家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

「匠」公開講座に参加した

2018-10-22 09:15:56 | Weblog
静岡文化芸術大学で催された「匠」公開講座に参加した。

午前中は藤井恵介先生の講義で、スライドを見ながら細部に渡って説明を受けると世界に誇れる日本の木造建築の良さを深く理解できた。

午後からは実際に丸太をヨキで削りチョウナで形を整えヤリガンナで仕上げするという工程を見せてもらった。

大工さんたちが、いかにも簡単そうに、それぞれの道具を使って処理する。

私たちも、その同じ道具を使うことを許された。

それもピッカピカに研がれていて、どの道具でも、ひげそりができそうなほど刃が研ぎ澄まされている。

そんな鋭利な刃物を使うのは怖いものだ。

特にチョウナは前から自分の足元に向けて振り下ろす。

少しでも手元が狂えば自分の靴や下手すると向こう脛をぐさりとやりかねない。

体験させてもらったが、いきおい少しだけ弱めに振り下ろす。

すると木の表面に傷を付けるだけで全く木の形を整えていかれない。

交代して大工さんがやると、もう音からして違う。

「パンパンパン」と思い切り木に向かって振り下ろすから10センチほども削り取れる。

ヨキなどは重すぎて、それを振り下ろす気にもなれない。

藤井恵介先生は「大工仕事というのは、これほど重労働なので、お茶ばっかり飲んでいると思いがちでしょうが、そうではないのです」と笑いながら説明する。

ヤリガンナも体験させてもらった。

細かな木くずがバネのように渦巻き状になって木の表面から剥がれ落ちる。

リンゴの皮むきのようにツルツルと長くむいてみたいのだが、そうはいかない。

ヤリガンナの構え方、角度、挽き方、それらが全部揃った時初めて使いこなすことができる。

最近の建築現場で見る光景とは全く違う。

最近はトラックでやって来て予め作ってある物を下ろしてネジ留めしていく。

その後板をスパンスパンとホチキスの強い奴で留めていく。

ノコギリといったら丸鋸という電動ものだ。

目の前の大工さんたちは宮大工。

手が足りない時に手伝ってもらうのは同業者だというが、そりゃぁそうだ。

私の自宅を施工してもらう時には、まだ建築現場でカンナをかけていた。

日本刀のような作りの大工道具。

もう作り手が居なくなりそうだという。

需要がないからだという理由。