階段を上がっていく途中で妻の大きな声が聞こえた。
「いやー。ダメー」
麿君が妻の大切にしている布の上にでも寝そべったのかな、と思った。
しかしそうではないことにすぐに気が付いた。
「ビー。ビビー」
麿君がベランダからセミを捕まえて部屋の中に持ってきたのだ。
畳の上で逆さになって暴れるセミを眺めたり知らん顔をしてみせたり。
セミが黙り、しばらくそのままの状態が続くとつつく。
「おい。生きているか?」という感じだ。
すると再びビービー言いながらセミは暴れ回る。
これを何度もやる。
猫のイタブリだ。
「ねえ。捕まえて」と妻が言う。
「いや。やらせてやれよ。最後はオレがとるから」と言ってそのままやらせておいた。
生来の狩人である猫にはこれが必要なのだ。
箱入り猫でも夏には何回か狩を楽しむことが出来る。
「いやー。ダメー」
麿君が妻の大切にしている布の上にでも寝そべったのかな、と思った。
しかしそうではないことにすぐに気が付いた。
「ビー。ビビー」
麿君がベランダからセミを捕まえて部屋の中に持ってきたのだ。
畳の上で逆さになって暴れるセミを眺めたり知らん顔をしてみせたり。
セミが黙り、しばらくそのままの状態が続くとつつく。
「おい。生きているか?」という感じだ。
すると再びビービー言いながらセミは暴れ回る。
これを何度もやる。
猫のイタブリだ。
「ねえ。捕まえて」と妻が言う。
「いや。やらせてやれよ。最後はオレがとるから」と言ってそのままやらせておいた。
生来の狩人である猫にはこれが必要なのだ。
箱入り猫でも夏には何回か狩を楽しむことが出来る。