家訓は「遊」

幸せの瞬間を見逃さない今昔事件簿

介護用ベッド

2020-12-07 15:05:35 | Weblog
姉から連絡が来た。
介護用ベッドが空いたけど欲しいか、と。
もらうことにした。
このベッドは父が使用し、その後母が使用して、その後姉の孫が使用していたが大学生となって他県に移動したため私に連絡が来たというわけだ。
父が使用したということは25年ほど前から使用していたということだ。
妻の父親が使用していた介護用ベッドは、今は妻が使用しているが妻の母親が介護を要するようになってからは母親が使用していた。
妻の母親が、それ以前に使用していたものが、私が今まで使用していたものだ。
つまり妻のベッドが父親から母親そして妻に。
私も同じような経過で今回巡ってきたというわけだ。
さて、もらうことを伝えたが自分の使っているベッドを解体し、移動する必要がある。
でないと狭い家なので部屋の中にベッドを入れることはできない。
まずは姉の義理の息子がトラックを用意してくれるというので、その日に合わせて自分の作業日程を決める。
日が決まると作業の手順が決まる。
まずは妻のベッドの高さにそろえるために、かさ上げしてあった私のベッドを下す。
そしていよいよベッドの解体だ。
木造のため電ドルとスパナだけで簡単に分解できた。
分解すると一つひとつの重さは軽く作業が簡単にはかどった。
そしてベッド下の掃除。
これに一番時間がかかった。
掃除機でチリやほこりを吸い取ったのち雑巾やウエットティッシュで拭き掃除。
それは細部に、そして電源コードのような曲がる物に対しても行った。
その夜は妻のベッドの横の床に布団を敷いて寝た。
妻の寝息が上から聞こえることに違和感があった。
翌日姉の義理の息子のトラックが長い物と重い物を乗せてやってきた。
それらは曲がった階段を通って寝室まで、まさに紆余曲折を経て運び込んだ。
2モーターベッドは組み立てている時間より「ああでもないこうでもない」と悩む時間が一番長かった。
組み立て終わると1本の白髪が見つかった。
父も母もそして姉も白髪頭だ。
誰の白髪かは分からなかったが私への挨拶のように感じた。
寝てみたら妻の寝返りのたびに隣接する私のベッドが揺れる。
今までは木材でできたベッドだったので揺れることはなかった。
まだ介護が必要になるには、そうとう時間がかかるつもりでいるが、ひょっとしたらこのベッドの上で逝くのか思う。
そう思うと、たいして時間はないように感じる。