便は1時間後に離陸し、ジャカルタに無事到着したという。【11月7日 AFP】
*****************

“危険物に分類されていない”とは言うものの、多くのホテルでは持ち込み禁止ですから、やはり飛行機に2トンのドリアンがあると厳しいかも。


コース途中にあるバンジャール(村を構成する集落・)「トゥンバカサ」
写真左手はお寺のようにも見えますが、普通の民家です。

各民家は親族が2~4家族ほど同一敷地内に家を持ち、敷地の一角には家族寺があって祖先を祀っています。


敷地内を見せてもらった民家の家族寺


家屋は非常に質素なつくりですが、その庭には何気に色鮮やかな胡蝶蘭が。
日本で買うと、1本1万円です。


別種のランも。



庭で放し飼いになっている鶏もいましたが、こちらはペットの鶏 見事なぐらいに色鮮やかです。
現地では「森の鶏」と呼んでいるようです。


道端の祠 ガイド氏もお祈りを。


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インドネシア・バリ島 男もすなるケチャといふものを、女もしてみむ 「女性ケチャ」

2018-11-07 22:48:50 | 東南アジア

バリ島を観光された方ならご存知のように、バリ・ウブドでは夜になると、街のあちこち(多くは寺院や集会所)で、外国人観光客をターゲットにした伝統舞踊やガムラン演奏、影絵芝居など、伝統芸能のパフォーマンスが行われます。

曜日ごとに演目が変わりますが、各曜日とも7~10か所ぐらいで異なるパフォーマンスが行なわれていますので、観光客は興味があるパフォーマンスを「今日はダンス、明日は影絵・・・」といった感じで選ぶことができます。(料金も600~700円程度とリーズナブルです)

私はウブドは3回目ですが、ウブドをリピートする大きな理由が、毎夜繰り広げられるこのパフォーマンスです。

演じるのは、プロというよりは、普段は普通に仕事をしているバリ住民で、主に地域ごとにグループを作って演じているようです。

海外公演を行うような有名グループも多くあります。

今回旅行でトレッキングガイドをお願いしたカデさんも、そうした有名グループの属するガムラン(さまざまな銅鑼や鍵盤打楽器による合奏の民族音楽)奏者で、公演のために日本にも数回来られています。(そうしたこともあって、日本人女性と結婚されることにもなったようです)

彼の話によれば、昔はグループはそんなに多くなく、毎夜の公演機会も多かったため、プロに近いような形で生計を立てることもできましたが、最近はグループ数が非常に多く、1週間に1回の公演に限られるため、ガムラン演奏では暮らしていけないとか。

その点では演奏レベルも昔の方が高かったかも・・・・とのこと。

そんなバリ島の伝統芸能のひとつが、バリ島のイメージにもなっているケチャです。
楽器を使わず、数十名の上半身裸の男子が幾重にも輪になって、「チャッ チャッ チャッ」といった掛け声を合唱のように重ねてリズムを刻むパフォーマンスです。

もともとは祈りのためのものが起源で、現在のようなスタイルになったのは、20世紀以降のヨーロッパ人の指導によるものとかで、そうした点でも外国人の興味を引き付けるように作られたものとも言えます。

(ケチャに限らず、バリの「伝統芸能」は、ヨーロッパ人の視点から再構成された面が多くあります。そのことの良し悪しは別にして、そうしたことから、外国人が「南国の島」に抱くエキゾチックなイメージと重なりやすいという面があるようです)

ケチャは非常にリズミカルで楽しめる演目ですので、私はバリを訪れるたびに鑑賞しており、今回も初日の4日には、超有名(超ベタと言うべきか バリを紹介したガイドブックの最初のページに必ず出てくるものです)な、海を背景にしたウルワツ寺院で行われるケチャを観に、片道2時間以上かけて行ってきました。

感想としては、ウブド市内で毎夜行われているケチャと大差ないというか、むしろ観光客相手にコミカルに崩し過ぎているようにも・・・・。

二日目の昨夜も、ウブド市内のケチャに行ってきました。(二夜連続というのは、そこまで好きという訳でなく、たまたまスケジュールの都合上、そうなっただけですが)

昨夜のケチャは、「女性グループによるケチャ」というのが珍しく、10か所ほどで行われている多くのパフォーマンスの中から選んだ次第です。

50名ほどの女性で演じられるケチャは、芸術的レベルはわかりませんが、それなりに楽しめるものです。
もちろん女性ですから、上半身裸という訳ではありません。



「Women Kecak」ということで、決して“Young Women”ではありませんので念のため。
まあ、40歳前後の女性が多いでしょうか。中にはもっと若い女性もいます。

男性として、そういうことにも関心が向くのも「女性ケチャ」ならではですが、あまりそうしたことを言うとセクハラになりますので・・・・。

ケチャは掛け声によるリズミカルな合唱に合わせて、有名な叙事詩ラーマーヤナをベースにしたダンスが一緒に行われますが、そこに登場する悪辣な魔王や暴れまくるサルの神様ハヌマンなどは男性が演じているようです。

もともと男性が演じていたケチャを女性が行うことに関して社会的抵抗がなかったのか、カデさんに尋ねたところ、そういう「やってはいけない」という抵抗はなかったものの、「女にどれほどのものができるのか?」という男性側からの蔑視はあったようです。

毎日の家事やお供えづくりに追われる女性は楽しみの機会が少ないため、自分たちも何か楽しいことをしたい・・・という主婦たちが始めたのが「女性ケチャ」とのことです。

確かにケチャは技術的に、ガムラン演奏や伝統舞踊に比べると、誰でも参加しやすいと言えるでしょう。

同じインドネシアでも、イスラムの戒律が厳しい北部アチェ州では女性の行動が厳しく制約もされていますが、バリ島の「女性ケチャ」のように女性が生き生きと社会参加するのは、非常に素晴らしいことではないでしょうか。

なお、「女性ガムラン」もいくつかグループがあるようです。明日以降、ちょっと覗いてみましょうか。
なお、今夜はジェゴク演奏(太い竹を並べた巨大木琴のような打楽器演奏)のパフォーマンスを観る予定にしています。

ただ、外は激しい雨が降っています。会場まで行くのも大変そう。(水はけの悪いゲストハウスの中庭は池になっています) どうしましょうか?

(ケチャの最後に演じられる、トランス状態に入った男性が燃える火の中を裸足で走るパフォーマンス)


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インドネシア・バリ島 聖と俗 オダランと闘鶏

2018-11-06 23:43:08 | 東南アジア

【女たちが供物を捧げるオダランの光景】
一昨日夜にインドネシア・バリ島の中部ウブドに入り、のどかな田園風景のなかの散策や、ガイドブックの表紙に掲載されているような代表的な観光スポットなどを回っています。

観光二日目の今日6日は、午前中はウブド郊外の散策(ジャラン・ジャラン)、その後車でカルデラ火口湖を見下ろすキンタマーニ、人々が聖水で沐浴するティルタ・ウンプル(ともに世界遺産)を中心に、湖畔の露天風呂や観光コーヒー農園などを回る、盛りだくさんのメニューでした。

例によって、それらは帰国後に旅行記サイトにアップするとして、その観光の帰路、ウブドももうすぐというあたりの小さなお寺のオダラン(祭礼)や、その隣で男たちが興じる闘鶏の様子を写した画像を数枚紹介します。

ウブドの1年は210日で、年の節目には祭礼(オダラン)がお寺で取り行われるのは日本と同じですが、バリ・ヒンズー教の「神々の島」は至る所にお寺があり(もっと言えば、各家庭の敷地内に、それぞれその家のお寺みたいなものが祀られています)、各お寺が異なる日にオダランをやっていますので、車で島内を走っていると、オダランの行列に出くわすことがしばしばあります。

今日も観光を終えてウブドにもどる途中の、小さなお寺で、周辺の住民だけで行う極めて小規模なオダランをやっていましたので、車を止めてちょっと見学。

もちろん寺院内には入りませんが、頭上にお供えを高く積み上げて、お寺を出入りする女性たちの様子をしばらく眺めていました。

神様にお供えを捧げたあと、そのままお供えは各自家に持ち帰り、“神様からのおすそ分け”を家族で食べる・・・・といった習わしは、日本でも似たような風習があるかと思います。

頭上にうずたかく果物などが積み上げられた供物は、よく崩れないものだと、いつも感心します。(下記の説明によれば、「ゲボガン」という種類のお供えのようです)


なるべく多くの供物を積み上げるのが、神様への大きな信仰心を表すと同時に、地域のお隣さんたちに対しても面目が立つのでしょう。

女性たちの“腕の見せ所”でもあるのかも。

しかし、ときにはアクシデントも。
ある高齢の女性が寺を出たところで足をすべらせ、お供えを地上にばらまいてしまうという場面がありました。

そのあと、その供物をどうするのかは知りません。

こうしたオダランに限らず、バリの女性の毎日はお供え物に明け暮れる日々です。

****バリ島のお供え物(バンタン)****
供物は、宗教的に特別な日にお寺に備えるものだけではなく、毎日の生活の中で家の中や職場、お店など多くの場所にお供えします。

バリ島に来た時、飛行場内のあらゆる場所でチャナンと呼ばれる小さな供物を見る事でしょう。また、街を歩いていると、お店や家の前に置かれたチャナンも目にすると思います。(中略)

****バリ島の供物の種類****
バリ島の供物の種類は、本当に星の数ほど沢山あります。

サラスワティーやガルンガンなど特別な日に捧げる供物、オダランや新月・暗月のお祈りの時にお寺に捧げる供物、結婚式やポトンギギなどの家庭の行事の時に捧げる供物、ささげる日、場所、目的によって供物は変わってきます。

さらに、土地・エリアによっても供物の形や中に入れるものが違ってきます。

チャナン(Canang):各家庭で毎日のお供え物に使う供物。供物の中でもっとも基本的なものです。
サイバン(Saiban):バナナの葉に炊き立てのご飯を載せたもの。
セガハン(Segahan):地下の悪霊に捧げる供物。悪霊が好きな赤玉ねぎや砂糖などが入っています。
チャル(Caru):家の浄化儀礼(ムチャル)などに使われる動物のいけにえ。犬などを使う事もありますが、焼いた鶏の肉を使う事が多いです。
ゲボガン(Gebogan):オダランの時などにお寺に備える大きな供物。専用の台に、リンゴやミカンなどのフルーツを色鮮やかに積み重ねてタワー状にしたもの

他にも、ポンブルシアン、ブラス、アジュマン、トゥンパン、クロンポアン、ブヌッなど多くの種類の供物があります。

「この供物は何ですか?」と、時々旅行者に尋ねられますが、長期滞在していると言っても、外国人やヒンドゥー教徒以外の人には、供物の違いや種類はよくわかりません。

チャナン(Canang)
観光客の皆さんが一番目にするのが、チャナンと言われるお供え物です。

チャナンは、お供え物の基本となるもので、ヤシの葉、バナナの葉、お花などからできています。

バリ・ヒンドゥー教徒は、このチャナンを毎日決められた場所にお線香とともに供え、聖水を振りかけます。また、朝一番の炊き立てご飯をバナナの小片に載せたサイバン(Saiban)というお供え物も、毎日のように供えます。

大きな家では、毎日50か所以上の場所にこのチャナンやサイバンをお供えするそうです。(後略)【バリ島旅行.com】
******************

“毎日50か所以上の場所にこのチャナンやサイバンをお供えする”・・・・家寺(サンガ)や室内にある神棚のようなプランキランはもちろん、電気のメーター、井戸水のポンプ、バイクや車、ガスレンジ、洗濯機などなど。
そして、庭や家の前の道路にもチャナンをお供えします。

これだけで1日が終わってしまいそうです。

【その隣で闘鶏に興じる男たち】
では、男たちは何をしているのか?

さきほどの小さなお寺で見かけたオダラン、その隣の空き地に男たちの人だかりが。

覗いてみると、闘鶏を楽しんでいるようです。
当然、賭けも伴います。


*****バリ島の闘鶏*****
大きいな儀式がある時、寺院では、必ず闘鶏がおこなわれます。

その時だけでは、お金をかけて闘鶏を楽しむことが出来るのです。ただし、かけたお金の一割は、お寺に寄付をしなければなりません。

お寺で闘鶏がおこなわれるのは、儀式の前に悪例を静めなければならないからです。悪例に生けにえにするためです。【http://www.baliyasui.com/japanese/bali_rekishi/bali_toukei.html】
****************

足に鋭いナイフを縛り付けられた戦うシャモは痛々しくもあり、戦いが始まる前にその場をはなれました。
(と言いつつも、今日の昼も夜もサテ・アヤムと呼ばれるインドネシア風焼き鳥を食べていますので、別に動物愛護を訴えるつもりもありませんが)


境内の向かいに出ていた屋台 揚げ豆腐をハサミで適当な大きさに切ったものに、もやし・ピーナッツ・唐辛子などでつくったソースをかけて食べる「タフ・グンティン」
(タフは豆腐、グンティンははさみを意味します)


辛さが気になりますが、とても美味しい料理です。



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インドネシア・バリ島 ウブド郊外ジャランジャランで出会った果物

2018-11-05 14:55:23 | 東南アジア

昨夜遅く、インドネシア・バリ島のウブドに到着。

今日(11月5日)から三日間は、日本語ガイドのカデさんとウブド周辺のトレッキング(というか、田園風景の中をぶらぶら歩く散策・ジャランジャラン)中心のメニューです。

カデさんの奥さんは日本人ですが、最近はそうした結婚は少なくなったそうです。
以前は、かなり多くあって、ウブドにはそうした夫婦が経営しているゲストハウスもいくつもあります。

全体的に、日本の若い人の間では、海外への関心が低下しているようにも思えますが、そうしたことの一つの事例でしょうか。

先日のブログで触れた中国人団体観光客の超激安ツアーは、現地で法外な値段の商品を半ば強制的に購入させるなどのカラクリがあって成立するものですが、そうした現地の通常経済にカネを落とさない中国人の増加を嫌うバリ当局が手入れを行い、脱税などで逮捕者も大分でたとか。

そのため、最近は中国人観光客はめっきり少なくなったようです。
少なくともウブドについては、中国人団体や漢字の看板がやたらと多いといったことはないように思われます。

のどかな田園風景、美しい草花、アヒルやジャコウネコ! 紹介したい画像は多々あるのですが、それらは帰国後に旅行記サイトで。
ここでは、果物関係の画像をいくつか。


最初の果物は「シルサック」 英語名はサワーソープ。
大きさは15~30cmで、重さは1~2kg。

“果肉は白くブヨブヨしていて、味は、あまり香りがなくどうでしょう?という感じです。シルサックのジュースがよくスーパーなどで売っているのですが、ほんのり甘酸っぱいヨーグルトのような感じでとても美味しかったです。”【http://smithcorp.jp/indonesia/2014/07/716/】


こちらは「果物の王様」、と言うより独特の臭いで超有名なドリアン。

休憩で立ち寄った茶店の床に5個ほど転がしてあったので、ひとつを買ってみました。

ドリアンは数回食べたことはありますが、ねっとりしたチーズかクリームのような感じで、個人的にはそんなに好物というほどでもありません。
大きな種の周りの果肉を食べますが、2個ほど食べて、残りはカデさんに。


臭いの方は、言われるような強烈なものはありません。
ただ、食べたあと、ゲップをすると、ちょと嫌な臭いがこみあげてくる感も。


この茶店に置いてあった果物かご。

上段はマンゴーとマンゴスチン
中段にはドランゴンフルーツと名前を忘れた小さな実
下段はパイナップル


中段にある小さな実は皮をむくとこんな感じ。甘酸っぱくておいしかったです。


カデさんが、長い鎌で切り落としているのは、店の前にあるマンゴスチンの実。


赤く熟れたマンゴスチンはとても美味です。個人的には、30年ほど前でしょうか、タイで甘酸っぱいというか、ほろ苦いというか・・・ちょっとした思い出があります。
そのせいでもありませんが、味覚的にも大好きな果物です。


こちらはパイナップルの花 初めてみましたが、青い小さな花をつけるようです。

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インドネシア・バリ島に行ってきます

2018-11-03 23:40:02 | 東南アジア

(バリ島に伝わる舞踊劇「ケチャ」【10月24日 Japan In-depth 大塚智彦氏】)

【中国人団体観光客はカネを落とさない・・・・】
現在、鹿児島空港で関西空港行きのPeachを待っています。
今夜は大阪泊まりで、明朝、シンガポール経由でインドネシア・バリ島へ行ってきます。

バリ島は、ほぼ10年に1回ぐらいのペースで、今回は3回目になります。バリといっても、ビーチには興味ないので、ウブドだけですが。

バリ島は、よくも悪くも、島全体が外国人観光客向けに作られたエリアのように思えます。

バリの絵画や伝統舞踊がヨーロッパ人の指導で再興されたものであることが示すように、欧米人の“南国の島”に対するイメージを現実のものにしたと言ってもいいかも。

ですから、外国人観光客にとっては、“イメージどおりの体験”をすることができる島ですが、悪く言えばそのように人工的につくられたテーマパーク的な場所とも。

まあ、なんだかんだ言わなければ、エキゾチックな“南国の島”を満喫できますし、観光客向けの用意ができていますので、非常に便利でもあります。

個人的には、今年はインドと中国の旅行で予算オーバーの散財してしまったので、バリ島でお金をかけずにグダグダしようか・・・というところです。

このバリ島は、御多分もれず、最近は中国人観光客にも大人気のようですが、現地での評判はあまりよろしくないものがあるとか。

マナー云々というより、中国人団体観光客は現地にカネを落としてくれない・・・という不満のようです。

****バリ島を辟易させる中国人団体観光客****
インドネシアの国際的な観光地バリ島が今揺れている。近年多く同島を訪問する中国人観光客が新たな問題を起こし、州政府をも巻きこんだ「観光客のあるべき姿」論議に発展しているからだ。

バリ島を擁するバリ州の最大の産業は観光産業であり、同島を訪れる観光客はインドネシア政府の2017年の統計で年間586万人に達し、最大人数を占めるようになったのが中国人観光客で約136万人、2位のオーストラリアの106万人を大きく上回っている。

バリ島では最近、島の各地に中国語表記の看板、メニューを備えたレストラン、中国人が経営するお土産物屋、旅行代理店、バス会社、ツアーガイドが溢れ、島の至るところに中国人観光客が押し寄せるようになった。

基本的なマナーや行儀の問題は各所で物議を醸してはいるものの、基本的に観光客の増加はバリの人々にとっては「熱烈歓迎」のはずだった。

ところが、昨年来、格安ツアー、それも超格安のツアーでバリに来る中国人団体客が急増し、その一方で地元に「落とすお金」が減少する状態になっているという。

バリ観光協会や観光業者によると、中国人が参加している格安団体ツアーは往復航空券、ホテル5泊分を含めて200万ルピア(約1万6000円)という安さだという。

さらに最近は航空券、4泊5日分のホテル代込みで、なんと60万ルピア(約4800円)という信じられない超格安のツアーが販売されているという。

■バリに全く利益をもたらさないシステム
こうした超格安ツアーでバリに到着した中国人団体観光客は、ホテル1部屋にエキストラベッドを8個入れて約10人がそこで寝泊まりするという。

日本と異なり、ホテルの宿泊料金は人数ではなく部屋にかかるため、一部屋を1人で使用しても2人で使用しても料金は変わらない。

通常は人数が増える場合は部屋内にエキストラベッドを入れる。バリ島の場合エキストラベッドは1台で平均5万ルピア(約400円)なので、8台入れても40万ルピア(約3200円)でしかない。

中国系旅行代理店が手配した大型観光バスで中国人の通訳ガイドと一緒にバリ島内を移動し、食事は中国料理店で中国語のメニューから選んで食べ(当然だがほとんどが中国料理)、お土産は中国人が経営する店へバスで案内されて買い物、中国のクレジットカード「銀聯カード」などで支払を済ますのが定番となっている。

中国人が経営しているお土産物店で売っているものといえば、マットレスや雑貨、乳液などの化粧品、絹製品や宝石類とバリの特産物やインドネシア製品とは縁も所縁もないものばかりという。

ようするに地元バリ、バリ人には全くお金を落とす仕組みになっておらず、薄利多売ながらも儲かるのは中国人の会社ばかりという構図が浮き彫りになってきている。

■州知事「『質のいい観光客』に来て欲しい」
2018年6月の知事選で選ばれ、就任してまだ半年も経過していないイ・ワヤン・コステリ新知事は10月15日に「バリ州にとって観光収入は最も重要な財源の一つである。その観光産業を中国人観光客が牽引しているのも事実である」と指摘した上で、「しかし、バリ島は世界でも有数の観光地であり、決して安い観光地ではなく、安売りされるべきではない」とバリ島観光のあるべき姿に言及した。
 
その上で「バリに来てホテルで寝ているだけではなく、ちゃんとお金を使って地元に落としてほしいのだ」と注文をつけた。

さらにコステル知事は「バリにはお洒落で品のいい観光客に来てほしい」
とまで言い切った。

これは直接の名指しこそ避けているものの、基本的なマナーや行儀の欠如に加えて現地に一向にお金を還元しない旅行に徹している中国人観光客が念頭にあるのは誰の目にも明らかである。

こうした知事の姿勢には現地の観光業界、観光業者からは賛同の声が上がっており、業界関係者の間からは「どうしたらあのような超格安のツアー料金が設定可能なのか、一体何が起きているのか、事実関係を調査する必要があるだろう」という声も出ている。

その一方で、州政府や関係機関は無資格の中国人通訳、観光ガイド、そして無許可営業の中国人による土産物屋や物産店、さらに中国人経営のマッサージ店などを法律的に調査してそれ相応の処分をすることも検討するとしている。

世界最大のイスラム教徒人口を擁するインドネシアだが、バリ島はヒンズー教徒が多く生活している。ヒンズー教の祭事が多く、バリ島のどこかで必ず毎日お祭りや宗教行事が行われているとも言われ、バリ島は別名「神々の島」といわれている。

しかし、その「神々の島」の雰囲気が所かまわず喫煙しては吸い殻をポイ捨てし、痰や唾を平気で吐き散らし、ヒンズーの宗教施設でヒンズー教徒が敬虔な祈りを捧げる隣で大声でしゃべりながらセルフィーを撮影しまくる、そんな中国人団体観光客によってかき乱されているのが現状と言える。

そこに今回の超格安ツアー問題が浮上して、バリの人々は「世界から観光客にはぜひ来てほしいが、正直言って団体旅行の中国人観光客だけはもう勘弁してほしい」
というのが本音であるという。【10月24日 Japan In-depth 大塚智彦氏】
*****************

カネを落とす云々で言うと、私も1泊2000~3000円程度の安宿に泊まり、食事は300~400円程度のナシゴレンですまし、郊外を散歩(ジャラン・ジャラン)したり、自転車で散策したり・・・、しかも、たいした土産も買わず・・・・と、カネを落とさない客の範疇で、やや肩身の狭いところもあります。

今回は、現地ガイド・車をチャーターしての観光を予定していますので、多少は現地経済に貢献できるかも。

(以前、ひとりであれこれ苦労しながら歩き回ることが多かった頃は、「苦労しない旅なんて・・・・」といった思いもありましたが、最近は日本語ガイドに頼んで楽することが多くなりました。歳をとったということでしょう。)

中国人団体観光客のことへのコメントは、実際に現地で目にしてからにしましょう。

日本とは異なる人権意識 特に、女性には“情け容赦ない”かも
昨日ブログでは、インドネシア人メイドに対するサウジアラビアの“情け容赦ない”対応を取り上げましたが、そのインドネシアも日本人の感覚からすると、女性に対して“情け容赦ない”ところがあります。

これまでも時折取り上げてきたように、イスラム教徒が大半を占めるインドネシア(国教という訳ではないようですが)にあってd、特に北部アチェ州ではイスラム法による刑罰が許されています。

****公の場で恋人といたため、男女に公開むち打ち刑 インドネシア****
インドネシア・アチェ州の州都バンダアチェで29日、公の場で異性と密接に接触していたとして逮捕されたカップルに、公開むち打ち刑が執行された。
 
スマトラ島の北端に位置するアチェ州は、世界最多のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアの中でも唯一、イスラム法(シャリア)が施行されている保守的な州。

賭博、飲酒、婚外交渉、同性愛者間の性行為などが違法とされ、公開むち打ち刑はそれらに適用される一般的な刑罰として行われている。【10月29日 AFP】
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むち打ちの痛みよりは、酷州の面前で辱めることを目的とした刑罰のようです。

イスラム法(シャリア)による刑罰と、一般的な刑法による禁固刑などとの選択ができる・・・といった話も、以前目にしたようにも思いますが、定かではありません。(現在、関空に向かう機内で検索もできませんので)

アチェ州に限らず、インドネシア全体として、女性の“貞操”を非常に重視する文化もあるようです。

****まだ続いていたインドネシア軍・警察による処女検査 今や軍将校の婚約者まで拡大?****
<「倫理観や身体検査」の一環とする処女検査に科学的根拠はなく、国際社会から廃止を求められているのに>

インドネシアで軍や警察を志望する女性は、今も採用時に「処女検査」を強制されている。

廃止を求める国際社会の圧力にもかかわらず、インドネシアの警察は採用予定の女性の「倫理観や身体検査」の一環として、2本の指を膣中に挿入して処女膜の有無を調べる「処女検査」をいまだに実施している、とオーストラリア放送協会(ABC)が10月20日に報じた。

世界保健機関(WHO)は2014年、処女検査に科学的根拠はないとの見解を発表。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領に対して即時廃止を求める声明を発表した。

ABCによれば、ヒューマン・ライツ・ウォッチに寄せられた告発で、身元が分からないようザキアと名乗ったある女性は、今年の警察の採用試験に応募後、処女検査を受けて不採用になった、と語った。

「膣だけでなく、肛門にまで指を挿入してきた。検査の間はずっと激痛だった」と彼女は言った。

「思い返すたびに泣けて、生きていくのが嫌になる」

面接で自分は処女だと訴えたが、不採用になった。

ニュージーランドのオークランド工科大学のシャリン・グラハム・デイビーズ准教授は2015年に発表した報告書で、女性応募者は「見た目」でもふるいにかけられている、と批判した。

軍でも横行
処女検査は警察だけでなく、軍の採用試験でも行われている。

軍に採用予定のリアンティと名乗る女性は今年8月、香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストの取材に対し、インドネシア東部パプア州ジャヤプラの軍の仕事に応募したが、男性の衛生兵による処女検査を受けさせられたと語った。

「一刻も早く終わってほしかった。人生で最も長く感じた数分間だった。男性に触られた経験が一度もなかったから屈辱的で、ショックだった」と彼女は同紙に語った。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは2017年の報告書で、処女検査は「性に基づく暴力」であり「無意味なことが広く知られた慣習」と非難した。

検査はインドネシア軍の各部署の女性職員の採用で数十年続いており、軍将校の婚約者にまで対象が広がっている、と同団体は指摘する。

「軍や警察による侮辱的な処女検査をインドネシア政府が見逃し続けていることは、女性の権利を保護する政治的な意思が恐ろしいほど欠如している証だ」と、女性権利擁護ディレクターを務めるニシャ・バリアは言った。

「それらの検査は女性を傷つけ、差別し、平等な就業機会を奪っている」【11月2日 ニューズウィーク日本版】
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開放的なバリの雰囲気からは想像できない感じもありますが、インドネシアにあってバリ島がやや特殊な場所ということにもなるでしょう。

そのため、バリ島に氾濫する欧米文化的なものへの反感もあって、かつての大規模テロなども起きているのでしょう。

もうじき関空に着くようですので、とりあえず今日はここまで。

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サウジアラビアの“情け容赦ない”体質 ただ、今回はさすがに対応の変化も?

2018-11-02 23:01:38 | 中東情勢

(10月22日インドネシアを訪問したサウジのジュベイル外相(左)に対し、ウィドド大統領(右)は「サウジで働くインドネシア人労働者の保護」を強く訴えていたが──【10月31日 大塚智彦氏 Newsweek】 結局、ウィドド大統領の要請は無視され、インドネシア人メイドは1週間後には事前通告もなく処刑されました)

カショギ氏殺害事件で続く外交的駆け引き
サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件に関しては、連日多くの報道がなされていますが、そのなかから、いくつかピックアップすると・・・

****トルコ大統領「特定の人を守るな」=記者殺害、指示者の解明要求****
サウジアラビアの記者ジャマル・カショギ氏がトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で殺害された事件で、トルコのエルドアン大統領は30日、首都アンカラで記者団に対し、サウジ検察の事件捜査について「うそをつく必要はない。特定の人々を守ろうとするのは理にかなわない」と強調した。(後略)【10月30日 時事】
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*****「高いレベル」から指示=サウジ記者殺害でトルコ与党報道官****
トルコの与党・公正発展党(AKP)のチェリク報道官は31日、記者団に対し、サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏が殺害された事件について、サウジの「高いレベル(の当局者)からの指示がなければ実行できない行動だ」と指摘した。アナトリア通信が伝えた。【11月1日 時事】
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****サウジ皇太子がカショギ氏を危険視 電話会談で米側に指摘と米紙****
サウジアラビア人記者、ジャマル・カショギ氏の殺害事件で、米紙ワシントン・ポスト(電子版)は1日、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がカショギ氏の失踪から数日後に行ったトランプ政権高官との電話会談で、同氏を危険人物であると指摘し、両国の同盟関係を維持するよう求めていたと報じた。(後略)【11月2日 産経】
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****米国務長官、制裁の判断は数週間必要=サウジ人記者殺害事件****
サウジアラビア人の著名記者ジャマル・カショギ氏殺害事件で、ポンペオ米国務長官は1日、米ラジオ番組のインタビューで「殺害に関わった人物への制裁を検討している」と語った。ただ「制裁を科すのに十分な証拠を得るのに、さらに数週間はかかる」と強調した。制裁の詳細には言及しなかった。(後略)【11月2日 時事】
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全体の流れとしては、よく言われているように、サウジアラビアとしては何としてもムハンマド皇太子の関与は否定する形で幕を引きたい、サウジアラビアと同盟関係にあり、ムハンマド皇太子を支援することで増長させる背景にもなったアメリカ・トランプ政権としては、皇太子の権威・同盟関係・武器購入契約が損なわれない形で処理したい、トルコは情報を小出しにしながら、あるいは政府がコントロールするメディアにリークする形でジワジワと追い詰め、サウジ・アメリカから最大限のもの引き出したい・・・といったところです。

いずれにしても、トルコは何らかの決定的な証拠を握っていたとしても、それをすべて明らかにすることはないだろうとも。(サウジ・アメリカを決定的に怒らせてもトルコにはメリットはありませんので)

真相究明とは言いつつも、要するに外交上のかけひきがしばらく続きそうです。

【インドネシア人メイド処刑に見るサウジラビアの“情け容赦ない”体質】
今回事件で、ムハンマド皇太子の改革者としての面とは別の、反対者を容赦しない強権的体質も指摘されていますが、そうした“荒々しい”“容赦ない”あるいは“傲慢な”体質というのは、ムハンマド皇太子に限らず、サウジアラビアの政治・社会全般についても言えるのかも。

サウジアラビアの国内強権体質については、多くの記事・指摘がありますので、今日は少し別の視点・角度から。

サウジアラビアなど中東世界ではインドネシア・フィリピンなどからの出稼ぎメイドに対する虐待、それに伴う(サウジ側から見た)犯罪行為で逮捕されたメイドへの容赦ない断罪、出身国からの抗議といったことが繰り返されていますが、そうした事件や対応にも、サウジラビアの国家・社会の体質的なものが現れているようにも思えます。

****正当防衛訴えたインドネシア人女性を処刑 情け容赦ないサウジに反感強まる*****
<反政府ジャーナリスト殺害事件で国際的に批判を浴びているサウジ。今度はインドネシア大統領による「出稼ぎ労働者の保護」要請を無視する暴挙に>

サウジアラビアでメイドとして働き、殺人の罪で死刑判決を受けていたインドネシア人女性が10月29日、サウジ当局によって処刑された。

インドネシア政府による度重なる減刑嘆願や支援組織による「裁判やり直し要求」を無視し、女性の家族やインドネシア大使館にも事前通告なしでの突然の執行にインドネシア政府、社会はサウジアラビアへの反感を強める事態となっている。

サウジアラビアはサウジアラビア人フリージャーナリスト、ジャマル・カショギ氏を10月2日にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館で計画的に殺害し、その真相を明らかにしない姿勢に国際社会の批判が高まっている中での出来事だけに、今回の執行はインドネシアの「反サウジ感情」の火に油を注いだ形となっている。

特に10月22日には、カショギ氏殺害の渦中の人物とされているサウジのムハンマド皇太子に近いとされるサウジのジュベイル外相がインドネシアを訪問。ジョコ・ウィドド大統領やレトノ外相はジュベイル外相との会談で「サウジで働くインドネシア人労働者の保護」を強く訴えていた。

こうした大統領や外相らの「要請」が無視されたこともインドネシア社会の強い反感の背景にはある。

外務省などによると、サウジ政府がインドネシア人などの死刑執行を事前にインドネシア側に通告する義務はなく、違法ではないとしながらも人道的立場などから覚書で「事前通告」を要請していた。しかし通告は執行後の10月30日で、要請は無視された形となった。

レイプに抵抗した正当防衛と主張
今回処刑されたのはインドネシア・西ジャワ州マジャレンカ出身のトゥティ・トゥルシラワティさん(34)で、出稼ぎ労働者としてサウジアラビア人家庭のメイドとして働いていた。

ところが支援団体などによると、2010年に雇用主の男性から性的暴力(レイプ)を受けそうになり、近くにあった棒で抵抗するうちに男性を殺害してしまった。裁判の過程では「あくまでレイプに対する正当防衛で殺意はなかった」と主張を繰り返した。

さらに殺害後に逃走する過程で「逃走を手助けする」と言って近づいてきた9人のサウジ人男性から繰り返しレイプされた、とトゥティさんは裁判で主張したが、裁判所はトゥティさんの言い分を顧みることなく2011年に情状酌量の余地なしとして「死刑判決」が確定した、という。

特にサウジアラビアでの人権侵害は深刻で、これまでにサウジ人雇用主から顔をハサミで切られたり、アイロンを押し付けられたりするなどの事例が報告されている。このためインドネシア政府は2015年にサウジへのインドネシア労働者の一時派遣中止のモラトリアムを発表している。

しかしインドネシア政府の方針に反して違法仲介業者などを介してサウジへ渡航、就労するインドネシア人は今も後を絶たない状況が続いていた。

2018年3月にはインドネシア人女性メイド、ザイニ・ミストリさんがやはり今回と同様に減刑嘆願にも関わらず死刑を執行されている。

サウジのメイド虐待はインドネシア人メイドに限らず、フィリピン人メイドやスリランカ人メイドらも雇用主らに熱湯を浴びせられたり、長期間十分な食事を与えられなかったりという被害を受けるケースも明らかになっている。

こうした事態にも関わらずサウジ政府は2017年からインドネシア人メイドの派遣再開を度々インドネシア政府に要請してきた。そしてこれに応える形でインドネシア政府は「人数を限定した派遣再開」でサウジ政府と10月11日に合意したばかりだった。

「派遣停止」を大統領に訴え
今回の事態を受けて「ミグラント・ケア」ではサウジ政府に対する強い抗議と非難を明らかにすると同時にジョコ・ウィドド大統領に対し「サウジへのインドネシア人労働者派遣に関する合意を破棄して、派遣を全面的に中止するべきだ」と求めている。

ただ、世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシア政府としては、イスラム教徒の重要な義務であるサウジへの「聖地巡礼(ハッジ)」の人数の割り当て、調整などに関してサウジ政府と交渉する必要もあり、強気に出られない立場といわれている。

2019年4月の大統領選に向けてジョコ・ウィドド大統領が今後世論の動向を見極めながらどのような対サウジ外交を進めるのかが注目されている。【10月31日 大塚智彦氏 Newsweek】
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虐待等の「事件」が繰り返されるにも関わらず、派遣停止は一時的で、すぐに再開されるのは、ハッジの割り当て云々もあるのでしょうが、基本的には派遣側のインドネシアやフィリピンの社会に就業機会を求める強い要望があるからでしょう。

このあたりの話は、これまでもときおり取り上げてきました。

2018年2月20日ブログ“フィリピン 虐待も横行する外国での家政婦労働 それでも外国に出ざるを得ない国内事情
2013年1月10日ブログ“サウジアラビア 繰り返されるアジア人出稼ぎメイドを巡るトラブル 背景に差別意識も

「仕事が見つかる保証もなく帰国するのは本当に恐ろしい。クウェートでは何があっても、たとえ警察に捕まる可能性があっても、何かしら仕事はありました。ここは、そんな心配はないかもしれないけれど、その代わり無職になるかもしれないんです」(虐待を受けていたクウェートからフィリピンに帰国した女性)【2月20日 AFP】

そうした弱い立場にある女性への家庭内での虐待が後を絶たないサウジアラビアなど中東諸国について想像すると、ひとつには気候風土に違いによる国民性もあるのかも。

穏やかな四季のある日本や、まったりとした熱帯気候の東南アジアとは違って、苛酷な砂漠で暮らす民の気風というのは、ウェットで情緒的なアジア人とは違って荒々しくも、容赦なくもなるのかも・・・これはただの想像ですが。

また、一連の事件からは、石油で潤う金満国のアジア人に対する傲慢な差別意識みたいなものも感じられます。

インドネシアやフィリピンの抗議に耳を貸そうとしない対応、アメリカみたいな力のある国ならいざ知らず、アジアの小国の言うことなど無視するという対応には、ものごとの道理や協調よりは、弱肉強食的な“力の対応”を重視する気風も感じられます。(その点でもムハンマド皇太子とトランプ大統領というのは気が合うのでしょう)

【さすがに今回はムハンマド皇太子の姿勢にも変化?】
ただ、さすがにムハンマド皇太子も今回は反省・自粛を強いられているようです。

****政府批判の王族が帰国 国王実弟の元内相****
サウジアラビアのサルマン国王(82)の実弟で、政府に批判的だった王族の一人、アハメド元内相が10月30日、滞在先の英国からサウジに帰国した。中東の衛星テレビ局アルジャジーラなどが伝えた。

サウジ人記者のジャマル・カショギ氏殺害事件で指導部に対する批判が高まる中、「王室の結束」を国際社会に印象付ける狙いがあるとみられる。
 
アハメド氏は70代。昨年6月、サルマン国王が息子のムハンマド氏(33)を皇太子に昇格させた際に反対したほか、皇太子が主導するイエメン内戦への介入についても「戦闘を終えるべきだ」と批判していた。

弾圧を恐れ、ここ数カ月は主に英国に滞在。報道によると、皇太子はアハメド氏を首都リヤドの空港まで出迎えた。自身に批判的な人物にも丁重に応対することで、融和ムードを演出しているとみられる。
 
事件についてサウジ政府は一貫して「一部の情報当局者の暴走」との主張を崩していない。事件への関与の可能性を相次いで報じられる中、皇太子が対外強硬姿勢を軟化させているとの見方もある。

10月24日のリヤドでの経済会議の席上、断交を続けるカタールについて「素晴らしい経済だ。今後5年で多くのことを達成するだろう」と述べ、一転して持ち上げる異例の発言が注目された。【11月2日 毎日】
********************

政府批判の王族の帰国については、“融和ムードを演出”という見方とは別に、必ずしも“歓迎ムード”ではなく、王室内の確執の始まりを示すものかも・・・という見方も。

al jazeera netなど中東メディアによれば“米国と英国が、皇太子が彼(アハマド殿下)に反対しないということで、彼の安全を保障したことで帰国が実現した”とか、“皇太子は空港に叔父(アハマド殿下)を出迎えたが、写真も公表されず儀礼もなかった”とも報じられているとか。

また、サウディ系メディアは、アハマド殿下帰国を報じていないとも。【10月31日 「中東の窓」より】

ただ、「何しろ秘密主義の本場であるサウディのことですから、今後この種報道を紹介する場合にも、真偽のほどは不明だが…という前提で紹介しますので、その点はお含みください。」【同上】ということで、よくわかりません。

【毎日】記事の最後にある、ムハンマド皇太子がカタールを“持ち上げた”というのは驚きです。
皇太子の指示で包囲網は築いたものの、一向に効果が出ないカタール断交に変化が出るということでしょうか?

ついでに、同じくムハンマド皇太子の強硬姿勢で先行きが見えないイエメン内戦も、この際、和平路線に転換されればいいのですが。

アメリカは、その方向への誘導を図っているようです。

“al qods al arabi net とal jazeera net は、米国務、国防両長官(もっとも前者は国防長官の発言だけを紹介)が、イエメンでは人道的悲劇を招いている内戦を早急に終わらせる必要があるとして、停戦及び今月中の和平協議の開催を呼びかけたと報じています。”【10月31日 「中東の窓」】

こうした流れを受けて、イエメン暫定政府が和平を呼びかける動きも。

****イエメン内戦、政府が和平交渉「再開する用意」****
イエメン内戦の終結を求める国際社会の声が高まる中、イエメン政府は1日、イスラム教シーア派系の反政府武装組織フーシ派との和平交渉を再開する用意があると発表した。

国連が内戦の全当事者に交渉参加を呼び掛けたことを受け、イエメン政府は「平和を取り戻すためのあらゆる努力」を歓迎すると表明した。

国営サバ通信が報じた声明で政府は、「イエメンは信頼醸成プロセスに関する交渉、特にすべての被拘束者・受刑者の釈放および拉致され強制的失踪の状態にある人の解放に関する交渉を速やかに始める用意がある」と言明した。

イエメン政府の発表に先立つ10月31日、複数の米政府高官や国連のマーチン・グリフィスイエメン担当特使は、内戦に関与する全勢力に対し、1か月以内に交渉の席に着くよう呼び掛けていた。【11月2日 AFP】
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多くの内戦・紛争がそうであるように、仮にこれから和平の動きがあったとしても、すでに生じた犠牲はあまりにも大きすぎ、「遅きに失した」としか言いようがありませんが、それでも、このまま戦闘を続けるよりはましでしょう。

****イエメン、子ども700万人以上が食糧難に直面 ユニセフ****
国連児童基金(ユニセフ)は10月31日、内戦が続くイエメンで700万人以上の子どもが食糧難に直面していると明らかにした。また、内戦が終わっても全ての子どもが救われる見込みはないとの見解も示した。

ユニセフのヘルト・カッペラエレ中東・北アフリカ地域事務所代表はAFPとのインタビューで、現在のイエメンの状況について「5歳未満の子ども180万人が栄養失調に苦しんでおり、さらに40万人が特に深刻な栄養失調の状態にある」と述べた。

ユニセフは先月下旬、イエメンの人口の半分に当たる約1400万人が「飢饉寸前の状態」に直面していると指摘しており、今回のインタビューでカッペラエレ氏はこのうち半数以上が子どもであるとの認識を示した。

カッペラエレ氏は国連が先月末にイエメン内戦の全当事者に交渉参加を呼び掛けたことを好意的にみている一方、戦争を終わらせるだけでなく、市民や子どもたちを中心に据えた政策を進める政府機能を構築することが必要だと訴えた。【12月2日 AFP】
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アフリカ紛争国の現在は? 南スーダン、マリ、中央アフリカ

2018-11-01 23:18:55 | アフリカ

(和平協定への調印を前に握手を交わす南スーダンのサルバ・キール大統領(右)とリヤク・マシャール前副大統領(2018年9月12日撮影)【9月13日 AFP】 この指導者たちは、紛争で40万人とも言われる犠牲者出ていることをどのように考えているのでしょうか?)

【南スーダン 繰り返される停戦破棄 今回は? すでに死者は40万人 年末までに子ども2万人が餓死の危険】
昨日、久しぶりに南スーダンのニュースを目にしました。
自衛隊の国連PKO撤収後は、日本での関心は急速に低下したようにも。

「そういえば、9月に和平協定に調印して、そのあとどうなったのだろうか・・・?」というのが正直な印象。

****反政府派トップが帰還 2年ぶり****
南スーダン政府と反政府派の和平を祝う式典に出席するため、最大の反政府勢力を率いるマシャール前第1副大統領が31日、約2年ぶりに同国の首都ジュバに帰還した。

マシャール氏は2016年7月の内戦再燃後、ジュバを脱出し、南アフリカなどで亡命生活を余儀なくされていた。
 
現地からの情報によると、式典にはキール大統領やマシャール氏のほか、和平を仲介した隣国スーダンのバシル大統領ら周辺国の首脳も出席。マシャール氏は「反政府派も平和を望んでいる。和平協定を履行する用意がある」などと語った。
 
キール大統領とマシャール氏は9月に和平協定の最終文書に調印した。来年5月までに政府と反政府派による暫定統一政権を発足させ、マシャール氏は第1副大統領に復帰することになっている。
 
ただ、一部地域では今も武力衝突が続く。和平協定に基づく政治犯や反政府派メンバーの釈放などは実現しておらず、首都の治安維持にも課題を残す。

反政府派の報道官によると、マシャール氏の帰還は一時的なもので、近く再出国する見通しだ。
 
英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の調査によると、13年12月に始まった内戦の死者は推計約40万人に上る。【10月31日 毎日】
*******************

ちなみに、9月に調印された和平協定については、以下のように報じられていました。

****<南スーダン内戦>和平協定調印 8カ月以内に暫定統一政権****
2013年末から内戦状態が続いていた南スーダンの政府と反政府勢力各派は12日、エチオピアの首都アディスアベバで和平協定の最終文書に調印した。8カ月以内に暫定統一政権を再発足させる。

合意を着実に履行し、政府軍と武装勢力の衝突を回避できるかが焦点となる。
 
現地からの情報によると、周辺国の首脳らが見守る中、キール大統領と反政府勢力トップのマシャール前第1副大統領が合意文に署名し、握手を交わした。副大統領を現在の2人から5人に増やし、反政府勢力各派に分配。

亡命中のマシャール氏は第1副大統領に復帰する。任期は総選挙までの3年間となる。
 
ただ、これまで10回以上結ばれた停戦合意はいずれもすぐに破られており、和平の実現には曲折が予想される。米英ノルウェーの3カ国は「当事者がどの程度関与するかに懸念を持っている」との声明を発表した。
 
南スーダンは2011年にスーダンから分離独立後、キール氏とマシャール氏の権力争いから内戦状態となった。15年8月に和平協定を結び、翌年4月に暫定政権を樹立したが、首都ジュバで大規模な戦闘が起きて2カ月半で破綻した。
 
和平協議は周辺国が仲介。最終的には南スーダンの油田地帯に権益を持つ隣国スーダンが主導する形で各勢力間の交渉をまとめた。
 
合意によると、政府軍とマシャール氏配下の部隊は8カ月以内に統合される予定だが、シンクタンク米平和研究所の専門家アリ・バージー氏は「(短期間での統合は)非現実的」と指摘。

「当面は現政権が存続するが、暫定政権の発足に向けた準備が進むのか。内戦終結に向けた強い意志が見えず、合意の履行には深刻な疑問が残る」という。
 
一部の武装勢力は、キール派とマシャール派が中心の権力分担では「根本的解決にならない」として、署名を拒否している。
 
5年近い内戦では兵士らによる深刻な人権侵害が相次ぎ、経済崩壊で住民は困窮。250万人が周辺国に逃れ、1994年のルワンダ大虐殺に匹敵する「アフリカ最大の難民危機」となっていた。
 
南スーダンでは昨年5月まで、日本の陸上自衛隊が国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた。国際協力機構(JICA)の邦人職員も内戦再燃を受けて国外に退避したが、今年8月に常駐での業務を再開している。【9月13日 毎日】
*******************

“これまで10回以上結ばれた停戦合意はいずれもすぐに破られており・・・”
小説家マーク・トウェインの有名な言葉「禁煙なんて簡単さ。私はもう何千回もやめてきたのだから。」を連想させる事態ですが、マシャール氏が一時的にせよ帰国したということは、少なくとも今のところは停戦の大枠は維持されているようです。(一部地域の衝突はあるものの)

ただ、すでに大きすぎる犠牲を払っています。

****<南スーダン>内戦死者40万人 想定上回り衝撃****
2013年12月に始まった南スーダンの内戦が原因で死亡した人の数は従来の想定を大きく上回り、約40万人に上ると英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院が援助団体の現地調査などを基に結論づけた。

11年から続くシリア内戦に匹敵する被害規模で、関係者に衝撃を与えている。
 
調査は、今年4月までの犠牲者数を約38万3000人と推定。うち19万人が戦闘で殺害され、ほぼ同数の人が紛争下の劣悪な衛生環境による病気や栄養不良などで死亡したという。内戦が激化した16〜17年にかけて特に多くの犠牲者が出たとしている。
 
南スーダン内戦の死者数をめぐっては、国連関係者が16年初めに約5万人という数字を示したが、その後の混乱で大幅に増えたとみられる犠牲者数についての分析結果が公表されたのは初めて。

同大学院は、実際の犠牲者数は40万人を「はるかに上回る可能性がある」としている。
 
国連によると、5年近くに及ぶ内戦では約250万人の難民が発生。国内避難民を含めると約450万人が家を追われ、人口の約6割に当たる600万人以上が深刻な食料不足に直面している。
 
南スーダン政府と反政府勢力は今月、和平協定の最終文書に調印したが、その後も戦闘が発生し、合意の履行が疑問視されている。【9月28日 毎日】
******************

このような悲惨な状況の常として、最も大きい犠牲は抵抗力が弱い子供たちが払うことになります。

****【南スーダン】 年末までに子ども2万人が餓死する危険****
南スーダンで子ども2万人が年末までに栄養失調によって死亡する可能性があるとされた。

国際市民社会組織セーブ・ザ・チルドレンから出された声明で、内戦が招いた状況により、南スーダンで子ども100万人を含む600万人以上に緊急の食料支援が必要であると伝えられた。

声明では、「子ども27万人が飢餓の危険に直面している。子ども約2万人が2018年末までに極度の飢餓によって死亡すると予想できる」と述べられた。

セーブ・ザ・チルドレン・南スーダンのデイドラ・キーオ代表は、「人道支援サービスの継続と拡大に向けた財政支援が確保されなければ、多数の子どもが死の危険と隣り合わせである」と述べた。

戦争の最も深刻な結果に直面しているのが子どもたちであることを思い出させた同組織は、人道支援サービスの受け取りが容易になるよう呼びかけも行った。(後略)【10月19日 TRT】
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いつも思うことですが、キール氏とマシャール氏、その他の武装勢力の指導者たちは、これだけの犠牲を国民に強いて、一体何を求めているのでしょうか?

おそらく自分の民族・部族以外は“国民”とも思っていないのでしょうし、自分の民族・部族の人々の生命・財産への関心すら怪しいものがあります。

そうした指導者しかいないところにいくら支援しても、ざるで水をすくうような感もありますが、さりとて見過ごすこともできません・・・・。

【西アフリカ・マリ 国連PKO部隊基地への襲撃も】
西アフリカのマリでは、国際テロ組織アルカイダにつながるイスラム過激派のグループが一時、北部の広い範囲を支配下に置きましたが、5年前に旧宗主国のフランスが部隊を派遣して主要な町を制圧し、過激派を排除しました。

住民の熱烈な歓迎で迎えられたフランス軍は積極果敢な作戦による成功を国際的にアピールしたかのようにも見えましたが、その後も過激派グループは広大なサハラ砂漠に潜みながら、フランス軍やマリの政府軍などに対する襲撃を繰り返しており、フランスにとっても重荷になってきています。

****サヘル5か国のテロ対策部隊司令部に爆弾攻撃 3人死亡 マリ****
西アフリカのマリで29日、サヘル5か国(G5 Sahel=ブルキナファソ、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェール)でつくるテロ対策特別部隊「サヘル5か国合同軍」の司令部が自動車爆弾による攻撃を受け、治安筋と地元首長によれば、兵士2人と民間人1人が死亡した。負傷者も多数出ている。(中略)

同部隊は2017年、不安定な状況にある広大なサヘル地域でイスラム過激派反政府勢力や犯罪集団を撃退するため、フランスの支援を受けて創設された。司令部への攻撃はこれが初めて。(中略)

国連は26日、同部隊に参加しているマリ兵らが5月、マリ中部の市場で、しかるべき手続きを経ずに民間人12人を処刑していたとの調査結果を発表した。処刑は兵士1人が死亡したことへの報復として行われたという。

フランス軍司令部は29日、セバレでの攻撃に先立ち、同国のマリ派遣部隊、通称「バルカン」の兵士らが22日行った地元部隊との合同作戦で、イスラム過激派15人を殺害または拘束したと明らかにしていた。【6月30日 AFP】
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この「サヘル5か国合同軍」司令部襲撃の二日後にはフランス軍部隊が襲撃されています。

****マリでフランス部隊襲撃される 複数の死傷者か****
イスラム過激派が活動する西アフリカ・マリの砂漠地帯で、治安維持にあたっているフランス軍の部隊が襲撃され、複数の死傷者が出ているもようです。

マリ北部の砂漠地帯にある町、ガオで1日、治安維持にあたっているフランス軍とマリの政府軍が軍用車両でパトロールしていたところ、爆発がありました。

現地の報道によりますと、爆発物を積んだ車が部隊の車列に近づいて爆発したということで、自爆テロとみられ、複数の死傷者が出ているもようです。(後略)【7月2日 NHK】
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9月には、6月に爆弾攻撃を受けたアフリカのサヘル5か国は司令部をセバレから首都バマコへ移転しました。

マリでは、国連PKO部隊の基地も襲撃を受けています。

****マリでPKO連続攻撃 2人死亡、15人負傷****
西アフリカ・マリ北部トンブクトゥ州で27日、国連平和維持活動(PKO)部隊の基地が武装集団に襲撃され隊員2人が死亡、11人が負傷した。

約4時間後には中部モプティ州で別部隊が爆弾攻撃に遭い、4人が負傷した。国連が明らかにした。
 
トンブクトゥ州では、ロケット砲や機関銃で武装した集団が複数のピックアップトラックに分乗し襲撃。死亡した2人はブルキナファソから派遣された兵士という。モプティ州では、トーゴ兵が攻撃を受けた。(後略)【10月28日 共同】
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ここも、いつ終わるとも知れない泥沼のようです。

【中央アフリカ共和国 国連部隊と武装集団の衝突 ロシア民間軍会社の暗躍】
中央アフリカ共和国も、イスラム教徒系民兵組織「セレカ」とキリスト教徒系の民兵組織「アンチバラカ」の抗争・報復合戦を軸に、やはり泥沼の混乱が続いているようです。

****中央アフリカ、紛争により人口4分の1が避難民化 国連発表****
国連は(5月)29日、中央アフリカ共和国の人口4分の1以上が紛争により避難民化しているとした最新の集計結果を明らかにした。

国連人道問題調整事務所によれば、同国の国内避難民の数は4月時点で66万9997人に上る。

これに加えて、国内での武力衝突により近隣諸国へ逃れた避難民は57万人に及び、双方を合わせた避難民の数は合わせて、同国人口450万人のうち123万人超に達する。

世界の最貧国の一つに数えられる同国は2013年、イスラム教徒中心の武装勢力連合「セレカ」によってキリスト教徒のフランソワ・ボジゼ大統領が失脚したのを機に宗教対立を帯びた抗争に突入。

セレカ排除の支援目的でフランス軍が介入し、翌年には平和維持と治安安定化を任務とする大規模な国連部隊が配置された。

それでもなお、同国では暴力沙汰が後を絶たず不安定な状況が続いている。国土の大半はさまざまな民兵組織の手にあり、その多くがイスラム教徒やキリスト教徒を保護していると主張する一方、資源をめぐって戦闘を繰り広げている。【5月30日 AFP】AFPBB News
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国連は国連平和維持活動(PKO)のため1万3000人を派兵していますが、その国連PKOも戦闘行為の当事者となる混乱状態となっています。

****中央アフリカ首都で国連部隊と武装集団が衝突、19人死亡****
世界で最も貧しく不安定な国の一つとされる中央アフリカの首都バンギのイスラム教徒地区で、国連平和維持軍と武装集団との間で衝突が発生、国連部隊の兵士1人を含む19人が死亡し、100人以上が負傷した。
 
過去2年の間で最悪の流血の事態に憤ったPK5地区の住民ら数百人は、国連中央アフリカ多元統合安定化派遣団の拠点に押し寄せ、国連部隊によって10日に殺害されたという男性17人の遺体を並べた。

MINUSCAによると、衝突は平和維持軍が治安捜査を開始した後に起きた待ち伏せ攻撃で始まった。(後略)【4月12日 AFP】
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このように混乱が続く中央アフリカで7月30日、ロシアの民間軍事会社について取材していたロシア人ジャーナリスト3人が車で移動中に襲撃、殺害される事件があって、ロシアの民間軍事会社の活動、およびロシアで繰り返されるジャーナリスト・政敵の殺害ということで国際的に注目されました。

****中央アフリカ共和国で露ジャーナリスト3人死亡 背景に疑問が****
(中略)3人は、中央アフリカ共和国で活動するロシアの民間軍事会社、ワーグナー・グループの戦闘員について調査していた。

ワーグナー・グループは過去に、内戦の続くシリアでの活動が話題となった。最近になって、中央アフリカ共和国でも活動している可能性が浮上した。

ロシア政府と政府高官は、戦闘員とのつながりを否定している。しかしロシア政府は今年2月、国連の許可を得た上で、中央アフリカ共和国軍の訓練と軍備強化のために教官180人を派遣している。(中略)

ロシアと中央アフリカ共和国の関係は?
中央アフリカ共和国には機能している軍隊が存在せず、安全保障が喫緊の問題となっている。PKOは疲弊しており、国土の大部分は反政府組織が支配している。

そのため軍隊を復興しようという動きがあり、ここにロシアが登場する。

2017年12月、ロシア政府は国連安全保障理事会で、中央アフリカ共和国軍に対する小火器禁止に例外を設けるよう求めた。

軍隊訓練のために専門家を派遣したほか、フォースタン=アルシャンジュ・トゥアデラ大統領の警護にも何人かの警備員を送り込んでいる。【8月2日 BBC】
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以前、大規模な紛争・衝突があった南スーダン、マリ、中央アフリカでは、メディアへの露出は減っていますが、今も混乱が続いており、国連PKOも積極的な武力行使によって治安を安定させるという役割を担って活動していますが、苦戦している状況にあるようです。

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