妻がビワの葉で染物をしたいというので付き合った。
ビワの葉を採るついでに柿の木の夏剪定もする予定にした。
春野に着くと、まだ地面が湿っていた。
きっと今朝まで雨が降っていたのだろう。
雨は上がり曇り空だったので気温が低く保たれ絶好の作業日和だ。
物置の入り口に座り地下足袋に履き替えようとしていたらヤマビルが近づいてきた。
こんなこともあろうかとポケットに塩水を用意していた。
奴をサンダルに乗せて逃げられないようにしておいて塩水攻撃をした。
慌てて逃げようとするが逃がさない。
身体が溶け始めて動き回るとナメクジのような粘度の在る液が奴の動いた後に残った。
「フン。ざまあみろ」
地下足袋に履き替えて高台にあるビワの木に向かった。
なにやら右足のくるぶしあたりがチクチクする。
ハサミ類を現場に置いて戻った。
「何かチクチクするんだよな」と妻に言って地下足袋を外してみた。
杉の枯れ葉が入り込んでいたこともあるが今回はヤマビルだった。
靴下の上から血を吸おうとしていた。
靴下は丈こそ短いものの厚さはマアマア有る。
奴の姿を見つけたため、そこから外し沓脱石に乗せて塩水攻撃した。
まだ3㎜ほどの小さな奴だが吸う力はイッパシだ。
地下足袋のコハゼは10枚有り全部はめた後に上からサラテクトを吹きかけてある。
その下は作業ズボンのすそを折り曲げてある。
だからそこを入り込んでくるとは思えない。
ということは地下足袋を置いてあるところで、既に入り込んで待っていたということだろう。
12時を知らせるメロディーを聞いて家に上がるため地下足袋を脱いだ。
今度は左足のくるぶし辺りが真っ赤になっていた。
紛れもなく私の血だ。「やられた」
近くを探すとそれらしいヤマビルを見つけた。
今度は塩そのもので攻撃した。
ひとたまりもなく縮んでいった。
4匹を見つけて処分したが自宅でシャワー後に確認すると計3か所吸われていた。
右モモもやられていたが、こちらも気が付かなかった。
4勝したが置いてある地下足袋に入られていたという失態で大敗した。